死ゅう活
死ゅう活
ナレーション/係員/チーフ…不問
修二…男
死神…不問
閻魔…男
望奈…女
スタッフ一同のセリフは修二以外で
ナレーション
「とあるビル屋上、ここに男が一人」
修二「はぁ…クビ…か…はぁ…それに…あーいいや…もうないわ…この世の中…死ねよ…はぁ…ない…ばいばい」
ナレーション
「男は………死んだ。」
修二「あーいってぇええ〜、あれ生きて…はないか…え?あれ俺?うわぁーきもっ!顔グチャグチャ、中身見えてるじゃん…うへー!まぁいいか、さて俺は会社クビなって、なんか生きるの嫌になって死んでしまいましたー!あーあのクソ会社!なーんて叫んでも意味ねぇか…はは…ふーん死んだらこんな感じなんかー…えっとこの状態って…浮遊霊ってやつ?」
死神「いかにも」
修二「おわっ!?」
死神「おわっ!?」
修二「お、お前誰だ?」
死神「 御質問ありがとうございます、わたくし死神です、尾張修二様お迎えにあがりました。」
修二「死神ぃ?お前が?いやいやいやいやいや…どう見たって普通の執事服着たおっさんじゃん!死神ってーとなんかフードついたの着て鎌持ってるガイコツとかはじゃないの普通」
死神「あれはあなた方の勝手なイメージでございます」
修二「はぁ…」
死神「では修二様参りましょうか」
修二「参るってどこに?」
死神「閻魔様の所です」
修二「えっと閻魔様ってあの閻魔様?」
死神「はい、あの閻魔様です」
修二「舌抜かれちゃうアレ?」
死神「アレです」
修二「えー行きたくねぇ」
死神「ご心配なさらず、嘘つかなければいいんです」
修二「はぁ…」
死神「閻魔様はあなた方死者の魂を見て清き者には極楽…いわゆる天国…罪を科した者には地獄と行き先を決めるのです。下手な嘘とかつかずに素直に応えれば問題ないのでご心配なさらず」
修二「は、はぁ…」
死神「では行きましょう、いざ閻魔様の元へ!!」
修二「すげー心配」
ナレーション
「死神に連れられ地獄の王閻魔の元に向かう修二…不安が彼に付きまとう」
閻魔「えー次の方どうぞ〜」
死神「さぁ修二様」
修二「あ、ああ」
死神「連れて参りました」
閻魔「お疲れ…んで、こいつはっと」
死神「閻魔様、こちらに浄玻璃の鏡が」
閻魔「おおう、ありがとう」
死神「いえ」
修二「おい死神、あいつ大丈夫なのか?」
死神「はい、ああ見えても王ですから」
閻魔「誰がああ見えてもだ?」
死神「失礼致しました」
閻魔「まぁいい、俺もこんななりだしょうがない…それはさておきお前だ、尾張修二23歳独身…生前の職はカラオケ店の社員…趣味はパチンコ・ゲーム…一カ月前に他に好きな人ができたと彼女に振られる…ね〜」
修二「な!?なんでそんなことまで!!」
閻魔「だって俺閻魔だもーん、この鏡でなんでもお見通しー」
修二「ぷ、プライバシーの侵害だぞ!訴えてやる!」
閻魔「うっさい」
修二「あぎゃ!!ひ、ひはがぁ」
閻魔「死人に口なし…そもそも死人がどう裁判起こすのよ」
死神「閻魔様、横暴ですよ…」
閻魔「あーはいはい、戻しますよ…ほら」
修二「あがっ!」
閻魔「はい、くっついた」
修二「んがっ!はぁはぁ…な、何すんだ!あ、し…喋れる」
閻魔「さてと…お前の行き先だけど…地獄な」
修二「は?なんで?」
閻魔「当たり前だ、自殺は大罪…ったく命を粗末にしやがって…あーめんどくせぇー…死神、お前そいつあそこ連れてけ」
死神「はい、連れてくのは構いませんがあそことは?」
閻魔「職与えるとこだよ…えーなんつったけなー」
死神「ヘルーワーカーですね」
閻魔「あーそこそこ!」
修二「ヘルーワーカー?」
閻魔「職安だよ職安、お前には地獄で仕事してもらう」
修二「どういうこと?」
閻魔「そのまんまだよ、今地獄は死者で溢れててねー…普通に魂浄化させてるだけじゃ輪廻転生してもらうまでかなーりな期間かかってしまうわけよ、そんでそんな死者に仕事をさせ、それに対して報酬を与え、その報酬で魂の浄化をしちゃっちゃと輪廻転生してもらおうって感じ」
修二「なるほど…てかハロワだろそれ」
閻魔「というわけでそんな感じで後よろしく死神」
修二「流しやがった…
死神「かしこまりました、それでは修二様こちらへ」
死神「つきました」
修二「ここか…やっぱハロワ…」
係員「番号札をお取り頂いてお待ちください」
死神「修二様こちらを」
修二「お、おう」
死神「座って待ちましょうか」
修二「そうだな……なぁ…」
死神「なんです?」
修二「なんか全然地獄に落ちたって感じしないんだけど…確かに周りは赤茶けた土地で変な形の山に囲まれてたりするけどさ…ビルとかたってるし全然イメージと違うんだけど」
死神「地獄も進歩してますから現世に合わせることもしなければいけないのです…それに地獄はただ辛く苦しい恐ろしい場所ではないですから」
修二「そうか」
係員「42番の番号札でお待ちのお客様53番の窓口へお願いします!」
死神「呼ばれましたね」
修二「ああ」
死神「行ってらっしゃいませ」
修二「付いてきてくれないのか」
死神「ええ…修二様は子供ではないですからいつまでもお世話してるわけにもいきません、私にも他にやることがありますから」
修二「そっか…」
死神「少しここで仕事しながら待ってるので行ってきてください」
修二「うん、行ってくる」
ナレーション
「ヘルーワーカーに来た修二、係員と話すこと早2時間…ついにあの世での初めての仕事が決まった」
死神「おかえりなさいませ、どのようなお仕事が見つかりましたか?」
修二「とりあえず明日13時に短期の一発仕事…えっと…針山地獄の針磨き100ecp…ん?このecpってなんだ?」
死神「それは閻魔ちゃんポイントのことです」
修二「閻魔ちゃんポイントぉ?ふざけてる?」
死神「いえ、大真面目です。閻魔ちゃんポイント、通称ecp…こちらは地獄での通貨となり地獄での売買、それに加えポイント引き換えでの輪廻転生までの魂浄化期間短縮…こちらができるようになります…このポイントはこの端末に貯まるシステムになっておりますのでこれをお持ちください」
修二「スマッホ!!??」
死神「はい、現世で流行ってるようなので」
修二「はは…」
死神「ポイントの貯蓄・利用以外に地獄ネットの閲覧、アプリ、メール…勿論通話だってできます。私の連絡先入れときましたので何かあったらお願いしますね。因みに修二様の輪廻転生にかかるポイントは697437564でございます」
修二「そ、そんなに!?」
死神「はい。では、明日頑張ってください」
修二「あ?おい!帰るのかよ!」
死神「ええ、お仕事まだありますし」
修二「俺どうすりゃいいの?家もなんもないし」
死神「あ、そうでした…ではこちらの紙に書いてある場所をお使いください…あそこに駅があるので電車乗って二つ目の駅です…駅から五分程のアパートなんですぐわかりますよ」
修二「わ、わかった」
死神「それではまた明日、お仕事が終わる頃にお伺いします。では失礼致します」
ナレーション
「地獄に通る一本の電車…鉄の箱に揺られ着いた駅はは地獄一丁目」
修二「んーと地獄一丁目4-27…ここか…えー死悔美荘…なんか嫌な名前だな…で、ここの202号室使っていいんだったな…お?結構いいところじゃん!ふぅ、疲れたな…寝るか…おやすみ…って死人って寝るのか?それにここ火で光はあるけど太陽とかないから昼だか夜だかどうかわからねぇし…」
ナレーション
「そんなことを考えながら眠りについた修二、翌朝」
修二「ふわぁ〜あ…ねみぃ…さぁて行きましょうかね〜」
ドアを開ける
望奈「お、おはようございます」
修二「お、おはよう…うわぁ…むっちゃかわいい…」
望奈「はい?」
修二「じゃなくてどちら様?」
望奈「はい!私、望奈って言います。一昨日ここに越してきました!よろしくお願いします!」
修二「これはこれはご丁寧に…俺、修二…俺も昨日ここに越してきたんだ、よろしく」
望奈「んじゃ同期みたいなもんですね!よろしくお願いします!あのー?これから出かけるんですか?」
修二「ああ、バイト行くんだ…なんか輪廻転生?までの期間短くするために変なポイント貯めるためによ…針山地獄の針磨き…地獄ってロクな仕事ねぇな」
望奈「ホントですね〜…あ、私そのバイト昨日から入ってますよ」
修二「マジで?」
望奈「マジです、今日も出勤なんでよかったら一緒に行きます?」
修二「行く行く!いやぁー場所よくわからんかったしラッキーだわ」
望奈「それはよかったです、では行きましょう!」
ナレーション
「思わぬ同期の女性、望奈と出会った修二…望奈の案内で職場に向かった」
チーフ「おはようございまーす!」
スタッフ一同「おはようございまーす!」
修二「お、おはようございます」
チーフ「はい!そこ声が小さい!えっと君…今日からの尾張修二君ね!もっと元気にね!んじゃもう一回挨拶しようねー!おはようございまーす!!」
修二「おはようございまーす」
チーフ「ほら恥ずかしがらずに!望奈さん一緒にやってあげて!」
望奈「は、はい!」
チーフ「おはようございまーす!!」
望奈「おはようございまーす!」
修二「おはようございまーす!」
チーフ「まだまだ!おはようございまーす!!」
望奈「おはようございまーす!!」
修二「お、おはようございまーす!!!」
チーフ「いいねぇ!はい、じゃあ今日も一日頑張りまっしょう!あ、望奈さん彼にお仕事教えてあげてねー、担当針はGの54番でよろしく!一緒にやって終わったら報告しに戻って来てねー」
望奈「わ、わかりました。修二さんこっちです」
修二「お、おう」
望奈「ここがGの54番の針です…因みにこんな感じで針の区画が決めてあります」
修二「ほう」
望奈「で、やることは至って簡単です」
修二「はいはい」
望奈「この針をひたすら磨くだけです!血で錆びてるとことかあるんでそういうのが消えるようひたすら擦って磨いてピッカピカにします!」
修二「お…おう…しんどそうだな…」
望奈「しんどいです…でも、今日は二人ですし頑張りましょう!」
修二「が、頑張ります!」
ナレーション
「望奈に浮かれる修二、上機嫌で仕事に励む…二人はひたすら針を擦る、ひたすら磨く」
望奈「修二さん」
修二「はい?」
望奈「一旦休憩しませんか?」
修二「そうだな…ふぅ〜しんどー」
望奈「一本やるのに一日必要ですからねー」
修二「うん、まぁでもあと少しで終わりそうかな?」
望奈「はい!もう少しなんで頑張りましょう」
修二「はぁ〜いい子だなぁ〜…ねぇ望奈ちゃん」
望奈「なんでしょう?」
修二「君みたいないい子がなんで地獄に?」
望奈「んーなんでですかね?よくわからないんですよー」
修二「そっか、まぁ俺みたいに自殺したクズよりは全然マシな感じなんだろうけど」
望奈「え?修二さん自殺したんですか!?」
修二「ん、あぁ…なんか色々嫌なっちゃってね…仕事クビなるし彼女にも捨てられるし」
望奈「全然見えないです、仕事できそうですし…あとモテそうですし」
修二「そうかな?」
望奈「はい、だって修二さん…か、かっこいいですすし…」
修二「なんて?」
望奈「な、何でもないです!さ、休憩終わり!残りやりますよ!」
修二「あ、ちょっ!?そんな急いだら」
望奈「きゃっ!」
修二「ほら転けた」
望奈「アイタタ〜」
修二「平気?立てる?」
望奈「は、はい」
修二「さて残り頑張ろうかーふんふんふーん♪」
ナレーション
「二人の作業は捗り終了した…既に辺りの灯りは落ち始めていた」
望奈「ふぅ〜終わりましたねー」
修二「そうだねー」
望奈「さてと報告して帰りましょうかー」
修二(あー可愛いなー望奈ちゃん…なんかいい雰囲気だし告ったら付き合えないかなー…地獄で可愛い彼女できるとか俺勝ち組じゃね?よし…」
修二「あのさ…」
望奈「はい?」
修二「お…」
チーフ「おーい!」
修二「あ?」
チーフ「二人ともお疲れさーん!えっと終わった?」
望奈「はい!ちょうど今終わって報告しに行こうと」
チーフ「オッケーオッケー!」
修二「んだよ…これからだったのによ…」
チーフ「なんか言った修二君?」
修二「何も」
チーフ「そう、まぁいいや!んで望奈さん君に話があるんだ」
望奈「え?」
チーフ「ではよろしくお願いします!!」
閻魔「ちぃーす」
修二「あ、お前!」
チーフ「修二君!閻魔様にお前とはなんだ!謝りなさい!」
修二「は、はい…すいません」
閻魔「まぁまぁ」
修二「なんかうぜぇ…」
閻魔「なんだ?」
修二「なにも」
閻魔「まぁいい…そんなことより水城望奈」
望奈「はい!な、なんでしょうか?」
閻魔「お前は…」
望奈「私は…」
閻魔「お前は!」
望奈「私は!」
閻魔「…………」
望奈「…………」
閻魔「なんか死んでないんだよねー」
望奈「へ?」
閻魔「なんつーかまだ生きてんのよお前」
望奈「ふぇ?」
死神「こらこら閻魔様、ざっくりしすぎですよ…望奈様お困りになられてます」
閻魔「んーなら説明よろしく」
死神「やれやれ…えー水城望奈様、貴女の死因は交通事故でした…だけど貴女は死んでなかったのです」
望奈「どういうことです?」
死神「貴女は死んでなく意識不明の重体…それなのに貴女の魂は肉体を抜け現世に浮遊するわけでもなく、この地獄に来てしまった…その為我々は貴女の魂を貴女の肉体に戻します…つまり生き返れるということです」
望奈「生き返れる…ほ、ほんと!?」
死神「はい、ですが貴女は地獄にいすぎました…ギリギリですが気付いてよかったです…今すぐ戻れば間に合います…そうしなければ貴女の魂は戻れなくなり本当に死を迎えてしまいます」
望奈「なら…」
死神「早く行きましょう」
望奈「は、はい…えっと…あ、ありがとうございました!お世話になりました!」
修二「望奈ちゃん、あの…」
望奈「なんですか?」
修二「あの…そのえっと…」
死神「望奈さんもうお時間が」
望奈「は、はい!あ、あの!修二さん!短い間だったけど楽しかったです!私生き帰ったら修二さんのお墓参り行きます!じゃあ、さようなら!」
修二「あ、お、おう」
閻魔「行ってしまったな」
修二「ああ」
閻魔「どんまい!」
修二「うぜぇ」
閻魔「お前あの子に惚れてたろ…残念だったなぁー…」
修二「んだよ…あ、でも望奈ちゃん俺の墓参り」
閻魔「来ねえよ」
修二「なんでわかんだよ」
閻魔「黄泉返りの場合死後の記憶はなくなるからな」
修二「そんな…せっかく…くそ…」
閻魔「どんまい!!」
修二「くそっ!」
閻魔「地獄で彼女とか考えてんじゃねーよバーカ」
修二「てめぇ!このっ!」
閻魔「よっと…当たんねーよーだ…やーいバーカバーカ」
修二「くっそーてめぇ待ちやがれ!!」
閻魔「フられ男〜まぁ恋愛したかったら早く輪廻転生するこったなー!はははー」
ナレーション
「尾張修二の仕事初日は淡い想いと一緒に終わりを迎えた…彼が輪廻転生するまで697437464ecp」