プロローグ1
朝の眩しい日差しのおかげで、アラームが鳴る10分前に目が覚めるのが最近の日常だ。
「もう歳かな?」
なんて19歳の俺が言ってたら確実に怒られるだろう。
ようやく7時のアラームが鳴り、眠い目を擦りながら起き上がる。顔を洗って、歯を磨いて、母さんが作った朝ごはんを食べ、毎朝恒例の親父の仏壇に手を合わせる。
親父は俺が生まれてすぐに病気で死んだらしい。まったく記憶にない俺は、母さんから親父の話を聞いて育ったんだけど、毎回その顔は悲しそうだった。
だからこそ、女で一つで育てくれた母さんを俺は大切にしてこうと思う。
「これが世に言う『マザコン』だな」
ボソッと呟きながら席に座って朝ごはんを食べる。
時計を見るともう7時30分だ。今日は大学の授業が1限からあるため、もう出なきゃいけない。
慌てて残りのおかずを食べ、急いで支度をする。玄関で靴を肩に背負い、履いてくのはローラーブレード。これは小学生の頃に母さんから受け取った物で、親父が俺へ小学生になったら渡して欲しいと言われたそうだ。そうそう、言い忘れていたが、親父は技術開発者で少し名が通っていたらしい。
そんなローラーブレードだが、タイヤが縦に3つ付いていて、1番後輪に重心をかけると、ギアが稼働して自動で走るという優れもの。
小学生の頃は大切すぎて、友達に貸すのが嫌だったため、隠れて乗っていた。
さて今日も一日が始まる。
「母さん行ってきます」
これが最後の行ってきますになるなんて……