第八話《猫と焼死体とコミュ障》
八話です、お楽しみください
ッッッッッズドオオオオオオオオオオオオオオ
眩い閃光と途轍もない轟音とともに堕ちてきたソレは、2000という大軍を瞬時に消し去った。
「任務完了だな」
「そうですねぇ」
「、、、、、、、、、、、、、、、、、。」
ぎこちない静寂が広まってゆく中、その静けさに耐えられない人物が1人いた。
「って、えええええ?!もっと白熱とした戦いって無いんですか⁉︎なにサラッと終わらしてるんですか!」
無論、太秦である。
「いや、でも早く終わるならその方がいいし、、、」
と、鶴が
「そーゆーのは作者に言ってください」
と、レイが言い放った。
「言うな!作者って言うな!」
その日、太秦の喉は枯れたと言う。
□後日 受付室
報恩寺に呼ばれて受付室に来た太秦は、初めて入る空間に新鮮味と緊張感を感じていた。
「ってなワケで太秦くん。お前にはなんでもいいから依頼を受けてもらう」
「なんでもいいんですか?」
「まあ最初だからな。いつまでも仮団員のままだと勝手が悪りぃ。まずはなんでもいいから依頼を達成することが重要なんだよ」
「なるほど、、で、具体的にはどの様にして依頼を受ければ良いのですか?」
「まずは右側の受付カウンターの列に並べ。左のは申請カウンターだから間違えるなよ。んで、カウンターに行ったら受付嬢にランク聞かれるから「仮団員です」って答えろ。そしたら仮団員の依頼メニューを開いてくれる。あとは依頼を選んで、依頼の受付金を支払って、ゲートをくぐって出発だ。あ、言い忘れたけどお前は初めての依頼だからギルドI.D.のパスを購入しねぇとな。えーと、、、ホイ」
そう言って報恩寺が手のひらを差し出すとそこにはガマ口の可愛らしい財布がコンニチワと乗っていた。
中を見ると千円札が数枚と小銭がいくつか入っていた。
「受付金は安いからいいけど、I.D.パスは千円くらいしたから、、それお小遣いね」
「あ、ありがとうございます、、それじゃあ、、行ってきます」
「いやそんな大冒険じゃあないんだけどなぁ、、、」
三歩進んでは不安顔で振り返る太秦を見送りながら、報恩寺は桃の元へ向かった。
□受付カウンター
「こんにちは、見ない方ですね、、今回が初めてですか?」
「はっ、はひい!あ、じゃなくて、、はい!」
(声うわずっちゃったああ!久我さん聞いてないよ!受付係の人こんなに美人って聞いてないよ!!)
「あのぉ、、だいじょぶですか?落ち着いたらI.D.パスを渡すので、お名前、年齢、ランク指紋を登録してくださいね♡」
手に渡されたのは厚さ1センチほどの黒いデバイスだった。
「っっっはい!」
受付嬢のハートに顔を火照らせて大声を出してしまったのは言うまでもない。
「では、無事登録が完了いたしました!こちらのメニューから依頼をお選びくださいっ♡」
「えーとえーと、、、」
《仮団員用依頼メニュー》
白い迷い猫の捜索
黒い迷い猫の捜索
細い迷い猫の捜索
太い迷い猫の捜索
凄い迷い猫の捜索
暗い迷い猫の捜索
「、、、、、、。」
「どうかされましたかぁ?」
「、、あの、、、猫さんしか、、、いないんですけど、、、、」
「イヤですか?」
「いえ全く!!!!!」
結局、受付金120円を支払って「凄い迷い猫の捜索」を受けた太秦だった。
□ギルド本部 幹部室
桃に呼ばれた報恩寺は幹部室の手前で立ち止まり、重い木製の扉を無造作に開いた。扉を開いたその先には、やけに真剣な表情をしたギルド幹部の桃が2人の男とともに椅子に腰をかけていた。
「来たか、、、そこの空いてるとこに座れ」
「なんすか急に呼び出しちゃって、、桃さんだけならまだしも浦さんと金さんまで、、、俺なんか悪いことしちゃいましたかね、、、、」
「報恩寺、俺がいたら嫌か?」
そう言ったのは浦さんと呼ばれたスラッとした男。目にまで届きそうな髪はパーマがかかっており、その顔は非常に端整な顔立ちで、綺麗に着こなしているベストが彼の上品さを醸し出している。
「俺も桃に呼ばれたから怒られると思ってたんだよ。早く帰りたいからさっさと座ってくれ」
と、金さんと呼ばれた男が呟いた。カッコいいというよりもかわいい系の顔をしたその男は目に光がなく、おかっぱの髪がよく似合っている。
「報恩寺、、一応ギルド幹部3人の前なんだぞ、、、しっかりせんか」
「さーせん、早咲 桃さんと佐々ケ野 亜浦さんと深輪 金次さんね。で、名前呼ばせるために呼んだんじゃあないでしょう」
「ああ、あの太秦くんのプロフィールを見た。彼の剱『雪析』、ありゃ壬生さんのやつだな?そうとなれば捜査に手伝ってもらうこともあるから、彼にはそう伝えといてくれ」
「ほーい」
「それと、、最近多発してる焼死体の件だが、、S級の任務ではあるが、特例でお前も参加させることにした報恩寺」
「まーたメンドくさいことを〜」
「僕らは報恩寺の実力に期待してるんだよ」
「浦さん、、、」
「まあ、お前が強いのはマジな話だしな、、だが女にモテ始めたら任務から外す。ソッコーな!!」
「き、金さん、、、?」
「ま、話は以上だ。日時は今度伝えておく」
「りょーかいデス。んじゃ失礼しまーす」
若干くだらないやり取りをした後に重いドアがガチャンと閉まった。少しの静けさの後に金次が口を開いた。
「そういえば浦」
「なあに」
「お前昨日の帰り際に後輩の女子からチョコ貰っただろ。手作りの、しかもバレンタインでもないのに!」
「そう興奮すんなって、、、まあ貰ったけど、、それがどーした」
「俺はそれがとても憎い!!!」
「逆恨みもここまできたら清々しいもんだな、、」
「二人とも喧嘩はやめんか、、もうすぐ定時だ。飯食って帰るぞ」
「桃、、俺ら一応幹部だよな」
「だから責められないんだよ、なっ桃」
「うんうん」
その日、三人で焼き鳥を食べて帰宅したらしい。
翌日、太秦は自身の部屋で分析眼について雪祈と念話していた。部屋というのも太秦が部屋代を払っているわけではなく、報恩寺が住んでいた部屋の隣を借りている。一階は駄菓子屋になっており、八重さんという還暦間近のお婆さんが営んでいる。還暦間近にも関わらず未だにタンクトップと短パンにサングラスでど金髪という非常にファンキーな装いをしている。ちなみに部屋代は報恩寺が掛け持ちしてくれているので、太秦が支払う必要はないらしい。
(うーん、、、)
『どうしたのだ太秦』
(ギルドで猫探しの依頼を受けたにも関わらず、まだ見つけられてないんですよねー)
『まだって、、1日しか経ってないじゃないか』
(もっと簡単に見つかると思ってました。ダメですね、、、)
『分析眼を使えばいいではないか』
(分析眼を?あれは対象の情報を得る能力だから猫を見つけないと意味がないんじゃ、、、)
『そうだな、、、補足を付け加えて軽く説明するぞ?』
分析眼
起動して対象を見ると、対象に関する情報を目に写すことができる。情報の細かさは対象との親密度によって左右される。また、人だけでなく何事においても情報を入手することができ、分析に必要なことはオプションで備わっている。
例)情報入手、サーモグラフィー、DNA鑑定、距離測定、速度測定、強度測定etc…
『と、いうわけだ』
(なるほど、情報を入手するだけじゃないんですね、、というか、かなりのチート能力ですねこれ)
『その通り。さらに応用を加えれば猫ごとき見つけるのは目を閉じることより簡単よ』
(目を閉じたら見えないんですからやめてくださいよ)
『む、そうだったな』
(なんにせよ、探さないことには何も始まりませんね)
『よし、では行くか』
(雪祈さん、、うずうずしてるのが伝わってくる、、、)
こうして、太秦は部屋を出て、猫探しを再開した。
□その頃報恩寺は
「あ〜あ、、本部から家まで歩くのめんどいなぁ、、、本部が家まで歩いてきてくれねえかなぁ、、」
何やら怠惰なことをぶつぶつと呟きながら石壁を左に曲がると、いつもの駄菓子屋が見えてきた。
「ただいま〜、、なあババア太秦もう帰ってきた?」
「さっき出たとこだよ、、あとあたいのことはババアじゃなくて八重姉様とお呼び!」
「なぁにが姉様だ米寿ババア!『八重』って言うのは『はちじゅう』と読んで『八重』なんだよ!」
「あんまり調子こいてると家賃倍にするぞクソガキ!」
「それは卑怯だぞ!」
「わかったらさっさと上あがってクソして寝な!」
「まだ真昼間だろ!」
そう言いながらも報恩寺は店の奥の階段をのぼり、部屋へと入っていった。
その日の夜、太秦が慌てて帰ってきた理由が例の焼死体を見つけたことだと知るのは報恩寺が昼寝を済ませた後だった。
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