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新江戸ソードクロニクル  作者: 荒神尋仁
序章
8/18

第七話《新しい日常》

お楽しみ下さいませ

我が家を出発し、郊外支局のギルドで筆記試験と面接を終え、報恩寺と共に歩き続けて2時間。太秦は父との思い出話に夢中で行き先を聞き忘れていた。


「あっそういえば、、僕たちって今どこに向かっているんですか?ギルドならさっきありましたけど、、、」


ある程度のことは察していたのか、行き先をギルドかと確認しつつ、ついさっき通り過ぎた道を指差しながら、上目遣いで報恩寺に問いかけた。


「あれは郊外支局。先に俺の部屋がある駄菓子屋でお前の部屋空けようと思ったんだけど、今向かってんのは海岸沿いの本局だよ。お前ん家、でかいのに郊外なんだな」


「郊外の方が土地が安く、人混みも少ないんですよ。まあ、おかげさまで学校の送り迎えは車だし、イジメの対象にもなるし、友達もほとんどいないっていう状況なんですけどね、、、」


「あ〜まあお前友達少なそうだしな〜」


「うぐっ、、、もう少しオブラートに包んだ言い方をすることができないんですか、、」


「ともだちぃぃぃいいいいすくなそぉぉぉぉおおおおお〜〜〜〜」


「それビブラート!オブラートですよ!作品序盤で僕をツッコミ要因に確立させないでください!あとボケ方が雑っ!!」


「とにかく、ギルドについては一応いろいろわかったな?」


(話すり替えやがって、、、)


対異能犯罪専門剣士集会所ー通称ギルド

剱を扱う者だけを集めた国の組織

給料も良く、剣士であるだけでなれる職業なので開設後その数は爆発的に上昇した

ギルドは国の政権の中枢である徳川家から公認された国内最大規模の組織である

ギルドに入団した剣士達は依頼の達成度や功績、ギルドからの信頼度によってランク分けされている (下図)

・幹部

現時点では3人、ギルドの最高権力者

・ランクS

ノーマルランク中最高ランク、主に単騎で行動する人が多い

(中略)

・ランクF

団員中最低ランク、初心者ばっかり

・仮団員

まだ依頼を1度も達成していない団員


また、ランク付き剣士は一ヶ月以上依頼を達成しないと免許を剥奪される


会計

ギルド全体の収入と、各剣士の収入の計算


集計

週ごとに犯罪リスト、依頼リストを更新する、とても大変


調査員

剣士からの調査依頼を受けて情報調査、現地調査を行う


受け付け係

主に女性が就く役職で、クライアントからの依頼の作成、剣士からの受注受付を行う、天使がいるぞ


「、、、ですよね」


「お、お前もう覚えたの?キッモ、人外かよ、、俺覚えるのに半年はかかったぞ、、、」


「失礼な、、これでも学校は首席で卒業したんですよっ」


「へえ〜、友達がいない学校ででか」


「べっ、別に1人くらいいますぅ」


「はーいるんだ」


「はい、西 陣(にし じん)っていう男の子なんですけど、卒業してからもよく遊び方とか教えてくれて、、とてもお世話になってるんです」


「男かぁ」


「ぼっ、僕が女の子となんてっ、、とと、とても恐れ多い、、、」


太秦は赤く染まった顔をうつむかせ、急にもじもじし始めた。


「そーいやお前コミュ障だったな」


「誰がコミュ障ですかっ!」


「まとにかくよ、ギルド行ったら人との関わりってのも大事になってくる」


「わ、わかりました」


「さて、ここからあと30分くらい歩きゃ本局に着くだろうよ。最近はあの辺りも外国船がうろちょろしてるからな、気をつけるぞ」


「は、はい」


外国船という聞きなれない言葉にこれから向かう先への不安を隠しきれない太秦は、虚勢をはるかのように大きな返事をし、報恩寺の後をついて行った。



□ギルド本局 幹部室


ドタドタドタバンッ


忙しない大きな足音に覆いかぶさるかのようにしてドアの開く音をたてたギルド局員が、焦った表情で机の向こう側に見える男に報告をした。


「桃さん!大変です!ギルドの乗船港より、二隻の外国船を確認!繰り返します!ギルドの、、」


「繰り返さなくていい。話は聞こえている。どこの船だ」


「はい、おそらく3日前程から近辺を遊泳していた清の海賊船なのではないかと思われます。目測ですが敵勢はおよそ2,000人、至急、迎撃部隊の要請をお願いします!」


「2,000か、、、よし」


そういうと、桃と呼ばれる男は机の中からおもむろにタブレット端末を取り出し通信機能を起動させた。


「あーあーテステス、ンン、ええと聞いていると思うが外国船が二隻攻めてきた。今から名前を呼ぶ剣士は乗船港前まで来い。迎撃部隊Bと、アイザック、お鶴の二人だ。現場には俺も向かう。あと5分で現地集合だ。あと、お菓子は300円までとする。以上」


ザザザという無機質な音を残して、桃の声は消えていった。



□ギルド研究室


「やや、召集がかかってしまった!これは研究を中断する他ありませんねぇ、、ふふふ、、待っててくださいよぉアメーバちゃんたち、、ボクが帰ってきたらさっきの続きをしましょうねぇ、、ふふ、、しかしさっき聞き捨てならない言葉を聞きましたよぉ、、お菓子は300円までと、、、なるほどぉ、これはいかに少ない金額でどのような、もしくはどれほどの量のお菓子が持ってこれるかという臨機応変さを試しているのですねぇ、いやはや、桃殿はいつも面白いことをお考えになる、、事前に用意していたお菓子は300円のうちに入るのでしょうか、、、これは要検討ですねぇ、、、」


ボサッとした金髪に丸い眼鏡をかけた男が、おもむろに一人で喋り始めた。着ている白衣がダボっとしているのであまり大人には見えないが、喋り方から察するに大人とみて間違いはない。


「おい!アイザック!考察してないでさっさと準備しな!お菓子ってのは単に桃が持っていきたいだけだろ!あと30秒で出るぞ!」


アイザックが独り言を長々と喋っていると、ドアをガンガンと叩きながら、威勢のいい声が飛んできた。


「やや!これはこれはお鶴殿、、今すぐに向かいます」


お鶴と呼ばれたその女性は、凛々しい顔つきをしており、後ろでまとめた髪や、赤が基調の和服が非常によく似合っている。


「装備は」


「必要ありませんねぇ」


そう言うと、二人は足早に研究室を後にした。



□ギルド本局 幹部室


「よし、それじゃあ俺もそろそろ出るか、、」


桃が片手に飴玉をもって部屋を後にしようとしたその時、入り口から見慣れた白髪がだるそうに猫背で入ってきた。


「ちわ〜、あっ桃さん!今探してたんすよ。こいつ、今日から世話んなる椙ヶ本太秦っす。」


「試験は」


「郊外で済ませてきました。記述は満点だってよ。ったく才能撒き散らしやがって、、、なんで、名簿に名前の登録しといてくださーい、、あと、、、、これなんの騒ぎ?」


「外国船が攻めてきた。俺も今から向かう。一緒にどうだ?」


「勉強にもなるし、いってみっか」


「え、えぇ、、ちょ」


強引に腕を引っ張られた太秦は戸惑いながら足を進めた。



□ギルド乗船港


何も知らない太秦は気づいたら港に来ていた。剱を構えた人たちが張り詰めた空気の中で真剣な表情をしている。


「やや、報恩寺くんではないですかぁ、、これから迎撃ですよ。となりにいるかわいいい男の子は、300円以内で済ませたお菓子ですか?」


「今日付でギルド局員になった椙ヶ本太秦だよ。なんかあったらよろしくな」


「これでもボクは先輩なんですけどねぇ」


「まあ気にしなくてもいいじゃないか、太秦くんだね?私は紫吹 鶴(しぶき つる)。んでとなりのこの金髪バカはアイザック・レイだ。よろしくな」


「よよ、よ、よろしくお願いしますっ」


鶴が急に手を差し出してきたのに太秦はど緊張しながら手を出し、握手をした。隣にいるアイザックも「どうも金髪バカです。よろしくお願いします」と言いながら握手を求めたので、しっかりと手を交わした。


「で、状況はどうなってるの?」


鶴が近くにいたギルド局員の男性に問いかけた。


「はい、港を出てすぐのあの辺りに船が二隻まとまって停まっています。今はまだ港にあがっていないので攻撃が仕掛けられません。港にあがったところ速攻を仕掛けたいと思っています」


「でもねぇ、、イケると思うんですけどねぇ、、、ねえ、お鶴殿」


「そうだな、イケるな」


「え?は、え?」


皆が二人の話を理解できないでいると、不意に太秦が口を開いた。


「その、、外国船っていうのは二隻もあるんですよね、それをまとめて、しかも海の上の敵を倒す方法なんてあるんですか?」


「フラグだな」


「そう言うこと言うな!」


「ありますよ」


「え?」


「あります、倒す方法。ボクとお鶴殿の能力を使えば」


唐突にアイザックが剱を手にしながら説明を始めた。


「ボクの能力は『重力操作』斬撃を与えた生物以外の対象の重力を操作します。そして、お鶴殿の能力は『飛ぶ斬撃 届く斬撃』です。対象が生物の場合は斬撃を飛ばすことが、そうでない場合は対象まで斬撃を届けることができます。これらを応用すると敵さんを倒すことができますねぇ、、まあ見てればわかります」


そう言うとアイザックはお鶴の肩をポンポンと叩き、なにかを求めるような目を向けた。するとお鶴は剱をそっと後ろへ向け、構えを脇構えへと変えた。


能力(スキル)発動 『届く斬撃』


ゴオッという空気を叩き割るような音とともに半透明の巨大な斬撃が雲を裂いて宇宙(そら)へと吸い込まれていった。


「頃合いですかねぇ」


能力発動 『重力操作』


たった一言。その一言だけで太秦の瞳に映る景色が一変した。青い空の屋根を突き破って飛来して来たのは紛れもなく、隕石であった。


「これこそがボクとお鶴殿との合技、、」


降る彗星(メテオ)


聞いたことがないような轟音 それはまるで地球そのものの悲鳴


その日2000の軍勢が、海に大きな穴を残し、消え去った。

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