第四話 《守ると護る》
前回は番外編だったので
第三話の内容をあまり覚えてない人は
再度読んでいただけると嬉しいです。
どうぞお楽しみください。
『太秦よ、我と契約を交わしてみないか?』
(やっぱり契約の話だった。契約は交わしたいけど、いざとなったらなあ、父上のこともあるし)
時が止まった青い世界で太秦は思考をめぐらした。椙ケ本の掟を『守る』のか、自分の意志を『護る』のかという思考を。
『ああ、細かいことを言うようだが、我はもともと主の母、壬生と《血の契約》を交わしてな?』
「はっ、母上とですか⁉」
『そうだ。《血の契約》というのは通常の契約とは違い、血縁者のみ契約を交わすことができる。だから今回は契約を交わす交わさない、というよりも我を受けつぐか受けつがないか、ということになる。』
「受けつぐか受けつがないか⁉⁉」
『別人のように食い込むな!主!』
「す、すいません。興奮してしまって。ですが、我々椙ケ本家には代々錆無化を受けつがなければならないという掟が、、、」
『その掟については存じている。彼女が、壬生が生きていたころにその話を聞いた。彼女の話を聞く限り、主の父君も随分と悩んでいたらしい。錆無化との契約についてな。』
「父上が、悩んで?」
『壬生は、本人には言わなかったものの、太秦には受けついで欲しくないなんて言っていた。だから我と血の契約を交わして、おまえに別の道を託そうとしていたわけだ。主を『護る』ために、な。』
「僕を、、、護るために、、、、、」
『それでも主は椙ケ本家の掟を『守る』のか?』
「僕は、、、、、『護る』‼」
『そうか、、、、』
「そして『守る』。」
『?』
「あなたを受けついで!みんなを護って、母上の願いも守ってみせます!あなたと一緒に!」
『フッ、その心意気や良し、、、!ならば、主の血の証を我に示せ。』
ガリッ
太秦は自分の親指の先を力ずよく噛み、血が滴るその指で雪祈の刀身をスッと撫でた。すると不思議なことに太秦の血は白い綺麗な刀身に滲み込んで消えた。
ゴオオオッ
太秦の周囲で一瞬風が舞い、青い世界は普段の色鮮やかな世界に戻った。後ろの方から激しい金属音が聞こえる、元の世界に。太秦は手に付いた血を拭い、その手で雪祈を握りしめ振り返った。
『さあ、太秦よ。剱を抜き、意志を示せ!皆を護る、その意志を!』
頭の中で響く雪祈の声を聴き、太秦は大きく深呼吸をし、叫んだ。
「父上っ‼僕はみんなを、あなたを護ってみせます!」
「なにをふざけたことを、、、」
帷子が太秦の方を向き、軽く鼻で笑った。
「ふざけてなんか、、、、」
キュイィ、、、
「え、ナニコレ、、、、、、」
突如、太秦の視界は再び青く染まった。しかし先程とは異なって時間は止まらず、その空中には文字が浮かんでいた。
「これは、、、、」
『これこそが我、雪析の能力。その名を<分析眼>と言い、己の目を向けた者の情報をその目に映すことができる。使い方によっては世の理をすべてその目に映せると言う。』
頭の中でそう言われた太秦はこちらを睨みつけている帷子に目を凝らした。
(父上、こっわ。え、すごい見てる。すごいこっち見てる。え?怖。めっちゃ瞳孔開いてるじゃん。その目は絶対息子に向けるような目じゃないよ?父上。)
スゥ、、、
(あ!文字だ!なんて書いてあるんだ?えーと、)
【椙ケ本 帷子】
性別:男
身長:178cm
剱:錆無化
好きな食べ物:こんぺいとう
嫌いな食べ物:アスパラガス
好きな場所:プール
嫌いな場所:病院
(へえ~、これが父上の情報、、、、って父上ぇ!!なんですかこんぺいとうって!女子ですか⁉というかプールて‼父上プールて‼いつ行ったんですかプール‼この前口笛吹きながら「ち、ちょっと病院い、行ってくるぅ。プピピ~♪」っていって出て行ったのプールだったんですか⁉あ、なんかよく考えたら頭に水中眼鏡みたいなのつけてたわ!、、、、、、、、あれ?なんかまだ下の方に、、、)
そういって自分の視線を下へと下げていくが、そこに書いてあったのは先ほどツッコミまくっていた自分がばからしく思えるようなことだった。
寿命:2日
「じ、寿命、、、2日?」
「⁉」
「父上、寿命2日って、どういうことですか?」
コメントお待ちしてます。