勇者、塔に挑戦する
俺達四人はついに塔に挑戦する事となった
塔に行く前に会社に寄ると受付の女の人に
「今日の777パーティー様の挑戦していただく塔は第三の初級の塔です」
「初級?塔の難易度なんて分かるのですか?」
「いえ、分かりませんが数あるなかの塔でも小さな塔は階数も短い為初級と設定して頂いてます、その初級の塔に今回の様々なパーティーを振り分けまして挑戦して頂いてます」
なるほど、たくさんあるパーティーを分けて簡単な塔から攻略していってるんだな
「後、勇者の皆様には搭まで距離がありますので国からバイクが支給されてますのでどうぞお使い下さい」
ありがたい話だ俺達は結構大きなバイクを手に入れた
「カッコいい」
思わず俺は声がこぼれるほどそのバイクはかっこよかった
国も気前がいいな
「では皆様の健闘をお祈りしております」
こうして俺達は会社を後にした
「よっしゃ!軍隊時代バイクを乗り回してたオレのテクニック見せてやるぜ!早く行こうぜ!」
「ちょっと待って楓、俺は前にバイク乗ってたから一応免許あって乗れるけど後の二人は何かもの珍しそうにバイクを見てるんだが」
「なに!?乗れねぇのか?」
「わたくしはバイク何て野蛮な乗り物運転した事何てありませんわ、そもそもわたくしはいつも運転手がいましたので運転何て行為もしたことございませんわ」
「じゃあどうやっていくんだよ?運転手呼ぶのか?」
「ご心配には及びません」
「フライ」とマリアが言うとマリアの体が浮いた
「わたくしには魔法がございますのでこのまま行きますわ」
魔法スゲー
「じゃあマリアは大丈夫だけどイヴは?乗れる?」
「乗ったことない」
「えっと、イヴは俺が後に乗せて行くわ」
「よっし!行くぞ!」
俺達は早速とバイクに股がり第三の塔へ向かった
後ろに座って抱きついているイヴの体がかなり密着して女の子特有の柔らかさを背中に感じた
ドキドキしながらも俺達を乗せたバイクは颯爽と走っていた
会社で貰った第三の塔までの地図を頼りに塔まで向かっていると塔に近づいていくに連れて何か不穏な気配を感じた
突然通常の猪の一回りも二回りも大きな猪のモンスターが俺目掛けていきなり襲ってきた
ヤバい、これは死ぬ…
「よっしゃ、早速獲物が来たな!腕がなるぜ!」
楓が銃を向けたとたん
「おっ、らー!」と槍を持った男が横から猪を仕留めた
「オレの獲物が…」
楓が残念そうにしてるとその男が
「すまないが搭の周りのモンスターの狩りは狩人職である僕たち狩人が一任されているので君達勇者は搭の中でモンスターとやりあってくれたまえ」
「じゃ、仕方ないね、俺達は先を急ごうか」
び、びっくりした
俺は平然を装ったがかなりビビっていた
「ちぃっ、楽しみは搭の中か」
そんなこんながありながらもバイクを走らせていると塔の入り口に多くのモンスターがたむろしていた
「どうするんだよこれ、あの量のモンスターを倒してから搭に登らなくてはならないのか?」
「わたくしにお任せを!」
そう言うと太ももに巻いていたショルダーバックから折り畳みの杖が出てきた
その際スカートがめくれて俺はさっと目を反らした
明らかにどうやってこんな大きな杖を折り畳めたんだ?と疑問をもつぐらい杖は大きかった
「バーニング!」
そうマリアが言うと火の玉が出てきてそのまま搭の上の方に直撃したらその部分だけ崩れて大きな穴が開いた
「このまま乗り込みます!オールフライ!」
すると、俺達はバイクごと空に浮かび上がった
「うわ、怖い!」
急に浮かび上がり足元かふわふわする、俺は高さに恐怖したがそんな事はお構い無しにそのまま塔に乗り込んだのであった
「はぁー死ぬかと思った」
「まぁわたくしの力を信用してないのですか?」
俺の言葉に対してマリアが少し不機嫌に返した
「まぁまぁ二人とも落ち着きなって、オレは楽しかったけどな!」
「イヴも楽しかった」
こいつらの心臓は鉄の心臓なのか?
みんなの感性には俺はおいていかれていた
「とりあえず、マリアのおかげで塔は入れたけどここは何階なんだ?」
どんなゲームでも大体ダンジョンは一階からスタートするのだが俺達は初めての塔でもうすでに外から見た感じから中間の位置からスタートしたのであった
「てかマリア、オレ達を担いで空を飛べるならもういっそのこと最上階に行ったらいいんじゃなかったのか?」
俺も思った、確かに楓の言う通りであった
むしろそうして欲しかった
「何を面白く無いことを言っているの楓?あなたもわたくしと同じ様にただモンスターいたぶるを楽しむ為にここに来たと思っておりましたのに違ったのですか?」
「はっはっはー、そうさオレは楽しみたいんだよモンスターとの戦いを!」
やっぱりこの人危ない人だ!
「どんなゲームでも、すぐにクリアしてはつまらないものですわ、わたくしはこのゲーム(勇者職)をもっと有意義に楽しみたいのですわ」
もうこいつらの思考には一般人の俺には理解出来ない
俺のパーティーは変人ばっかりだな
「まぁ、わたくしのフライの高度は今の高さまでしか飛ばないのでどのみち最上階まではいけませんわ」
「まぁ、いいじゃないか!さっさとモンスター倒そうぜ!」
そう言って二人は意気揚々と奥へと行った
「作戦はどうするの?」
「作戦?めんどくさいだろ、なるようになるさ!」
いや、ならないだろ、何かあったらどうするんだよ
もうこいつらを無計画さはどうしようもないのか
そう考えると先の不安で頭を抱えると
「ひかる?大丈夫?」
イヴが優しく聞いてきた
イヴだけが俺の救いだよ、そう心の中で思った
塔の中は以外と広くバイクで入って良かったと思った
ただひたすらバイクで塔の中を探索した
ダンジョンをバイクで走るゲームは中々無いだろうな、何かずるいかな?
そんな事を考えているといきなり
「うぎゃぎゃぎゃ」
と変な奇声を上げながら人型の小さなモンスターいわゆるゴブリンみたいなのが地面から飛び出してきた
「うわー、危ない!」
ぐしゃ
俺はゴブリンをバイクで轢いた
「お!ひかるやるじゃないか!初討伐は先を越されたな」
笑いながら俺を楓が見ていた
いやいや、危なかった、死ぬかと思った
「ほう、仲間が殺られてうじゃうじゃ出てきやがったな」
地面からゴブリンがたくさん出てきた
楓はバイクから降りマシンガンを取り出した
「オラオラオラオラ、死にたいやつからかかってきな!」
楓がマシンガンをぶっぱなしてどんどんゴブリンを討伐していた
こういうダンジョンがあるゲームで銃でモンスターを倒すと楽勝なんだな、何かチートだな
「ずるいですわ楓、わたくしも殺らせて下さい」
そう言って杖を構えて
「ファイヤー」と唱えるとゴブリン達が焼けていた
おいおいおい、マリアの火力も高すぎるだろ
「うぎゃー」
「あーっはっはっはー」
「おほほほー」
ゴブリン達の断末魔と二人の笑い声だけが響いた
ノーダメージで全てのゴブリン達を駆除したのであった
「か、い、か、んですわ」
「そうか何だか歯ごたえないな」
俺はただただ呆然とその圧倒的とまで言える二人の強さを見ていた
俺いらなくね?
そんな事を考えさせられた
ぼーとしている俺を
「うぎゃっ!」
と生き残っていた一匹のゴブリンが襲ってきた
ヤバい、やられると思った瞬間
「来い、魔剣」
すると、どこからともなくイヴが剣を出し真っ二つにゴブリンを切り裂いた
「大丈夫?ひかる?」
イヴに俺は助けられた、イヴ強っ!
「ありがとう、イヴ」
冷や汗いっぱい、怖さで心臓バクバクの俺は平然を装いつつイヴに礼を言った
まじで俺いらなくね?こいつら、まじでチートだわ、そして手も足も出なかった俺はめちゃくちゃ弱すぎる、アンチチートだ、略してアンチート
はぁこの先俺大丈夫かな
この仕事に対して俺は不安でいっぱいになった