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勇者、自己紹介

真実の書とは

二人の話を聞く限りそれは約1ヶ月前に何処かの教会で発見された本の事である

一ヶ月引き込もって世界の話なんて知らずにゲームしていた俺に知るよしもない

その本には塔が現れる事やテレビで言っていた塔の範囲にはびこるモンスターの事も書いてあったそうだ

最初は誰も信じていなかったがその本の通り塔やモンスターが現れることが分かった事から人類に無くてはならない物となった

しかしその本は始めの数ページしか開く事が出来ず最後まで読むことはならなかったのであった


汝、地を救いたくば狩人を

汝、塔を制覇したくば勇者を

それを生業とする者達をたてよ


この一説の通りに世界はこの勇者職と狩人職を作ったそうだった

「わたくしの魔法もその真実の書の一説に書いてあるわ」

「汝、自らの精神を使い、魔の書を読みし者に魔の力を与えんと言うのが魔法の一説ですわ」

「そして、塔と同じ様に魔法の書が世界中に現れその書物を開き最初に読んだ者だけがその魔法を手入れる事が出来る様になるの、だから魔法の書は読めば力になるし売れば大金となる貴重な書となったのですわ」

「そんな事があったのか、じゃあマリアは魔法を沢山使えるのか?」

「そうですよ、沢山のお金を惜しみなく使い沢山の魔法を覚えましたのに使える機会が無くて勇者職で大いにモンスターをいたぶれると知って応募しただけですわ」

何て人だ、お金持ちの考えは庶民にはわからねぇ

俺だったら絶対魔法なんて買わず自堕落な生活するだろうな

次は今まで一切話に加わらず無言を決め込んだ少女の番だ

その少女はみんなの視線を感じ自分の番だと知ると今まで深々と被っていたフードを脱いだ

青く綺麗な髪に青い瞳にコスプレの様な少し尖った耳と小さな翼が着いていた、かなりの美少女だった

「これはおもしろいな、ハーフか、存在は知っていたが初めて見たぜ」

楓が言った

「え?ハーフ?何処かの国の人との?」

と、俺が言ったとたん二人はまたため息をついた

なんか、少しいらっとするな

「真実の書にはハーフについても記されているのよ」


魔の者に抗いし人よ

魔の力と人の力を持つものを頼れ

さすればその者

人に力を貸そう


との一説があったそうだ

そして二人の説明を聞くと魔物と人の力を持った者をハーフと呼びそれもこの世界の常識となっているみたいだ

ハーフは魔物の力を持っているだけあって人ならざる高い身体能力を有しているらしい、そしてハーフも魔法と同じ様に真実の書に記されて少ししてからいきなり出現したらしい

魔物と対抗できる存在だけあって人はハーフを崇めているらしい

いやー、俺の知らない間に色々な事あったみたい

引き込もってゲームとかしてる場合じゃなかったんだな

それに人類が何かその胡散臭い真実の書を完璧に信じきってるみたいだが本当に大丈夫なのか?

などと考えてると

少女がか細いが綺麗な声で

「よろしくお願いします、…」

とだけ告げた

「え?終わり?」

思わず聞き返した

「はい」

「いやいや、じゃあ質問していい?」

「はい」

「名前はなんていうの?」

「名前は無いです」

「え?」

「そうなのですわ、ハーフはこの世に生を受けてから間もない者で名前もないらしいですわ」

「それは何だかかわいそうだな」

「じゃあ兄ちゃん、その子に名前つけてやったらどうだ?」

「え!?俺が?いいのかな?」

少女の方を向くとこくりとうなずいていた

しばらく名前を考えてみて

「じゃあイヴでいいかな?」

少しイヴが微笑んだ、オッケーって事なのかな?

俺は不意のイヴの笑顔にドキッとした


「じゃあ最後は兄ちゃんの番だな」

何て事だ、こんなにメンバー全員のキャラが濃いのに俺の紹介何てしたくないな

何故かみんな興味津々な食い入る様な目で俺を見ている

イヴも大きな青い瞳を輝かせていた

「俺の名前はひかるです!以上!」

「短っ!兄ちゃんの名前しかわからねぇじゃんか」

さすがにこれじゃ許してくれないか

「わたくしもあなたに興味ありますわ」

イヴも無言でこくりとうなずいていた

みんなの個性が強い自己紹介をしていた結果最後の俺の番ではハードルが上がり過ぎていた

俺のとる道はひとつだった

「俺はみんなと違ってただの一般市民です」

どうせ後でばれるなら正直に話そうと腹を括った

「お仕事は何をなさっていたのですか?」

「いや、仕事はして無くて大学浪人です」

少し周りの空気が重くなった

「じゃあひかるは何で世の中の事知らなかったんだよ、オレでも知ってたぞ」

「大学に落ちたショックで引き込もってましてテレビ何て見なかったから」

さらに周りの空気が重くなった

こんな辛い自己紹介があっただろうか

俺の心はどんどんえぐられた

ガラッとイヴが立ち上がり俺を慰めるかの様に頭を撫でてくれた

あぁ、こんな美少女に慰められるなんて泣きそう

「まぁ、ひかる!元気出せって!働けば受験なんて無いしひかるが弱っちくってもオレがその分遊ばせてもらうよ」

楓さん、たくましいくてうらやましいっす!

心の中で楓の子分になりそうだった

「そうですわね、例え1人ぐらい弱くてもわたくしのやることはひとつ、美しいわたくしが美しい魔法を使いまくり、魔物達を華麗にいたぶる目的は果たせますわ」

さらに俺の心はえぐられた、この人Sだ

そしてイヴが

「大丈夫、ひかるはイヴが守る」

と言ってくれた

イブは優しいな、俺は心の中で泣いた

「いやー楽しいパーティーになりそうだな、モンスターは強いのかな、楽しみだ」

何が楽しみなんだ?軍人の思考にはついていけない

「お前ら二人も強そうだし一度は戦ってみたいな」

楓は二人を見渡した

こいつ、戦闘オタクなのか?バカなのか?まったくその考え理解出来ん

「あら、楓さんはしたない事言って、いつか返り討ちに致しましょう」

微笑んでマリアが答えた

二人とも怖い

イヴはさらっと流していた

「まぁまぁ、お二人さん、せっかくのパーティーだから仲良くしようよ、とりあえず仲間同士の連絡先交換しますか」

「イヴはそれ、持ってない」

俺の携帯を指差した

そうか、最近生まれたばかりなのにそんな何でも持っているわけないか

どうしようか

「おーほっほっほー、大丈夫ですわ、メンバー同士の連絡なんて皆さんの身につけてる勇者時計で出来ますわ」

「え?そうなの?」

「そうですわひかるさん、試しにこのボタンを押してみて下さい」

時計のサイドについてあるボタンを押した

するとパーティー全員の時計が鳴り出した

「これをとると皆さんと話せると言うわけですわ」

なるほど、伊達に会社の社長の娘じゃないだな

よく知ってるな


ピンポンパンポーン

放送が流れた

「勇者の皆さん、今日のミーティングはこれにて終了致します、明日からは各自、塔に挑戦して下さいね、以上解散」

今日の仕事は終わったみたいだった

みんな一斉に帰りだした

「じゃあ、俺達も帰ろうか、また明日9時にこの会社に集合して行こう!頑張ろうな!」

と言って帰ろうとする俺の服の端を引っ張られた

引っ張っていたのはイヴだった

そして、俺の顔を見て一言言った

「ひかる、イヴを泊めて」

え?えぇーーー

いきなりの事で驚いた


こうして俺の人生は就職したことで大きく変化していくのであった

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