コーヒー
詩のような小説のようなものになりました。
一杯のコーヒーを
ゆっくりとカップへ注ぐ
毎朝の日課
左手にコーヒーを持ち
新聞を読む
そういつもの日課
偉そうに座る父さんは
今日も変わらず偉そうだ
有無を言わさない威厳
いかにも頑固そうなその表情
全てが不愉快だ
何もわかっていない
何もわかるわけがない
いつだって
仕事 仕事 仕事
家族サービスなんてしやしない
不満を押し殺し
今日も父さんを送り出す
朝遅く家を出ては
夜遅く帰ってくる
今日も変わらず夜遅く帰ってくる
夕飯は冷めきり
父さんは自分でそれをレンジで温める
僕は知っている……
夜遅く帰ってくると
父さんはいつも辛そうにしていることを
それを見て
素直になれないのは
きっと今までの父さんの印象からだろう……
本当は感謝している
だけど口で言うにはなんかちょっと……
正直言って何をどう話したらいいのか分からない
家族であるのに一緒にいる時間なんてほとんどなかったから……
だから僕は
一杯のコーヒーを注いで
父さんの元へ出す
「ありがとう」
父さんはそう僕に告げ
そしてもう一言付け足して
「すまんないつも仕事ばかりで」
「ううん」
僕は照れくさくそう返事をした




