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影
薄く霧がかった景色
夜空には儚く月が浮かぶ
街灯がポツリポツリとある住宅街を
一人歩く
僕の影は何人かになり
増えては減り 減っては増えた
街灯から差す光は
どこか神秘的に感じる
僕は誰だろう……
ふいに恐怖に襲われた
答えの出ない問いかけは
心の中で静かに息をする
考えない生き方の方が楽なのかもしれない……
それでも僕は考えてしまう
相変わらず馬鹿な男なのだろう……
なぜ 影があるのだろうか……
なぜ 僕はここにいるのだろうか……
地面に照らし出された影は
静かに揺れる
答えの出ないまま
ただ 僕は暗い夜道を歩いて行く




