338/365
晩酌
暖簾をくぐった
ほっこりする空気
身を包み込んで
やがて自分の肌のように馴染む
店主はいつものように
晴れ晴れとした笑顔で
私を迎えてくれる
"いらっしゃい!"
"いつもの"
こんなやり取りも
いつからだろうか……
"いつもの"
なんて久しく使ってなかった……
毎日の晩酌も
もう何年もしていない……
今はもう
ここの店主との
晩酌を楽しむことしか
私には出来ない……
頰が赤くなり酔いが回り
なんだか寒くなるとき……
私はいつにもなく寂しさを感じる……
そしてまた
思い出しては
ポロリポロリとエピソードを
店主に語る
その度に
うんうん
と頷く店主をみて
私はまたお酒を煽る……




