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一言
小さな手
細い指は
僕の手を捉える……
君は何も言わない……
ただずっと
夕日が沈むのを
二人で眺めていた……
やがて日は沈み
街灯の灯りが
ぽつぽつとつき始めた……
今日はまだ一度も
君と話していない……
言葉を交わしていない……
触れている指や手から
じんわりと暖かな何かを
感じている
ふとそんな感覚に出会った……
君の手はぎゅーっと
僕の手を握りしめ
そして
ポツリとたった一言だけ
呟いた……
好きだから……
ちゃんと……
本当は分かっていたはずなのに
改めてそれを痛感した
胸の蟠りが晴れた
そんな気がした
月明かりが僕たちを照らし
僕たちはそっと抱き合った……
僕からもたった一言……
好きだ……




