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水面と君
僕が揺れて
君が揺れて
花は揺れて
そして散ってゆく
パラパラと
散りばめられた花びらが落ちて
波紋は広がる
重なる波紋がまた
花を映し出す
まるでゆっくり花開くように……
僕も
君も
魅せられて
やがて一人の寒さを
手で
腕で
肩で
頰で
感じては水面を覗き込む
そこに咲く花と君の姿を見て
どうしようもなく苦しいだけ……
笑わない君を見て
今にも溢れ落ちそうな雫を
必死に堪えてて……
花が水に溶けて
君も僕も
水に溶けていく……
水面に映し出された幻
僕はまた夢を見ていたようだ……
戻らぬ過去の……




