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涙色
筆を取る
想い馳せる
彼方の空に浮かぶ雲眺め
ふいに雫は落ちる
真っ白なキャンバスが滲む
白から灰色へ……
私の涙はどうやら黒いらしい……
キャンバス全体
着々と滲んで
やがて灰色に染まる……
擦れば零れ落ちる
ボロボロの紙くず……
乾くこともないなら
描くこともできない……
筆は私の手に挟まったまま
描こうとしない……
ただただ
零れ落ちる想いが
キャンバスを染めていくだけ……
あなたを想えば……
そんなことは言っちゃダメと
私自身に言い聞かせては……
ただキャンバスを染めていく
私の涙の色を見つめるだけ……




