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あなたはどう……
別れ際の彼は
なぜだかいつも笑顔だ
私はこんなにも離れたくないのに
彼はいつも私に
またね
と告げる……
解かれた手
微かに触れて離れる唇
彼の温もりが
両腕にじんわりと残る
こんな想い初めて
と思うほどに
何度繰り返しても
それは最初で最期なんだ……
それっきりなんだ……
彼もまたそうなのだろうか……
雲は流れ
月が顔を出す
一人取り残された道路
佇む影はゆらゆらと
何かに迷うように揺れた
彼は今頃何を考えているのだろうか……
また明日も
最初で最期の気持ちが訪れるのだろうか……
頭上の月を見上げ
ゆっくりと目を閉じた……




