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弔い送花
花を持つ
一人ずつ配られるその花を……
白が基調の雰囲気の空間
さらに白を重ねる……
やけに質素である……
大切な人を見送るというのに……
感謝の気持ちを
これで伝えられているのだろうか……
大切な人との最後の瞬間というのに……
私は箱舟をぼうっと眺める
二度と目覚めることのない大切な人を……
本当にただ眠っているようで
全然実感が湧かないのに……
今にも涙が溢れてしまいそうな程
目頭が熱い……
想像してしまった
大切な人のいない未来を
本当にこれが最後なのだと……
私は白に囲まれた大切な人に
赤の花を持たせた
忘れられない愛した人への
感謝と想いを告げるように……
私を最後に
箱舟には蓋をされ
果ての旅へと
船を押す……
いつかその果てで
また出会えることを願って……




