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さよならを言わないで
一度も振り返らない
その背中は遠退く
声は出ない
涙も出ない
こんなの望んでないのに……
こんなはずじゃなかったのに……
芯まで凍えてしまいそうな北風
見捨てられたような街灯
よく遊んだ公園
よく話した帰り道
全ての記憶がお腹の深くから
溢れてくるようで息もできない……
夜空で米粒ほどの星が光る
私も星になれたら……
そんなことを想う
あの人の傍にもっといたい……
あの人のさよならが
力なく響く
その度に心臓をまるで
何かに鷲掴みにされている
そんな感覚が私に何度も
あの人の大きさを知らしめる……
お願いだから
さよならを言わないで……




