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煙
吸い込んで苦しくなる
吸い込んで噎せる
あなたの好きなこのタバコ……
置き去りにされたタバコに
ポッと火をつける……
そして一口だけ口にする……
煙は上がる
苦い
喉が焼けそうになる
肺に溜まる
もわもわと
かき混ぜられるように
タバコの煙は漂う
そしてふと
あなたと過ごした日々を思い出す……
よくあなたが咥えていたこのタバコ
その横顔をみてると
なぜだか嬉しくて
なぜだか満たされていた……
今はもう寒い部屋
あなたはいない……
ドアを開ける音を
どれだけ待っても
それはもう鳴らない……
私はあなたを思い出すために
もう一本タバコを口にした……
煙はぷかぷかと漂う……
やはり苦くて
やはり噎せる
けれど
この時だけ
あなたと繋がっている気がする……




