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君
夕空を流れる雲を眺めて
ふと
溜息をもらす
いつも左手にあったはずの温もりは
気付いたらもうなくなっていた
マフラーに顔を埋めた君の姿
僕の手を引く君の姿
背伸びをしてキスを求める君の姿
僕の両腕に収まる君の姿
その全てが今
ここにない……
君のいない夜を何度超えても
君の声が聞こえない時間をどれだけ耐えても
何かが変わるわけではない
君と交わしたキス
マシュマロのような唇の感触は
今も忘れられず
君の姿を探して
君の声を探して
降り出した雪に
君の幻を見た
あぁ君に会いたい……
この腕で抱きしめたい……
君の最後に見せた表情が忘れられない……




