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余った雪で2

「ただいま。料理受け取ってきたよ」

 男性、【コー】はかまくらの中に居る仲間に料理を見せる。

「ありがとう! 寒い中ごめんね」

 女性プレイヤーの【みっこ】がコーを労い、同時に男性プレイヤーの【カテル】も申し訳ないと両手を合わせた。

「ほら、冷めないうちに食おうぜ」

 そう言って、かまくらでのささやかなパーティーが開催された。

 かまくらの中心には、雪で作った簡易的なテーブルがあり、そこに料理を置く。

 唐揚げ・おでん・豚汁を並べると、湯気が立ち上る。

 コーはまず豚汁に箸を付けた。まずは汁、味噌の香りが広がり身体が温まる。豚肉も脂身が美味しく、大根もニンジンも柔らかいがゴボウだけは歯ごたえを失ってはいなかった。。

「寒いと、こういうのは倍美味く感じるな」

 コーが一息吐いている横で、みっこはおでんの卵を食べていた。ほんのりと出汁の染みた白身に、味の濃い黄身。それをモグモグと食べている。

 二人が料理に手を付けているのに対し、カテルは熱燗を飲んでいた。

「温まるにはやっぱコレだろ」

 当然だと言わんばかりに熱燗を煽り、そして唐揚げを口に入れる。

 しっかりとした濃いめの味に、皮のパリパリとした触感。肉も弾力あり、溢れる肉汁が美味しい。

 かまくらの外は雪景色で、確実に寒いのだろうが、かまくらの中は外気が遮断される分温かく感じられた。

 暫くすると料理も酒類も切れた。

「どうする? お開きでも良いけど」

「俺は少し飲み足りないな」

「そうなったら、またつまみを買いに行かなきゃならないぜ?」

 温かいかまくらから出る人数は熱燗の作成と買い出しの二人。公平なじゃんけんの結果、カテルが熱燗の作成でコーがまた買い出し要員に決まった。

「では二人とも、よろしくね」

 みっこに見送られながら、コーは再び喫茶店やすらぎを訪れたのだった。

 


 雪の日と言うこともあり、いつもより客足は鈍く喫茶店やすらぎには現在三人の常連客しかいなかった。

 そんな中、ドアベルが鳴り新たな客の来店を知らせた。

「いらっしゃいませ。あら?」

 そこに居たのは、先ほど持ち帰りで唐揚げとおでん、それに豚汁を購入した男性が再び訪れた事に、マナはどうしたのかと彼に尋ねた。

「思ったよりかまくらでの飲み会が盛り上がって、料理が無くなっちゃったんですよ。ですからまた買い出しに」

 彼はそう言い、数品の料理を持ち帰りで注文して出て行った。

 そして、先ほどと同じように三十分を超えたあたりで完成した料理を受け取りにやってきた。

「ご注文の料理ができていますよ」

「ありがとうございます。すっかりかまくらが気に入っちゃいまして、さっさと料理持っていかないと」

 そう言う彼の言葉を聞いて、マナは少し羨ましく感じた。

「なるほど、かまくらは楽しいんですか」

 今度かまくらを作って、そこで食事でもしてみようかと考えていると、コーが軽い感じに聞く。

「ここって何時に閉店するんですか。閉店の後に遊びに来ませんか?」

 喫茶店やすらぎは、基本的に二十四時間営業なのだが、彼はそれを知らないらしかった。

 すると三人のうちの一人が、

「行ってきなよマナちゃん。こっちは適当に切り上げるから」

 と言い出した。

 他の客もうんうんと頷き、問題ないと伝えた。

 マナは考え、少しだけかまくらにお邪魔することにした。


「ただいまー。お客さん連れてきたよ」

 コーの声に、かまくらから顔を出したみっこが、見上げる形でマナと目を合わせる。

「あれ、やすらぎの店長さん?」

「お誘い頂いたんです。少しお邪魔しても良いですか?」

「どうぞどうぞ。ゆっくりしていってください」

 招かれ、マナはかまくらの中に入った。中にはみっことカテルが既に酒を飲んでいたようで、空き瓶が二本ほど転がっていた。

 座った最初は解らなかったが、明らかに温かく感じ始める。そしてそのまま呑み会が始まった。

「店長さんってお酒は?」

 カテルが徳利を向けマナに勧める。

「まだお店がありますから」

 酔わなくとも、酒のにおいを漂わせてお店に立つことは考えていなかった。

 それなら料理を食べてくつろいでくれ。と箸を渡した。


「かまくらって何か落ち着きますね」

「そうなんですよー。手ごろな狭さが良いんですよ」

 マナとみっこが仲良くなり、コーとカテルが酒を飲みまくっている。

 そうしていると、時間はあっという間に過ぎた。

「そろそろ私はおいとましますね」

マナがそう言って腰を上げると、仲良くなった話し相手を帰したくないみっこが引き留めた。

「えー。もう少しだけ良いじゃないですか」

「お店も開けっ放しで来ちゃってるので、もう帰らないと」

 するとコーがみっこをなだめる。

「あんまり無茶ゆうなよ」

 コーに言われたことで諦めがついたのか、みっこは唇を尖らせながら納得した様だった。

「ふふふ。私は喫茶店やすらぎに居ますから、いつでも遊びに来てください」

 かまくらを出ると、外の冷たい風が頬を撫でる。

「かまくら、楽しかったな」

 新しい冬の魅力を発見できた事に喜びを感じながら、雪の道を歩いていて帰った。


最後まで読んでいただいてありがとうございます。


突然ですが、休憩に料理なんていかがですか? は次回で最終話とさせて頂きます。

次話もよろしくお願いします。


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