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プログルブオンライン料理王決定戦3

 続いて鶏肉のワンスプーン料理を食べる。

「鶏肉を蒸したものにオレンジソース。これは合う組み合わせですね。フルーツソースの甘味は肉料理になじみます」

 この料理でも客席の誰にも伝わるように説明するくるり。

「フルーツのソースと言うのは馴染みが無いので、感想は難しいかと思いましたが、オレンジのソースは美味しいです。これはオレンジ以外のフルーツでも行けるんですかね?」

 小難しい感想を言うよりも、純粋に思ったことを言う彼のスタイルは受け入れられるものだった。

「フルーツソースには色々なものがあるが、蒸し鶏なら柑橘系が良いだろう」

 鈴太の疑問に答えたのは寅次だった。

 マナの料理を食べ終えた三人はそれぞれ用紙に点数を書き込む。

 審査員の持ち点は一人十点の合計三十点満点。一人の料理を食べ終えるごとに点数を書き込み、最後にマナたち三人の合計点数が発表される仕組みだ。


 マナの次はチーエ。彼女の料理は【ステーキ】だった。皿の上には良い焼き加減の牛肉にフレッシュサルサソースのようなものが掛かっていた。

「チーエ選手はステーキですね。このソースは特製のようです」

 鈴太がフォークで肉を刺し口に運ぶ。モグモグと咀嚼して飲み込む。

 直ぐに感想を言わねばいけないのだが、何かを考えこむように唸ってからゆっくりと口を開いた。

「こってりと苦く、サッパリと甘い。しっとりとしているが、サクサクとした触感もある。美味しくなさ一瞬過よぎるが、癖になる」

 と意味の分からない感想を並べる鈴太に変わり、くるりがステーキを食べる。

「お肉自体はなんの変哲もないものです。焼き加減は少し焼き過ぎかと思いますが、許容範囲内と言えます。しかしこのソース。どういう理屈でこの味を出せているんでしょうか?」

 それはチーエに向けられた言葉。しかし、困ったのはチーエだ。野菜を刻み、直感で手あたり次第に目に付く調味料を入れただけなのだ。何故苦くて何故甘いのか判らない。

「え、えーと。その場その場で美味しいブレンドを考えているので、よく覚えてません」

 上手くごまかそうと頑張った結果、

「なるほど、オリジナルブレンドですか」

 と、納得してくれた。

 寅次も複雑そうな表情をしながらも採点用紙に点数を書き込んだ。


 そして最後の料理が審査員たちの前に並ぶ。

 フォンダンショコラからはほんのりとブランデーの香りが漂っている。

「最後にかけていたのはブランデーだったんですね」

 鈴太がフォークでフォンダンショコラを半分に割る。すると、中から溶けたチョコレートが流れ出てきた。

 スポンジの部分にチョコレートを付けて食べる。

 完成から少し時間が経っているため、少し冷めた、しかし味の落ち着いたチョコレートが広がった。

「甘いだけでなく、チョコレートの苦みもきちんとありますね」

 くるりは生クリームも乗せ食べる。

「美味しいですね。お店の味と言うんでしょうか、安定した感じがします」

 先ほどのステーキの味を消すかのように、スイーツを楽しんでいた。

 寅次も、料理の感想を放棄して黙々と食べ続けた。



「さて、審査員の皆さまの採点も終了し、集計も終了しました!」

 司会者が会場の注目を集める。

 会場の真ん中にチーエ・銀笑・マナの三人が並び、結果発表を待っていた。

「プログルブオンライン広しと言えど、料理王を名乗れるのは一人のみ!!」

 その言葉に観客が沸き、同時に会場の照明が全て落ちる。

 照明が落ちたことで、一瞬にして水を打ったように会場が鎮まる。

「第一回プログルブオンライン料理王決定戦、初代料理王は……」

 長い沈黙の後に、スポットライトライトが一人を照らし出す。

「マナ選手です!!!!」

 会場は拍手と歓声に包まれた。暫くの歓声の後、司会者がマナにインタビューをするためにマイクを向ける。

「料理王、おめでとうございます。勝因などがあればお願いします」

「勝因なんてありません。私は全力でした。次回の決定戦でも同じ力量なら負けてしまうことは明白でしょう」

 模範的な答えを言うマナ。それが悪いわけでは無いが、何かを期待していたプレイヤーたちからは若干の苦笑がみられた。



 その日の夜、普段通りに営業している喫茶店やすらぎにやって来る客は、

「こんばんは、優勝したんだって? おめでとう! これ差し入れね」

 そう言いながらマナに差し入れのお酒を渡す。

「優勝おめでとうございます料理王!」

 など、声がかけられ続けた。

 店内にいる客も、

「あの決勝戦での料理って注文できますか?」

 決勝でのワンスプーン料理料理を食べたいというリクエストも多かった。

「大丈夫ですよ。直ぐに作りますね」

 マナも当然この流れは読んでいたので、対応もスムーズだ。

 いつもより少し騒がしい喫茶店やすらぎだが、誰もがマナの優勝を喜んでいたのだった。


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