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母親たちの休息

 平日の昼間、女性プレイヤー三人が喫茶店やすらぎに集まって二時間近く話し込んでいた。

「昨日も土まみれで帰って来てもう大変。洗濯機の水が真っ黒になっちゃって」

「ウチも似たようなもんよ? この前なんてポケットに石が入ってたんだから」

 男の子ってわかんないもんよねぇ。と苦笑を漏らすのは、子供が学校の同級生の母親たち。つまり彼女たちはママ友の集まりだった。

 子供は学校、家事も全て終わった午後に、お気に入りの店で愚痴や雑談を日課にしていた。

「マチさんのところは女の子だから手はかからないんじゃない?」

「それこそまさかよ。耳年増みみどしまって言うの? どこで変な知識付けてくるんだか」

 本当に苦笑を浮かべ、どうしたらいいのか。と悩んでいた。


「もうすぐ夏休みじゃない? 毎日のご飯どうしようかと思って」

「毎年面倒なのよね。自分だけだったら適当に済ませちゃうけど、子供がいるとなると適当じゃ駄目なのよね」

「でも素麺そうめんだと文句言うのよね」

 どこの家庭でも大変なのか、苦労話は尽きない。

「ウチは宿題も全然やらないで、八月の二十日くらいに泣き始めるのよ」

 当然他の二人も賛同を見せる。


「うちの子は、そのくらいの日になると積極的にお手伝い始めるのよ。それで結局、ドリルとか手伝わされるの」

「自分の好きな図工とかはやるのよ。でも読書感想文とかは絶対にやらないのよね」

 他にも、旦那への愚痴や噂話に話しに華を咲かせまくっていたが、自分たちが喫茶店に居る事を思い出したのか、メニューを眺め全員が【クラッシュゼリー】を注文した。

 注文した料理が届くまでの間も、とめどなく会話が続き途切れることは無かった。

「お待たせしました。クラッシュゼリーの【コーヒー】【イチゴ】【レモン】です」

 運ばれてきたゼリーは、クラッシュの名の通り、大小さまざまな大きさに砕かれグラスに収まっていた。それはまるで宝石の様に輝きを放っている。

「綺麗ねー」

「可愛いわよね」

「お店のスイーツって感じね」


 主婦の仕事の合間に、気の合う友達と会い綺麗で美味しい料理やスイーツを楽しむ。その瞬間だけは母親や妻では無く、気楽に話し合える女性として過ごせる瞬間だった。

 眺める事を止め、スプーンを取る。

 黒いゼリーをすくう。それを口に入れればヒンヤリつるんとした舌触り。噛めばプルプルとした触感に、コーヒーのほろ苦さと香りが広がる。

 赤いゼリーのイチゴは、イチゴの果汁に風味を損なわない程度のシロップが混ざっており、甘いがくどくはない味に仕上がていた。

 黄色いゼリーのレモンは、イチゴのようにシロップは入っていない。酸っぱさを活かしたサッパリな味に仕上がっている。


 初夏の暑くなり始め、その気候に合ったデザートは清涼感が満載だった。

「これは美味しいわね。コーヒーだから、あの子にはまだ早いかな」

「レモンも甘くは無いからダメかもね」

「イチゴは甘いから大丈夫じゃない? 今度作ってあげようかしら」


 結局は子供が基準になってしまうのは母親の性なのか、ゼリーの作り方を話している。

 それを見て居たマナは、作り方を教えるために彼女たちのテーブルに近づく。

「クラッシュゼリーは結構簡単に作れますよ? 果汁やジュースに寒天を混ぜて冷やすだけです。固まったら、フォークなどで軽く砕いて完成です。」

一度も作った事無いけど、結構簡単そうね。と頷き合う彼女たち。


 案外簡単に作れる事を知り、良かったわね。と盛り上がる三人にマナは更にアドバイスをする。

「例えば、リンゴ一種類だけではなく、リンゴとオレンジの二種類を作って混ぜたり、上下二層にするとオシャレに仕上がりますよ。あと、お好みでカットしたフルーツや生クリーム。炭酸入りのジュースを入れても美味しいですね」


 そんな話をしていると、子供たちが帰ってくる時間になり、彼女たちは席を立った。

「ゼリーの作り方、教えれくれてありがとうございました」

「ご馳走様でした」

「また来ますね」

 そういってログアウトした母親たちを、マナは笑顔で見送った。


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