雨の日の過ごし方
朝から雨が降っているプログルブオンライン。喫茶店やすらぎの窓にも雨が打ち付けていた。
雨の日は外に出かけるプレイヤーも少なく、自分の家やギルドに籠って過ごすのが普通になっていた。
その関係で、今日のやすらぎに客足は無かった。
曇った空に習うように、薄暗い店内でマナはコーヒーを飲んでいた。あえて明かりを付けず、そのままの雰囲気を楽しんでいる。
普段は忙しく店内を歩き回り、厨房で料理を作っているマナも今日はゆっくりとした時間を過ごしていた。
店内には雨が屋根と窓に打ち付ける音だけが響いている。マナは、その中で何も考えずに目を瞑り、雨の音だけを楽しんでいた。
時折コーヒーを啜り、再び目を瞑る。
どのくらいそうしていたのか、いつの間にかコーヒーは空になっていた。そして気付けば正午、時間的に何か食べようかと考える。
「んーー。オムレツにしましょうか」
簡単に作れ、美味しいメニューに決定したので、早速厨房に立つ。
冷蔵庫から卵を二つ取り出し、ボウルに割り入れる。そこに塩を少々と牛乳と生クリームを入れて混ぜる。それをバターを溶かしたフライパンに全て流し入れる。軽くかき回し半熟状態にしてから器用にクルクルと巻く。
白色の皿に乗せると、楕円形のオムレツの黄色が鮮やかに映える。そこにトマトケチャップをかけ完成。
オムレツだけでは少し寂しいので、近所のパン屋で買っていたベーグルを食卓に並べる。
「いただきます」
フォークでオムレツに切れ目を入れる。中からトロリと半熟卵が流れだす。フォークですくって一口食べると、フワフワトロトロの卵が口に広がる。
「うん、美味しい。火加減の具合も良いですね。……もう少し固くても良かったかも」
美味しさを感じながらも、冷静に分析をする。
フォークを置き、ベーグルに手を伸ばす。ベーグルはブルーベリーが練りこんであるので、少し紫がかっている。それを少し千切って食べる。モチモチとしたベーグル特有の食感にブルーベリーの甘酸っぱさが重なる。
「巴さん、また腕を上げましたね」
パン屋の店長である巴のパン作りの腕が上がっている事に感心しつつ、ベーグルを味わう。
「ご馳走様でした」
と、両手を合わせる。
未だ雨は降り続いていている。昼食後のひと時に二杯目のコーヒーを飲みながらゆったりと休憩する。
するとマナは、端末を取り出し料理サイトを巡り始めた。
「野菜系の煮込み料理を増やしたいんですよねぇ」
お店のメニューを増やそうと、暇なときに様々なサイトを見て回るようにしていた。
「あ、これ美味しそう。……。あ、こっちの料理も良いなぁ」
雨音をBGMに、色々な料理を見ながらマナの雨の日は過ぎていく。




