沖縄料理1
今日の喫茶店やすらぎは少し雰囲気が違った。店の雰囲気も違うが、客の頼んでいる料理も少し違った。
沖縄料理が中心のメニューが並んでいる。店先の看板にも『本日限定沖縄料理』と書いてあるので、やって来る客も沖縄料理を求めている人が多かった。
「すいませーん。【ゴーヤーチャンプルー】と【ラフテー】下さい」
「かしこまりました。直ぐにお持ちしますね」
マナはすぐさまゴーヤーチャンプルーに取り掛かる。
ゴーヤーを縦半分に切り、中の種とワタを取り除く、そしてそれを横に切っていく。これは薄すぎても厚すぎてもいけない。薄すぎれば食感も味も無くなってしまい、厚すぎれば存在感が強くなりすぎてしまう。
フライパンで最初に炒めるのは豆腐。豆腐を手で崩しながらごま油で炒める。焼き目がつくと取り出し、薄切りの豚肉に塩コショウを振り炒める。これにも火が通ったらゴーヤーを入れる。ゴーヤーに火が通りすぎないうちに溶きタマゴを流し入れ、先ほどの豆腐を戻し全体を炒める。そして醤油などで味付けをして皿に盛り付ける。
そしてラフテーも皿に盛り付ける。ラフテーとは、豚の三枚肉を使った解りやすく言えば豚の角煮である。それを沖縄料理ではラフテーと言い、脂身のトロトロ具合が絶品の料理だ。
マナが料理を運ぶと、それを受けっとった男性客二人は早速箸を着けた。
「あっさりした味だけど、豚肉の旨みが卵によく合う。そこにゴーヤーが加わると美味いんだよな」
「二十歳超えたころから食えるようになったな。お前、子供のころから食えた?」
「まさか。……子供ってゴーヤーとかピーマンとか嫌いだろ? 理由は【苦い】からなんだけど、子供は味覚が鋭いんだよ。大人になるとだんだんと鈍くなるんだ。それで、苦みっていうのは子供の本能として【毒】と勘違いするんだよ。だから子供の鋭い味覚にとって、野菜のちょっとした苦みってのは、考えられない程の毒なんだよ」
「へぇ、流石は栄養士。豆知識出してくるね」
「まあな」
そう笑いながら、ラフテーを食べる。
「これも美味いぞ。脂は蕩けるし、肉はほぐれるし」
別のテーブルでは、同じようにラフテーを食べてビールを呑んでいる女性がいた。




