初ライブ2
テーブルの位置をずらし、後ろにスペースを作り小型のスピーカーとギター・ベース・ドラムを設置した。
彼女たち、【ミント】・【K】・【フーカ】は朝からやすらぎに訪れて、チューニングなどの調整を繰り返していた。
「調子はどうですか?」
仕込みを終えたマナが調理場から出て来て尋ねる。
「はい。おかげさまで絶好調です」
やる気に溢れている三人は、その勢いのまま練習がてら演奏をしてみる事となった。練習とはいえ、演奏が始まるとなれば店内に居る客たちも多少の興奮が見え始める。
ギターのストラップを肩から下げ、マイクの前に立つミント。その横にはベースのKが位置に着き、後ろにはドラムのフーカが居た。
三人は目を合わせ、頷く。前を向き一瞬の沈黙の後、勢いよくギターとベースの弦が、ドラムを打つ音が響いた。
アップテンポのノリのいい音楽。ミントが歌う歌詞も、少女の可愛らしさを損なうことが無い言葉が続いた。
三分ほどの演奏が終了し、ふぅ。とミントが溜息をついた。それと同時に客席から拍手が鳴る。
それは、自分たちの演奏が成功した証明にほかならない。その送られている拍手を全身に浴び、笑顔を見せる少女たち。
それで緊張も解けたのか、練習はそのまま本番に繋がった。
二曲目も可愛さを重視した、先ほどのはイメージカラーが赤なのに対し、こちらは青色のアップテンポな曲だった。
そうなれば当然客席も盛り上がる。しかし、場所は食事処なので立ち上がることは禁止としているので、盛り上がってはいるが大人しかった。
「若い子の音楽って縁遠くなったわねぇ」
「音楽だけじゃないけどね。昔は最先端を歩いてた気がしてたんだけどなぁ」
二人の女性は、ワインを飲みながら目の前で行われているライブを鑑賞していた。
彼女たちの演奏はアップテンポから、しっとりとした曲調になり、客席も聞き入るようになった。
そして用意した全ての歌を歌い終え、拍手喝采がやすらぎを満たした。
「俺たちもバンドやってみるか?」
「あんなに格好良くはならないだろ」
早くも影響を受けたグループが、自分たちもやってみようかと思案を巡らせているうちにライブは終了した。
後日。
「次の曲は恋愛の曲がいいんじゃない?」
「それか、片思い系」
「失恋ソングも一曲あっていいよね」
一晩だけ行われたライブは大人気だった。掲示板でもそれなりの話題にもなった。そして今、彼女たちは喫茶店やすらぎでケーキを食べつつ新曲の歌詞を考えている。
その様子を見るマナは、また近いうちにライブが開かれるだろうことを予感していた。




