寒い日おでん1
現実世界では各地で雪もちらつき始め、北に位置する地域では積もることも普通になってきた頃。プログルブオンラインでも、冬の勢いを強め始めていた。
ドアベルが音を立てる。
「いらっしゃいませ」
「うー、寒ーっ」
店を訪れる人間の大半は、挨拶の代わりにこの文言を口にしながら入店する。
そして、男性は迷うことなく注文を口にする。
「【おでん】、お任せで四つくらい見繕ってくれ。あと熱燗」
「かしこまりました。少々お待ちくださいね」
毎年寒くなるにつれて人気になるメニュー。マナは、寒くなると積極的に作る料理があった。それは【おでん】である。
店の外に看板を出し、それに『おでん作りました』と書くだけで、その日は飛ぶようにおでんが売れる。その事はマナも良く分かっているので、普通の料理の仕込み量を減らしている。
コンビニ等に置いてあるものと同型のおでん専用鍋には、所せましとおでんタネが沈んでいた。
その中から【卵】【大根】【タコ】【つみれ】の四種と、熱燗を用意し提供する。
「お待たせしました」
コトリと皿を置くと、湯気が立ち上る。
「良い匂いだねぇ。関東風?」
「ええ、今日は関東風の出汁で仕上げました」
美味そうだ。と男性は箸を手に取り、大根に手を付ける。十分に味が染み込んだ大根を四等分に割りカラシを付ける。
それを口に入れると熱が舌を襲う。ほふほふと熱を冷ましながら、少しずつ噛みしめる。すると大根に染み込んだ出汁が口の中一杯に溢れてくる。
カラシが味を引き締めるのを感じながら、ゴクリと飲みこむ。
間髪を入れず熱燗を流し込む。
オヤジの飲み方だと自覚しながら、この堪らなさを痛感する。
(ガキの頃は、牛スジばっかり食ってお袋に怒られたっけなぁ)
懐かしい記憶を辿りながら、卵を半分に割る。
そんな一人での楽しみ方をしている一方、複数人での会話も盛り上がっていた。
気がつけば、前作の休憩に料理なんていかがですか? の話数を超えていました。これも、この小説を読んでくださる皆さま、ブックマークや評価までしてくださる方が居る事が、モチベーションの維持に繋がっている事を改めて痛感しました。本当に有り難うございます。
まだまだ、休憩に料理なんていかがですか?二皿目を終わりにする予定は無いので、これからも読んでいただけると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。




