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実装試験2

「お店の中なら逃げ出さないですよね」

 そう言って鳥のアイコンをタップする。

 そうして出てきたのは、緑色が鮮やかな羽を持つ鳥で、恐らくオウムに属するもので、マナは名前を【ヨルム】と名付けた。

 ヨルムはカウンターの上でじっとしていたが、不意にマナの方を向き首を傾げた。その後ピョンピョンとマナの方に近づいてきた。

「これはこれで可愛らしいですね」


 試しに人差指を出してみると、くちばしで軽くつついてくる。犬とはまた違った愛嬌を見せ、感動を覚えるマナ。

 オウムと言えば、人の言葉を真似して喋ることができる。正式な実装では、簡単に喋ることは無く、何日もかけて習得するものだ。しかし、今日は試験的なもの。特殊なプログラムで一度で喋られるように設定されていた。なので、試しに一言二言話しかける。

「こんにちは」

『コンニチハ』

「いらっしゃいませ」

『イラッシャイマセ』

 マナの言う事を繰り返すヨルムは、いらっしゃいませ、を気に入ったのかその言葉を繰り返している。


 暫く会話を堪能し、問題が無い事を確認したので最後の動物を呼び出す。

「皆可愛かったですけど、私の楽しみはこの子です!」

 端末に表示されている動物、猫のアイコンをタップする。すると、今までと同じようにグレーの毛並みをした猫が現れた。

 猫はカウンターの上に手足を縮めて寝ていて、マナの方を見向きもしない。

(あぁ、カワイイーーー!!!!)

 起こさないように、声には出さないで悶絶する。


 今回の実装試験で犬、鳥、猫のうち、マナが一番楽しみにしていたのは猫だった。もちろん犬の従順さや一緒に遊んでくれる楽しさ。鳥の自分の言葉を真似してくれる可愛らしさも魅力だが、猫の自由気ままな姿が何よりも楽しみだった。

 しかし、眺めているだけでは実装試験にならない。ゆっくりと寝ている猫の背中を撫でる。すると猫は、耳をピクリと動かして微かに目を開ける。

「ちょっと撫でさせてくださいねぇ。【ルコ】」

 名前も呼んでみるが、ルコは撫でる手を気にも留めず、あくびをしてまた眠った。

 暫く撫でていると、流石に鬱陶うっとうしくなったのか、ルコはむくりと起き上がりカウンターから飛び降りて、テーブル席の椅子で改めて眠り始めた。

 逃げてしまったのは残念だが、特に不具合も見られないので結果を報告書にまとめる。

《プログラムの不具合も無く、実際に触れ合っても問題なし》

 そう報告書を締めくくり、実装試験の結果を送信する。


 メンテナンスも終了する時間が迫っている。そうなれば、実装前の動物たちともお別れだ。

 本当はラーフもヨルムも呼び出したい。しかし、もう一度会ってしまうと別れがつらくなってしまう。最後にもう一度だけと、ルコのもとに向かい軽く背中を撫でる。すると、今まで興味無さげだったルコはマナの腕に頬を寄せた。

 別れは辛いが、実装される日を楽しみにルコを端末に戻した。


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