秋の味覚1
秋の味覚の代表各の一つ、【栗】。今年もその季節がやってきた。
「唐揚げ定食お待ちどう様です」
「おぉ、来た来た。待ってたんだよ【栗ご飯】!!」
男性の歓喜の先には茶碗によそられた栗ご飯があった。
喫茶店やすらぎでは今日から一週間、定食などのご飯ものは、普通の白米と栗ご飯の二種類から選べる期間だ。
常連客たちも初来店の人たちも、揃って栗ご飯を食べる。その中に、金色の髪と黒色の髪以外は全く同じ顔を持つ双子の女性プレイヤーが、カウンター席に並びながら定食を食べながら話していた。
「明日の講義の課題、終わった?」
「終わったよ」
「問三の答えって何?」
「昨日はTVを見ていた」
「あぁ、過去形?」
「そう、過去形」
二人で受講しているドイツ語の話をしながら、きんぴらごぼうを突いている。
彼女たちは其々、【サンマの塩焼き定食】と【サバの塩焼き定食】。味噌汁の具材はワカメと豆腐。小鉢はきんぴらごぼう。糠漬けはキュウリとナス。ご飯は勿論栗ご飯。
彼女たちの会話は、いつの間にか相手の食べている定食の話になっている。
「サバ、一口頂戴?」
「良いよ、サンマ頂戴」
そう言って焼き魚を交換して一口食べる。
サバの肉厚な身を食べれば、脂と塩の混ざり合った強烈な旨みが広がり、少ししょっぱい気もするが、ご飯を口に入れれば丁度良い塩梅となった。
サンマもサバ同様、身に脂が乗っているがサバよりもサラリとした感じが強い。身のふっくらした感じと皮のパリパリとした食感とが旨みを持ち、これもまたご飯によく合う。
「「んー。美味しい!!」」
揃えた声で料理を堪能している彼女たちに、突如後ろから声が掛かる。
「待っててって言ったのに何で先に食べてるのぉ」
少し怒りを含んだ声に、双子が振り返る。
「あぁ、遅かったね」
双子の黒髪がそう言った。
「遅れるって言ったじゃん。待ってるよって言ってたじゃん!!」
再度抗議の声を上げる双子の友人。
彼女、未甘は同じ大学に通っていて、ドイツ語の講義を通じて仲良くなり、プログルブで遊ぶようになった。
今日は未甘はアルバイトがあり、喫茶店やすらぎで待ち合わせをして、三人で一緒にご飯を食べてからクエストをこなそうと約束していた。
「ごめん未甘ちゃん。誘惑を振り切れなくて……」
申し訳なさそうに金色の髪を項垂れさせる。
未甘も怒っているといっても、別に本気で怒っているわけでは無い。文句を言いつつ横に並んで座った。




