サッパリ美味しい1
夏祭りイベントも終わり、いつも通りの静けさが帰ってきた。
此処、喫茶店やすらぎもそれは例外ではない。
「マナちゃん。アイスコーヒーのお代わり貰えますか?」
「直ぐにお持ちしますから、少々お待ちくださいね」
売れるものはだいたい冷たいものと、軽食が多かった。いくらゲームの中でも脂っこいものは受け付けない様だ。
「やっぱりプログルブは最高だよな。涼しい部屋に籠って友達に会って」
「去年までは休みも無く毎日部活でグラウンド駆けずり回ってたからな。あれは青春だったけど、今思い出してもキツイわ」
高校からの友人であるファスとハーラー。彼らは高校生時代を野球部として過ごし、偶然に同じ大学に進学した。甲子園の二回戦で全てを燃やし尽くした彼らは、大学では野球を趣味程度にとどめ大学生活を楽しむことにしていた。
一緒に野球をやった同級生もそれぞれ大学に通い、連絡だけはしていたが会うことはできていなかった。そこで、ゲームの中でくらい同窓会でもしようかと話になり、今日顔を出せるヤツが喫茶店やすらぎで待ち合わせをしていた。そして、暇なファスとハーラーは朝からやすらぎでダラダラと過ごしていた。
正午、待ち合わせ時刻にドアベルが鳴り、友人たち五人が喫茶店にやってきた。
「おう」
「やぁ」
などなど、ファスとハーラーがいる事を確認して軽く挨拶をして、同じテーブルの空いている椅子に腰かける。
学校での苦労や笑い話。くだらない話をしつつ、喫茶店やすらぎのメニューを眺める。
爽やかなジンジャーエールや、夏を乗り切るためのスタミナ丼定食など、夏に相応しい料理が並んでいた。
「最近食欲無いんだよなぁ。高校生の時は考えられなかったのになぁ」
高校生と大学生では、何か決定的な差があるようで、それを一人が嘆く。
「確かにそうかも。夏バテなんてしてる暇が無かったからな」
バテている暇など無く、全力で野球をしメシをきちんと食べて体力を付ける。それも青春の一ページで、辛くも楽しい日々だった。
メニューを捲っていると一人が、あるページで止まる。
「夏バテにはコレじゃね?」
メニューを皆に見せる。
そこには、『夏バテにおススメ! 鯵の南蛮漬け定食』と書かれていた。
今の自分たちの胃袋事情に合うメニューに、誰もが納得して【鯵の南蛮漬け定食】を注文した。
「かしこまりました。少々お待ちください」




