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華味庵~かみあん~2

 座ると間もなく先ほどの彼がメニューと水を持ってきた。

「本日はオープン記念で、全品三割引きになってます」

 そう言って彼はまたカウンターに戻り、包丁を握った。

 受け取ったメニューを見ると、数種類のお好み焼きともんじゃ焼き。そして豊富なトッピングがあった。


「美味しそうねぇ。まずはお好み焼きよね。……でも、お好み焼き(オオサカ)とお好み焼き(ヒロシマ)の二種類があるのよねぇ。広島って広島焼きよね? 違うのかしら」


「ヒロシマの方は薄い生地にキャベツや蒸し麺を使っているのが特徴ですね。華味庵では大阪も広島もお好み焼きで通しています」


 店長の男性は、カウンター越しにマナと叶にそう説明した。

「どちらも捨てがたいわね」

 大阪と広島、どちらのお好み焼きを食べるかで迷い始めたが、マナが一言。

「悩む必要はないんじゃないですか? 両方頼んじゃいましょうよ」

 オンラインゲーム上でいくら食べようと、体重の増加につながることは無い。そのため、好きに食べても罪悪感は無い。


 マナはイタズラっ子の様にウィンクをする。

「それもそうね。現実では絶対にできないわよねぇ」

 叶も納得したように、ニューから食べたいものをマナと一緒に選ぶ。

 その結果、オオサカはシンプルな【豚玉】ヒロシマは【イカ玉のソバ】を注文した。

 注文したものが来るまでの間、メニューを眺めつ雑談をする。

「それにしてもトッピングが豊富ねぇ」

「そうですね。キノコ類にエビにタコ、お餅なんてのもありますよ」

 トッピングの種類は二十種類以上。自分の好みのトッピングの組み合わせを見つけ出すのも一苦労ありそうだった。

 話していると、

「お待たせしました。オオサカの豚玉とヒロシマのイカ玉です」

 オオサカは、様々な具材が入っているボウルが一つ。

 ヒロシマは、生地が入ったボウルと小皿にはイカ。皿に山盛りの千切りキャベツ、そしてソバが入っている皿が並んだ。

「ご自分たちで焼くこともできますし、こちらで焼くこともできますが、どうなさいますか?」

 マナは叶がこちらを見ていることに気付いた。その目は、私は無理だから、と伝えて来ていた。

(折角ですし自分で焼いてみましょうか)

「自分たちで焼くので大丈夫です」

 そう伝えると店長の彼は、

「わかりました。ではごゆっくり」

 と言って、下がった。

 

「じゃぁ、焼き始めましょうか」

 テーブルにはソースやマヨネーズ、カツオ節や青ノリも置いてある。その中からボトルに入っている油を手に取り、温まっている鉄板に油を敷く。

 まずは、オオサカのお好み焼きから焼き始める。


 具材の入ったボウルをかき混ぜる。この際、空気を含ませるように大きくかき回す。混ざったものを鉄板に流し、丸く形を整えてからその上に豚肉を乗せる。

(このまま焼けば大丈夫なので、次はヒロシマのお好み焼きを焼きましょう)

 最初は生地を焼くことから始める。薄力粉をベースにした液状の生地をお玉で掬い、鉄板に薄く、丸くなるように流す。


 表面が乾くくらいに火が通ったら、山盛りのキャベツを上に乗せる。そのまま暫くすると、キャベツが少ししんなりしてくる。そこでヘラを二つ使って一気にひっくり返す。

ここでオオサカのお好み焼きの焼き具合を確認すると、焼き目も付いているのでこちらもひっくり返す。

 ジュージューと鉄板の上で焼ける生地。ふんわりと香るお好み焼きの匂いに、食欲が掻き立てられる。


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