その9
今回はいつもよりさらに短めです。
ではまた後書きで。
その日のお勉強タイムはあまり実が入らず終わってしまった。何かひっかるのよね、何かが。
ま、分からないものをいくら考えてもどうしようもない、おとなしく寝よう。ちょっと気になる程度の事なら、きっと大した問題ではないはずだ。
油がもったいない、早く消してしまおう。
おや? ノックされた、誰だろう。まさか彼か? まさか夜這いか! ついに限界を迎えたか!
ちょっと待って! まだ心の準備というものが! そうなる事が嫌じゃないのよ? 私にはまだ早いというか……
「あれ? もう寝ちゃってた?」
奥さんか…………、私今何を考えた……? っと返事しなきゃ。
「あ、起きてます起きてます。どうぞー」
答えると奥さんが部屋に入ってくる、その手には枕。なるほど。
「うふふふ。一緒に寝ましょ?」
超嬉し楽しそうだなこの人。
灯を消すと完全に真っ暗、窓にはガラスなんてものは無い、木の板で蓋をする感じだ。月明かりも碌に入らない。
「もっとこっち寄ってー。ぎゅって抱きついてきてもいいのよ? うん、それがいいわ、ほらほら早く」
恥ずかしいですやめてください、ホントにそんな子供じゃないんです。
「うーん」
うん? 何だろ。私が動かないからそっちから来る気か? いいだろう抱き枕にするがいい。
「昨日も言ったと思うんだけど、もっと甘えて欲しいな。それとも甘えたくない? 迷惑掛けたくないとか言ったら怒っちゃうわよ?」
「あ、う……」
言葉が出ないわ、こんな時どういう顔をしたらいいか分からないの、とでもいったところか。
「ほら、おいで? 私はあなたのことが大好きだけど、もしかして自分で思っているより好かれてないのかな私は……」
そんなわけない!! 私はこの優しい人になんて声を出させてるんだ!!! 行くぞ! 行ってやる!!
「あ……。ふふふ」
あー、あったかいわー、いい匂いだわー、でもちょっと恥ずかしいわー、それでいていつまでもこうしていたくなる。そしてこのふくよかな以下略。
これは、うん、いいな、いいね、泣きそうだね、泣いちゃおうか。
「あ、あらあら?」
優しく、とても優しく撫でてくれた。ありがとう、お母さ、ま? お母様は無いわ、お母さんで妥協してもらわなければ。泣きながらそんなことを考えてた私。
「おかあさ………」
一瞬撫でる手が止まったかな?
そして朝チュン。
お母さ、奥さんはもう起きているようだ、すでにいない。まだしばらくは奥さんのままでいこう、やっぱりまだ恥ずかしいよ。
今回で一段落、となります。一章や第一部完といった感じでしょうか。
中途半端じゃね? と思われるかもしれませんが……
一日一話更新はまだ続きますので、これからもよろしくお願いします。