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その7

まだまだ続く一日一話更新。

もうしばらくはこのペースで続けれそうです。


人物の名前を出さずに会話させるのは結構難しいですね。

それを考えるのもまた楽しいんですが。

 あれだね、考えすぎだったのかね。

 重大な決意をしようとしたその場でやる気が霧散させられたよ。


 私としては色々と考えて行動してきたはずが、周りからしてみれば、子供が背伸びしてがんばってるくらいにしか見えないんだ。微笑ましいわそりゃ。

 罪悪感がでてきたところで、まったく気にすらされてない、むしろ好印象を得てしまっていることに気づかされちゃった。


 これはどうしたものか……。急すぎて何も考えられないわ。



 その時ドアがノックされた。


「はーい?」


「お、起きてたか。入っても大丈夫か?」


 おや、彼だ。逃げてきたのかな? うん、気持ちは分かるよ。


「ちょっとだけ待って……。うん、もういいよ」


 身なりをさっと整えて彼を招き入れる。おおう、まだ心配顔してるよ。


「あー……、もう平気か?」


「うん、元々ただの疲れだし、一日寝て全快よ」


 にっこり笑顔で言ってやる。これくらいのサービスはしてあげないとね、無駄に心配かけちゃったし。しかし笑顔がサービスとか何様よ私は。


「その、な。あれだよ」


 なにやら言いにくそうにしてるな、あれって何だよ。アレか、笑顔が可愛すぎたか。やばいな逃げるか、叫ぶか。押し倒されるのはちょっと。


「ごめんな、俺、お前に負担掛けすぎてたみたいだ。本当にごめん」


 は? お前は何を言っているんだ?


「俺ってさ、力仕事しかしてないんだよ。でも、お前はさ、この村、じゃない、この世界で生きていく知識とか、常識とか、調べて、考えて、俺に教えてくれてたんだよな」


 こんな小さな体で、と付け足された。小さいって言うな! 噛むぞ!

 いやそれ自分のためだし! そうしないと良くて村八分、最悪追放、野垂れ死にだし!

 黙ってると肯定と受け取ったのか、彼はまだ続ける。


「あー! くそっ! 全然考え付かなかったわそんな事。お前に最初に言われた、難しい単語を避けて話せっていう事しか頭になかった」


 翻訳機能のことね。多分だけど精神的疲労からくる体調不良、とか翻訳されないよ。

 それは、まぁ、アンタ脳筋タイプだししょうがなくね? 頭脳タイプの私ががんばるのが普通じゃね?


「頼れ、もっと頼ってくれって言ってたよな俺。お前に頼りきってた俺のセリフかよ、情けねぇわ……」


 あ、あれー? どういうことなの……


「え、と、気にしないで? 私が必要だからやってたことだし」


 これは本当、本音。自分のためが相手のためにもなったと。


 あー、悔しそうだな、彼。だってしょうがないじゃん、私もあなたもまだ子供なんだよ実際。この世界はもちろん元の世界でも、親が、保護者がいないと何もできないよ? 生きていけないよ?


「疲れて倒れちゃったのも私の責任だって。ホントに大丈夫よ、私。明日からまたお仕事とお勉強がんばろう?」

 

 アンタのせいじゃないわよと言ってやる、実際そうだしー


「だから無理するなって!!」


 うひゃあ、怖い! いきなり叫ぶな馬鹿。ちょっと涙出たわ。心臓に悪いですやめてください。


「あ、悪い」


 もっと反省しろ、日本海溝より深くな、どれくらい深いか知らないけど。


「俺、もっと頑張るよ。何をどうってのはまだ分からんけど、周りもしっかり見てさ、頑張るよ」


 おう、がんばってくれ。それが私のためにもなる。


「だからお前はもうちょっと力抜け、抜いてくれよ。その分の負担は俺に回してくれ」


 抜いてくれとかいやらs、こほん。こんな事ばかり考えてると自分が欲求不満なんじゃないかと思ってしまう。自重しなければ。

 しっかしカッコいいなーこいつは、潔い。主人公タイプか、脳筋主人公タイプか。


「う、うーん? 分かった、お願いしちゃうわ、もう少しあなたを頼るようにする」


 だがやることは変わらないのだ。今まで無理してきたわけじゃないし、そもそも過労で倒れたわけでもないのよ。恥ずかしくてうずくまっただけなのよ。

 とりあえずこうやって頼るよ? って言っておけばいいんだ。それでこの話はおしまい。


「おう! どんどん頼れ! 任せてくれ!」


 どうやらイケメンパワーが戻ったようだ、これで一安心か。









「あ、そうだったそうだった」


「何?」


「村長さんと奥さんがさ」


 ちょっとまさか。


「お前をな」


 ああんやめて!それはまだ考えたくないのよ!


「養子にしたいって言ってるんだよ」





 


 一難去ってまた一難、一難ですむかなこれは……



 



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