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その5

数ヶ月に一話の予定が、なぜか一日一話に。


実はこの話の元となった暗めの設定の方を、かなり温めにして書いてたりします。

私ちゃんと彼君がメインなのは変わりませんが、同一人物なので掲載するのはどうしようかなと迷っています。100%完全に同じキャラ、というわけでもないんですが……

 くそう、やられた。

 結局あの後はわはわ慌ててすぐに寝てしまった。萌えキャラか私は。彼が私をどう思ってるかなんて欠片も分からなかった。可愛いとは言ってくれていたが……

 私は打たれ弱いのよ、急な事に弱いのよ。なにをするにもじっくり考えて周りから埋めて行くのよ、埋めてからさらに石橋を架けて、叩いて、壊して、その上を匍匐前進するくらいね。

 あの不意打ちは無いわー


「あ」


 朝食の後、村長の奥さんがわざとらしく手を叩き言いだした。


「今日は彼のお仕事のお手伝いお願いね?」


 お仕事のお手伝いのお願いですか、おが多いな……なんて意味不明なことを考えてしまった。って何? 外仕事?


「でも私、外のお仕事きっと何もできませんよ?」


 筋力どころか体力も無いよ私は。100m走りきれないよ多分。


「いいのいいの。外のお仕事じゃなくて、外のお仕事をする彼のお手伝いをすればいいんだから」


 それは同じ事なんじゃないだろうか?


「はぁ……頑張ってみますね」


 下手に断って、今の良好な関係を崩すわけには行かない。よく分からないが頷いておこう。



 うふふふふ、と意味深に笑う奥さんに見送られて、彼とお仕事へ向かう事にする。



「私何かしたのかな……」


 それでも気になったので呟いてしまった。お前役に立たないんだよ、などと思われてたら泣ける。実際私は室内仕事でもあまり役に立ってないような気もするし、おっとこの考えはやめよう。


「うーん、それは無いだろ。奥さん笑ってたし、すっげぇ笑ってたし」


 それは確かにそうだ、笑うというより微笑んでいるといった感じか。美人がやると様になるねぇホントに。羨ましくなんかないぞ?


「何かさ、お前がいたらできないような楽しい事でもあるんじゃないか? 大人だけのさ」


 大人だけとか……なにそれいやらしい……


「なるほど、そうかもねー」


 ここまで会話して理解した。これはアレだ、昨日の例のアレだ。奥様仕事が速いな。

 奥様から知らせを受けた奥さんが、多分気を利かせてくれたのだろう。

 しかしこちらにも準備をする時間を与えて欲しかった。私はまだ昨日の不意打ちのダメージが抜け切っていないのだ。軽い会話は普通にできるが、目を合わせられない、合わせにくい!


 挨拶する村の人たちの眼差しが生暖かい、そしてにやにや笑顔、これは間違いないな。しかもすでに村中に知れ渡ってると見た。奥様の素晴らしい仕事に感心はするがどこもおかしくはない。


 えっ。


 

 村……中……に……?






「うひぇー」


 急にその場にしゃがみ込む。


「おい、どうした?」


「なんでもなーい……。ちょっと立ち直る時間をちょうだい……」


「なんなんだよ一体」


 


 そう、村中に知れ渡っているのだ。私の! 昨日の! 醜態が!





 彼が取られちゃうよ、うわーん(泣き)。

 よしよし大丈夫よー、誰も取らないわよー(ポンポン)。





 ははは恥ずかしすぎるわ! どこの可愛い女の子だ私は! あ! 実際可愛いや! 問題ない! あるよ! 大ありだよ!

 くうう、どうしたものか。予想外の援護射撃の範囲の広さに私もその攻撃を受けてしまったようだ。平静を保つ余裕が無い。


 

 ポン、と肩に手を置かれた。ついビクッと震えてしまう。


「大丈夫か? 辛そうなら帰るか? 送るぞ?」


 大丈夫だ、問題ない。と言い返したいところだが、大丈夫じゃない、大問題だ。

 でも本気で心配されてるなこれは、早く立ち上がらなきゃ。


「あ、オイ、無理すんなってほら」


 おや? 何故に貴方は私の前で背を向けてしゃがんでいるのでしょうか?


「ほれ、乗れ」


 ナンデスト? オンブですか? 別に体調崩した訳じゃないんデスヨ? ワタシ元気ダヨ?


「早く乗れって、辛いんだろ? すぐ村長さん家に運んでってやるからさ」


 あああ、辛いよ、その優しさが辛いよ。

 彼はもう本気で心配モードに入ってる、これはごまかせそうに無い。あきらめて乗せてもらおう。


「うん、ごめんね? お願い」


「謝るなよ、もっと頼ってくれっていつも言ってるだろ?」


 痛い、優しさが痛いなんて初めてだ。彼の首に手を回し、もたれかかる。背中広いなこいつ。


「それじゃ立つぞ」


 ゆっくりと彼は立ち上がる。うわーい、視界が高いわーなんてやってる余裕は無い、恥ずかしい。耳が熱を持っている、私の顔は真っ赤になっていることだろう。


「何か熱くないか? お前。……おいまさか熱があるのかよ。ちょっと急ぐぞ、揺れるけど我慢してくれな」


 そう言って彼は私の返事を待たずに歩き出した。返事する余裕はなかったからいいけどね。





 この日から、彼と私を見る村人の目の生暖かさがさらに増したのは、気のせいだと思いたい。


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