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おまけその2

もうひとつの私と彼の物語 その2 +おまけ?

 それじゃ宿に帰ります? 何を言ってるの泊まりなさい、泊まっていきなさい。宿に荷物が? 大丈夫よ、すぐに取って来させるから。あ、そうね、部屋はこの子と同じでいいわよね? まだ十歳なんだから無茶しちゃ駄目よ? まだ初潮も来てないんだから。あなたも甘えるのは程々にするのよ? 彼だって男の人、子供だからといって安心してはいけないわ。男は皆野獣なのよ、この人もそうだったわ。私の初めてのときなんてね……


 お母様凄かったわ。あの人も私も顔真っ赤、十歳の子供に何を言ってるのよ。それを全部理解しちゃう当時の私も私よね……

 お父様、お母様と私たちの四人で話してたんだけどね、さすが私のお母様よねー。お父様が初めて小さく見えたわ。



 その後ね、一緒にお風呂入ってね、一緒のベッドで寝てね、甘えまくったわ。

 一緒にお風呂とかよく平気だったわよね、私。若かったわ……




 数日家に滞在して、村に帰る日になったの。もちろん彼一人返すわけないでしょ? 私もついて行ったわよ。駆け落ちみたいで楽しかったわ。反対? 知った事ではないわ。私は何より愛を優先したの。


 村までは馬車で移動、護衛も付いていたし、安全な旅ね。



 村に着いてからがまた楽しいの。

 とにかく見るもの全てが新鮮で、疲れて動けなくなるまではしゃいじゃった。


 ご両親もびっくりよね。町から帰ってきたと思ったら、こんなに小さいお嫁さん貰って来ちゃってね?

 反対は一切されなかったわ。お嫁さんというより、本当に娘が一人増えた、っていう感じで喜んでらしたわ。


 本当に素敵な家族よ。私の家の家族に勝るとも劣らない素敵な家族。



 ああ、夢が叶ってしまったわ。あ、まだね、まだ子供が二人欲しいわ。

 って、ついつい言葉に出しちゃってね、さすがに怒られたわ。






 その後も色々あったんだけどね?


 覚える事はいっぱいあったわ。炊事、洗濯、家事全般、村長になるあの人の補佐をするためのお勉強。幸い私は天才少女だったし、すぐに覚えてみんなを驚かせちゃった。



 初潮が来たわ! もう子供作れるわ! 作りましょう! って喜んでたら、村長夫婦は後継者を育てるまで、子供を作ってはいけないとか、その日は泣いたわ。


 まぁ、子供が作れないだけで、そういう事をしてはいけない、って訳じゃ無かったんだからいいんだけどね。あらやだ、私ったらはしたない。













 お父さんが町に出かけている隙を狙ってか、お母さんから二人の出会いから結婚までのお話を聞かせてもらった。


「あれからもう十五年以上か……、懐かしいわ……」


 出会いから結婚まで一日かかってないとか……、婚約か? 凄い、凄いよこの人、この人たち。でもさ。


「今の話を聞いて、私のどの辺りが、お母さんの若い頃に似てるって思ったらいいの?」


 そう、お母さんの若い頃に私はそっくりらしいんだが……


「え? どう聞いてもそっくりじゃない? おかしな事言うわねあなた」


「ああ、俺も似てると思うぞ?」


 彼もお母さんに同意してしまった。


「ええー? 似てるかなぁ……」


「共通点はかなり多いと思うよ。まぁ、それでも母さんの方がはるかに凄いんだが……」


「うんうん。凄すぎて絶対似てるとは思えないわ……」


 十歳でその行動力。奥手な私とは、とても似ているとは思えない。女は行動力! ってやつかな。

 一緒にお風呂とか、一緒に寝るとか。初潮が来てすぐ子供作ろうとか無いわ、聞いてて真っ赤になっちゃったよ。



 あ、そういえば。


「そういえばお母さん、お風呂ってあるの?」


 そう、お風呂だ。町のほうは水が大量に、自由に使えるんだろうか? もう随分入ってないから忘れかけていたのだが、あるなら入ってみたいな、と思う。


「私の実家にはあったわよ? でも、あれって水を大量に使うでしょ? 沸かさないといけないし大変なのよ。ごねんね? この村じゃ無理だわ……」


 うわ! 謝られちゃった!


「あ、違うの違うの、謝らないで。私たちが居た所ってね、毎日お風呂に入るのが普通だったの。それで、あるならちょっと入ってみたいなー、って思っただけだからね?」


「確かにあるなら入ってみたいよな。大汗かいた日なんかは特にそう思うよ。もう完全に無いのに慣れたけどさ」


「毎日お風呂? それは随分と贅沢な事ね。二人ともやっぱりお金持ちの家の子だったのかしらね」


「そういう訳じゃないんだけどねー、それが普通の事だったのよ」


「それじゃ今度、私の実家に入りに行きましょうか? 今はさすがに無理だけど」


 むむ、お母さんの実家かー……。まだ町には行った事ないのよね、ちょっと怖いかな。


 でも、お爺様、お婆様、叔父様、叔母様。また会ってお話ししたいな。

 初めて会ったときは凄かったよ。会ったのはまだ彼との結婚前、四人とも私のあまりの可愛らしさに一瞬でメロメロになった。あの時は彼も大変だったね……。でも、今の話からすると、お爺様は結構厳しそうな人な感じがするんだけど……

 実の、じゃないけど孫は可愛いって言う事かな。いや、私自身の可愛さだね、うん。


 ふふん、さすが私、美少女過ぎるのも考え物ね……。今はもう少女って年齢じゃないけどさ、でも見た目何も変わってないんだよねー




 それにしてもお風呂か。少し元の世界のことを思い出しちゃった。でも、不思議だね、全く帰りたいとは思わないよ。ふふ。




「ふふ、なるほどね。まったくこの子ったら、もう。いやらしい子ね、相変わらず」


「い、いやらしい!? 何でそうなるのよ!」


「だって、彼と一緒にお風呂入りたいんでしょう? ふふふ。あ、エッチな子、の方がいいんだっけ?」


「ほう、一緒に風呂か、いいな……」


 二人して何を! ……でもいいかも? 最近彼、一段と逞しくなってきたし? 夜はランプの明かりだからあんまり見えないし……、じゃないわよ!


「な! ば、馬鹿な事言わないでよ! あなたも変な事言わないで!」


「照れるなって、一緒に入りたいって顔に書いてあったぞ?」


 !? 顔に出てた! くそう! 恥ずかしい!


「おっと図星だったか、適当に言ったんだが。……さすがムッツリスケベな俺の奥さんだ」


「なっ!? ……ああ! もう! 二人共嫌いよっ!」


「しまった、またついからかっちまった……」


「ええ!? それは困るわ、そう、悪いのは彼よ、きっとそう」


 うん、そうだ。お母さんは悪くないね。


「そうね、悪いのは全部あなたよ!」


 ビシッと指を差す。


「何でだよ! 悪かった、悪かったって! 反応が全部可愛すぎてな? お前に嫌われるのは冗談でも正直キツイ。ごめんな?」


 馬鹿ね……、あなたを嫌いになんて、なれるわけ無いじゃない。


「えっ、あっ、私もごめんね? ちょっと熱くなりすぎたわ。うん、もっとからかってもいいのよ? もっともっと可愛がって?」





「あらやだ、暑い、暑いわ。もう夏かしら?」


 おっといけない。つい見つめ合って、二人の世界に入ってたよ。


「ふーん、だ。その程度じゃもう動じないもーん、だ」


「うう、寂しいわ。子供ってすぐ成長しちゃうのよね。あなたはゆっくり育ってね?」


 お母さんは自分の、大きくなったお腹を撫でながら言う。実はお母さんに子供ができたんだ。まだ一人目だが、どんどん作っていきたいとか。他の人より遅めだしね、頑張って欲しい。

 できたと判った時の二人の喜びようは凄かったわ。羨ましい。私も早く子供欲しいんだけどね、いつになるかな……。彼が時期村長になんてさえならなければ今頃は……。



 そう考えると、今頃はこんなに幸せじゃなかったかもね? あ、そんな事考えてたら涙が……



「! どうした?」


 彼が逸早く気づいて心配そうに話しかけてくる。ううん、何でもないのよ……


「ちょっとね、怖い事を考えちゃって、ごめんね? 最近さ、幸せすぎちゃってさ。もし、もし、こうならなかったら、って考えちゃったのよ」


「ふう。相変わらず変に考えて空回りする奴だなお前は。そんなくだらない事考えてないでさ、もっと先の、先の幸せの事を考えようぜ?」


「そうよ、そうそう。考えすぎちゃうのはあなたの悪い癖よ? そうね、どうせ考えるならこの子の名前でも考えて頂戴?」


 そうだね、私の悪い癖だよねホントに。でも、その悪い癖のおかげで、今、こんなに幸せなんだけどね。




「名前? 名前かー。おい、お前は何て名前がいいと思う?」


「うん……。そうね、男の子と女の子、実は二人分考えてあるのよ」


「お、さすがだな。どんな名前なんだ?」


「うん。本当は私たちの子供に付けようと思ってた名前なんだけどね?」


「おいおい、それは取っとけよ……」


「いいのよ、また考えればいいわ。考えるのは得意なのよ? 私」


「ふふ、そうだったわね。それじゃ聞かせてもらっちゃおうかしら?」


「えーっとね…………」



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