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その25

最終章、と言いますか、ラストバトル的な物と言いますか。


最後の問題、かな?


 驚いた事に、村の人たちもかなり前から知っていたようだ。なんだかな本当に……



 自分ではよく分からないが、最近私は明るくなったらしい。今まで暗かった、という訳ではないんだろうが、どこか一歩引いているような感じが抜けた、と言われた。そうだったんだね。


 それでも口数は少ない方で、相変わらず無口系美少女なのは変わってはいない。





 あれから、お母さんには完全に普通に、お父さんには少し砕けた敬語交じりで話すようになった。彼はそのままよ、当たり前よ。



 そうそう、彼と言えば、お父さんの仕事を本格的に手伝う事になった。お父さんのちょっとした企みというのは、どうやら次の村長には彼を、という事らしい。彼もまた、お父さんの若い頃に似ているとか。この村終了のお知らせか、と言ったら怒られたよ。


 彼が、ある程度仕事を一人でこなせるようになったら、……ええとね? 私にね? 弟か妹を作ってあげる、との事。言われたときあまりの急なセリフに真っ赤になり、それでまたからかわれたりもした。誰だって赤くなるよ。


 村長夫婦というのは簡単には子供を作ってはいけないらしい。妊娠、出産、育児というのは、村のまとめ仕事をしながらできる事ではないからだ。ある程度後継者が形になってきたところでやっと、その、ごにょごにょ……



 そして私はお母さんのお手伝いをメインにしていく事にした、なった、なってしまった。



 彼が村長になるということは、その彼と結婚する私も、その補佐的な仕事をこなせるようにならなければならない。私は大体はぱっと見で理解してしまうので、教える事が殆ど無い、と寂しがったり、喜んだりしていた。私は頭脳タイプだからこれくらい軽い物だ。



 そういえばそんな話もあったね……




 うーむ……、彼と結婚? 結婚かぁ……。想像できないな……


 ここに来た当時はひどかったね。完全に自分の為だけにしようとしてたね、結婚。

 結婚して、エッチもして、子供作って、一生守ってね? っていう感じでさ。うっわ、うっわ、今考えると凄いな当時の私は……。



 当時の私か……







 今の私は、どう、なん、だろうね……


 彼のことをどう思ってるか? うーん……、好きよ? ……か、家族としてね? 家族か。頼れる兄的な感じかな……

 普段仲は良く、軽い言い合いもする、もちろん喧嘩もする。規模は小さいが。


 頼れる兄? おや、いつの間にか頼れる人になっていたらしい。

 彼もしっかりしてきてるしね、時期村長だもんね。凄いよね男の人って、私は全然成長してないのにさ……、背も伸びないしさ……、胸も大きく、おっと暗くなってるやめよう。


 私と彼が、全然そういう関係じゃないと分かったらモテるだろうねー。うん、全然そういう関係じゃ、ないんだよ?




 そ、そうだ、彼の本当の奥さんになる人にこそ、この仕事を教えないといけないんじゃないかな? あー、でも今はいないかな……。ん?


 本当にいないのかな? 彼は彼で、ちゃんとこの村に好きな人がいるんじゃないのかな? この村可愛い人、美人の人が多いんだよね。ま、一番可愛いのは私だけどね。ふう……



 うーん、彼の好きな人かー……、彼の好きな人……? い、いたら応援してあげないとね。頼りになるとは言っても、な、なんだかんだ奥手そうだしね。頭脳タイプの私が付けば、もうお、落としたも同然よね! うん! うん……


 かか、彼が好きになる人ってどんな人かな? やっぱりわ、私? ……みたいに小さい娘じゃなくて、もっと、胸も、大きく……て…………







 あ、はは……。あはははは……


 いや、まさか、あはは、嘘でしょう?









 ああ、私って彼のこと好きなんだ……













 う、うわああああああああああ! え、ええ!? ちょっ! ええええええ!?



 おおおおおお落ち着け。駄目よ、今は、今だけは本気で落ち着かないと! 素数とか言ってる場合じゃない!


 また私の馬鹿な勘違いかもしれないじゃない! そうよ! 肩! 肩の力を抜いて考えるのよ! そう決めたばかりじゃない!



 か、彼が私とは違う、他の誰かを好きになる。考えよう……。うん、嫌だ、泣きそう。二秒で結論が出た。早いよ。


 かか、彼と、つつつ、付き合いたいか? け、結婚! しし、したい、か、かかっ? うん、したい。………即答かよ私!





 うわあ、うぉうわあ……


 ちょ、いつからよ私……、一緒にいるのが当たり前すぎたのか? 気づいたらってやつか? 気づいちゃったよ、どうするよ、もう絶対彼の前で普通にできないよう……




「まったく、何を今さらな事を言ってるの」


 あ、今さらなんだ? そんなに前から彼のこと好きだったんだ私って。


 そっか……、さすがお母さんは違うな、凄いな……、ひょ?



「この子ったら本気で自分の気持ちに気づいてなかったのね……。周りから見たらもう、それはそれは中睦まじい恋人同士にしか見えないっていうのに……」


 え? なんでお母さんが? は? はっ!? まさか心読めるのかこの人! しまった! やるな異世界め! まさか魔法ではなく超能力があるとは!


「落ち着きなさい? あなたの本音を聞くのは面白いけど、できたら他の話題がいいわ。心を読むとかよく分からないけど、さっきからずっと口に出してしゃべってるのよあなた」


「え? 口に出してとかいやらしい……、じゃないっ! え? いいい、いつから? いつからしゃべってたの私!?」


「い、いやらしいとか……、この子もこんな事考えるんだ……、意外すぎるわ。って、もう十六なんだし当たり前か……。でも、できたらあの人の前では言わないでね、お願いよ。私は全然大丈夫なんだけどね? むしろ歓迎しちゃう」


「うわあ! 何口走ってるの私! 今まで培ってきたイメージが! 無口系美少女のイメージが!! じゃなくて! いつからなの!?」


「ああ、何この子可愛すぎる……。もっと聞きたいわ……、しばらく黙っていようかしら?」


 ええい! もういい! 本音で語るとも決めたんじゃないか! 本音過ぎるわ!!!! 



 くらえ必殺!!


「かーさまおしえてー?」


「ああん! 卑怯よ! 教えちゃう! えーとね、彼の奥さんになる人にこの仕事を……、の辺りだったかしら?」


 あ、これ実際言われるとまったく分からないや、意味なかったね。漫画みたいに、最初っからじゃん! とかならないよ普通は。


 とりあえず色々聞かれちゃったって事か。余計な事もね……

 うう、お母さんにエッチな子だと、そういうことばかり考えてると思われてしまう。そういえば私ってムッツリスケベだっけ……





「ううう、恥ずかしい……。ごめんねお母さん、私ってムッツリスケベらしいのよ」


「む、むっつりすけべ? また新しい言葉ね」


「うん、実際はそうは見えなくても、心の中では結構いやらしいこと考えてる人の事かな……」


「な、なるほどね……。結構いやらしい子だったのねあなた」


 痛い!! 予想以上に痛い言葉のトゲが!! いやらしい子はきついです!


「そこはいやらしいじゃなくて、ええと、なんて言ったらいいかな……。エッチな子……とか?」


「え? えっち?」


「あ、そっちもか、うんとね?」



 エッチの意味を説明。いやらしいこと全般的な意味と、その、実際致す、あ、アレの意味も含まれる、と。



「なるほど、勉強になるわ」


「そんな勉強して欲しくないわ……、ううう」


「ふふ、いいのいいの。女同士なんだからね? もっとこういう話、したいわ。私は大好きよ、えっと、エッチな話」


 お母さんがとんでもない事を言う。美人で素敵な優しいお母さんのイメージが……


「恥ずかしい! 恥ずかしいよ!!」


「それじゃこの話はここまでね、また今度しましょう。本題に戻らなきゃね」


「またするんだ……、本題?」


 何か話してたっけ?






「そう、本題。彼をどう落とすか、ね!」


「ええ!?」


 彼を落とす? いや、ありがたい申し出だけど急すぎるよ! 私今さっき自分の気持ちに気づいたばかりなんだよ? せめてもう少し心の整理を……


「実はもう落ちてるんだけどね、彼」


「えええ!?」


 もう落ちてる? え? 何が? 彼? 彼が? どこに?


「あー、楽しいわこの子。この慌て様、可愛いすぎるわ」


「え、えええ……、どういうことなの……? 頭が追いつかないよ……」




 そしてとどめの一言が。




「だって彼からもう聞いてるしー」



 は? はぁ!? 


 もう聞いてる? お母さんに彼が言ったって事。


 何を? 今までの会話からすると、彼は私のことが好きで、お母さんに相談に乗ってもらったのか、それともうまく聞き出されたのか。そんなところか。


 ふむ、なるほどねえ……




 !? 彼は私のことが好きで!? ちょ、え、あ、あの、彼、私、好き? おっとカタコトになってるよ落ち着けって私。







 落ち着いていられるかっ!!!















「あーーーーーーいーーーーーーつーーーーーーはーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」



「あら凄い大声」


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