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その15

他の人物の視点で書くのも面白そうですね。


とくに奥さん、なぜこんなキャラになったし。大好きです。

 むう、どうしてくれよう、どうしてくれようか! 馬鹿にして、馬鹿にしてくれちゃってー!

 ちょっと自分が背高いからってさー。ちょっと、ちょっとだけ私が背低めだからってさー。いじいじ。

 ええい、どうにか彼をぎゃふんと言わせ、ぎゃふんとか古いな……、にゃふんがいいか、いや、きゃふんでもいいな……。ふう、何だそれ。


「今日はどうしたのかしらあの子。怒ったりいじけたり、考え込んだかと思ったらニヤニヤしたり、溜め息ついたり」


「複雑な年頃なんですよ。放っておくのがいいと思いますよ」


 アンタが言うなアンタが。


 キッとにらめつけてやる。


「にらまれてるわね貴方。もう……、けんかは駄目よ? 仲良くしなさい」


「いやぁ、昨日はつい調子に乗っちゃって、からかい過ぎちゃったみたいで……。おーい、俺が悪かったから機嫌直してくれーい」


 ふーんだ。もっと誠意を見せなさい誠意を。


「ああ、よそ向かれてしまった」


「あらあら。可愛いわね、じゃなくて困ったわね。重症? 一体何があったの?」


「いや、ちょっと身長の事で……」


 本人目の前に話し合うなー!


「あ、またにらまれてるわね。あの子くらいの年の子はね、自分の体のことで悩むのは多いのよ。貴方は今はまだお兄さん的な存在なんだからもうちょっと考えてあげてね」


「は、はい。すんません」


 だから私と彼同い年だってーの。くうう、言ってやろうか、年齢公表してやろうか……


「っと、違うみたいね……」


「え?」


 違う? 何が?


「ふふふ、なるほど、そういう事ね。うふふふふ、可愛いわね本当に」


 そう言って奥さんは、私を優しく抱きしめて撫でてきた。


 な、何? 何が何なの?


「ふう、貴方はちゃんとこの子に誠心誠意謝りなさいね? 大丈夫、ちゃんと許してくれるから」


「え? あ、はい。分かりました」


 そう言って奥さんは行ってしまった。しかしそれ、謝られる本人の前で言う事じゃない気がするんだが……






 さて、残された私たちは。


「何だ? 何かに納得してたみたいだけど……」


「うん。何だろう……」


 そう、奥さんは何かに納得しているようだった。身長の事で私が怒る事に対して、じゃないよね。うーむ謎だ。


「あの人は時々分からないよな……、っとそうだ」


「だよね……、何?」


「いや、悪かったよ本当にさ。昨日はからかいが過ぎたみたいだ、ごめんな」


 む、ここでちゃんと謝るか。でも奥さんの言動が気になって、正直どうでもよくなってたのよね。


「本当に反省してるみたいだし、いいわ、許してあげましょう」


 考えてみればそこまで怒る事でもないか、学校でもよく言われてたし。どうしてそんなに腹が立ったのか自分でも分からない。

 こっちの生活にも慣れて、心に余裕も持てるようになってきてたと思うんだけどね。自分が思ってるほどじゃなかったという事か……


「おお、すげぇ上から目線だ」


「あなた本当に反省してるの……」


 こいつはもう……


「悪い悪い、他意は無いって。ただの感想だって」


「はいはい、分かりました。まったく……」


 これでこの話はお終いにしておきましょうか。あんまり怒ってもしょうがないや、これからはもっと軽く受け流すようにしよう。


「そうそう、上から目線と言えばさ」


「言えば、何?」


「お前だと実際は下からだよな、うん」


 …………………………………………!?


 何を言われたかちょっと考えちゃったよ! こいつは! こいつはホントに! もう! 


「あ、しまった、つい正直な感想が。いや、悪い。今のは俺が全面的に悪い。でも悪気は……」


「もういいわよ……」


 こ、ここで怒っちゃ駄目よ私。クールだ、クールになるんだ、軽く受け流そうと決めたばかりじゃないか。彼も悪気があった訳じゃない。落ち着け、落ち着くのよ。よし落ち着いた。


 そして私はクールに去るぜ。


「お、おい、待て、待ってくれ。悪かったって」


 話しかけるんじゃない、気にして無いわよ!

 そしてドアを少し乱暴に開ける……と……


「……」


 私。


「……」


 彼。






「若いっていいわねぇ……。私にもあんな時期が、って、あら?」


 そして奥さん。


 本当にブレないなこの人は!


 

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