その12
こちらの世界でも、日焼けは肌のシミの原因、という事は分かっているようだ。夏? の日差しの強い間は前と同じように室内仕事に回されることになった。
暑いのは嫌いだから助かるのだが、何故か「悪いけど」や「残念だけど」と付けられた。私そんなに外仕事楽しそうにしてたんだろうか。
そういえば室内仕事だが、刃物を使う仕事は一切させてもらえない。料理を覚えたいんだけどな……
元の世界でも学校の実習でしか料理はしたことがない。その時も、何か心配だから、と監視付だった。思い出すと失礼なやつらだよみんな。
女性として生まれたからには、最低限料理はできるようになりたいものだ。
ちょいちょい、そこの奥様、教えてくださいな。
「え? 料理覚えたいの? まだちょっと早いんじゃないかしらねぇ」
「早いですか? でも、できるようになりたいです」
自分で料理を作って、家族に食べてもらい、おいしい、と言ってもらいたい。
「ああ! ああーね。なーるほどねぇー」
何かニヤニヤ納得されてしまった。そんなに似合わないかな。ショックだ。
「駄目……、ですか?」
「ふふふ。それじゃ簡単なの一つ教えてあげましょうかね」
お、やった! 話せば分かるものだ。先生、お願いします。
はーい! お料理の時間が、はっじまるよー! 意外に恥ずかしいなコレ……
ここからの材料には全て○○「らしきもの」と付く、が省略する。例えばジャガイモらしきもの、だ。見た目も味もそのまんまだし名前もそのままでいいだろう、誰に聞かせるわけでもないしね。
奥様先生に教えてもらったのはお芋のオムレツだ。
ジャガイモ、玉ねぎを細かく切って、卵と混ぜて焼く。おおお、簡単だ。鶏肉をいれてもいいらしい。
お手本で作ってもらったのを食べさせてもらったら、とても美味しかった。すごいな、調味料とか殆どないのに。
何だ簡単そうだな、これなら私でも余裕で作れるだろう、と考えていたら、ニーヤニヤされた。
多分ひっくり返すところで失敗するだろうね、ふふふふ。との事らしい。なるほど。
しかし、予想とは得てして裏切られるものさ、見ているがいい。
ククク、見事に裏切ってやったわ!
材料を切る手つきが危なっかしすぎて止められてしまった。ひっくり返すどころか、材料切って混ぜるまでも行かないとはさすが私ださすが。
「ふう、まずは包丁に慣れるところからだね」
「はーい……」
くすん、くやしくないもん。見ていろジャガイモめ、そのうちバラバラに引き裂いてやる!
「ふふ、気にしない気にしない。誰だって初めはそうさ。もちろん私だってそうだったさね」
おお。○○さね、とか初めて聞いたわ。実際いるんだね、変なところで驚かされたよ。ちょっと失礼な事を考えてしまった、だが反省はしない。ホント失礼だな私は。
「これからは毎日うちに手伝いにおいで、村長さんには私から言っとくからね」
ありがたい申し出だ、これから毎日オムレツを焼こうぜ?
「あ、はい! お願いします!」
私としては珍しく元気にお返事。ぺこり。
「うーん、ホントにいい子だねアンタは。まったく、村長さんが羨ましいよ」
グリグリ撫でられた。最近撫でられるのに抵抗が無くなってきたよ。いいさ! 子供扱いでいいさ!
「頑張って早く作れるようになって、彼に食べてもらわないとね。うんうん」
うんうん。うまく作れるようになったら彼にも食べさせてあげよう。
「はい! 頑張りま……す?」
……? 何か違和感が? ……??
まぁ、いいか……
「駄目よ!! 花嫁修業なんて早いわ! 早すぎるわ!! 私が教えたいわ!!」
どっちだよ奥さん。