解説
毎日22時更新します…
心なしか笑っているように見える。
長い手足と細身のボディ。
小さな頭に大きな複眼。
綺麗だな、とミキナは思う。
昆虫は実に美しいフォルムをしている。
昆虫と言ってしまっていいのかわからないが。
「山田くん? についてだけど」
「はいな。山田くんを語る上で欠かせへんのが田中くんなー」
同時に眉を潜める二人。
「自分ら魂ってあるやろ。コレ、何で出来てるか知っとるけ?」
「あるんだ、魂……」
驚くミキナの横でハルトが嬉しそうに手を上げる。
「エーテル体でーすッ」
「イヤ、それゲームだから」
「惜しいハルト!」
「惜しいんだ!」
先程からやたら突っ込んでいる自分に気付いて少し恥ずかしくなる少女。
「イメージとして方向性は合っとる。この星の物理学で言うと量子の組み合わせによる、が近い。したら、魂がどうやって生成されるか知っとるけ?」
途端に遠い目になる二人。
メェドゥギは盛り上がると思っていたらしい。
少し間を開けてから。
「……えとな。量子力学で言われてる量子脳理論が考え方として近くて魂の基本構成が量子やってトコまでは正解。ただその材料になる素粒子が何なんか自分らにはわからへんやろ? それが田中くん」
ミキナの目に少し光が戻る。
「この田中くんは重力・空間・時間に干渉されへんから物理学じゃ認識出来ひんのよ。宇宙のどこにでも田中くんは存在してて、今ここにも居てる。十の二十八乗種類もある田中くんが脳っちゅう器に納まる事によってスペシャルブレンド。一つとして同じモンのないオリジナルの魂が生成されるんや」
「田中くんてダークマターみたいな?」
「イメージとして方向性は合っとる合っとるミキナ」
今度ははっきりと笑ったメェドゥギ。
甲高い引き笑いだった。
「んで、魂は肉体の死後もこの空間に残り続けるんやけど、これが山田くんな……ついて来れてるかーハルト」
「十の二十八乗は一穣……」
「正解。でな、実は山田くんて脳による干渉が可能なんよ。脳内に必要な器官が発達しとれば、それで山田くんを行使出来るっちゅーワケやね」
ハッとするミキナ。
ハルトも何故かピンと来た様子。
「この器官を鈴木くんてすると……」
「ちょ、待って。さっきから、その田中とか山田とかさ。名前で呼ぶの止めてわかりにくいから」
笑うメェドゥギ。
彼が笑うとわかってから少し親近感の湧く二人。
先生と生徒のような関係性が出来上がりつつあった。
「よっしゃ。じゃ田中はT素粒子。山田はYエナジー。鈴木はS器官としよか。S器官てホンマは進化の過程で発現するんやけど、人間にはまだこれがないねん。だから山猿」
話の見えてきたミキナ。
少し頬が紅潮する。
「せやけど稀にな。子供ん時に生死をさ迷う経験とかしたら脳内にある『特異点』が発現する場合があって、これはYエナジーを行使する為の土台みたいなモンなんやけど。この特異点がS器官として形成されたらスキルが発動する仕組みでおます」
「じゃあ、私とハルトくんて」
「たまーに人類史に現れる変異種な。山猿にしては頑張って進化しましたって感じの」
ミキナは前髪に手をやりながら。
「……言い方」
それではまた…




