3章 ママと対決!!
3章 ママと対決!!
ママは不機嫌になると自分の部屋に閉じこもる。
そしてテレビのニュースと音楽で部屋中を音でいっぱいにして仕事に集中するのが
いつものパターンだ。
家に帰ってきてすぐ勢いのままに「自分の部屋が欲しい!」と叫んだ。
それから今の僕に部屋は必要か必要ないかでケンカになった。このケンカは今年に
入ってもう10回もしている。
解決しないまま、先月5年生になってしまった。
ママが言うには僕に部屋なんて与えたら朝は起きない、掃除しない、勉強しない、
寝ないで徹夜でゲームする、お菓子を隠れて食べる、アリサの面倒を見なくなって
自立心が育たないダメ人間になるからって言うけど、僕だって自分の部屋ができれ
ばちゃんとするし、今まではやろうと思った瞬間に限ってママが
「何でやんないの!」って先に言ってくるからやる気が無くなっちゃうんだよ。
1度やってみれば完璧にやって見せる自信があるのに!
いつもならママの「ダメったらダメ!!」の一言で引き下がるけど、今回は
ちょっと・・・僕が悪かったかなあなんて思わなくはないけど、つい、言っちゃった
んだよね。
「ママこそ部屋なんて必要ないじゃん!目が離せないからとか言っていつもリビング
にいてパソコンの前に座ってさ!僕に勉強しろ、掃除しろ、アリサの面倒見ろ、洗濯
物を中に入れて、お風呂洗って、食器並べてって命令ばっかしてさ!
ママが部屋を使うのってケンカして不機嫌になって閉じこもって一人になりたい時ぐ
らいじゃん!鍵まで掛けてさ!僕が同じことしたときは僕が出てくるまでドンドン
ドンドンドアを叩いて『出て来い!』って叫んで最後はドアのガラス部分を割ってま
で入ってこようとしたくせに、自分がやられたら『うるさい!』ってヘッドホンで
耳ふさいで1日中引きこもってんじゃん!知ってるからね!お菓子食べながら僕の
switchで徹夜でゲームしてんの!お母さんこそ自立したほうがいいんじゃないの!」
って・・・。
こうしてママは「何も知らないくせに!」って叫んで部屋に閉じこもってしまった。
しょうがないのでいつものようにパパに電話してお蕎麦の出前を取っていいか聞き、
ママを説得してくれるように頼んだ。
パパは「またやったのか、お前ら全く成長しないな。似た者親子!」と笑っている。
しばらくするとママの叫び声が聞こえた。パパだ。何かに気づいたみたいに一瞬間
が空いて、すぐ小声になって何を話しているのかわからなくなった。
30分ぐらいしてお蕎麦屋さんが来た。「あれ?今日は静かだねえ、どうしたの?」
と聞かれてちょっと恥ずかしかった。いつもは玄関まで聞こえるくらいママが叫んで
るから。
アリサも慣れたもので、初めは「ママがない~!!」なんてドアをバンバン叩いて
泣き叫んでいたのに、今じゃイモの天ぷらに夢中でかじりついている。
僕たちがお蕎麦を食べ終わったころ、パパからLINEが来た。
(ごめん。失敗した)