1話 告白シーンに遭遇した。
僕のクラスの本城君は空気が読めない。
本城君はあの有名な3組の本城君の弟で、名前は涼と書いて(スズカ)と言うらしい。
本城君と呼ぶとどっちか分からなくなるからみんなスズカ君と下の名前で読んでいる。
(僕はちょっと、そこまで親しくないし、何か恥ずかしいから本城君と呼んでいる)
放課後の誰もいなくなった教室で、ある男子がある女子に告白しそうな雰囲気を出していて中に入れず困っていたら、突然現れた本城君がガラッ!とドアを開けてサッと中に入ってしまった。
さぁ、今から言うぞ!というタイミングだったから二人は気まずそうに黙ってしまった。
(まさか告白している場面に遭遇したなんて知らなかったかもしれないし、しょうがないか)と思っていたら、戻って来た本城君は僕に向かって、「あの二人告白している所でしたね」と口に手を当てて普通の声量で言った。
「知ってて入ったの!?」と思わず声が大きくなってしまった。
ハッとして、本城君の腕を引っ張りその場を離れた。
階段の所まで来てつい説教してしまった。
「本城君、何で知っててあのタイミングで中に入ったの?邪魔しちゃ大野くんが可哀想だよ!」
「何か問題ありますか?僕はただ忘れたスマホ取りに来ただけですけど」
本当に分からないのか、首を傾けている。
「勇気を出して今から言うぞ!って時に邪魔したら、せっかくの覚悟が揺らいじゃって言えなくなるかもしれないでしょ!」
「ああ、そう言われればそうですね。申し訳ない事をしました」
「謝罪してきます」
「いらないって!」
謝りに行こうとする本城君の腕を掴み引き取める。
「そうですか?」
「逆に迷惑だよ。絶対言ったらダメだよ!」
「分かりました」
「真田君は良く気が付く人ですね。でも損になりませんか?」
「真田君も用があって教室の前に立っていたんでしょう?」
確かに損な性格だと思う。
今だって、僕は教室にノートを忘れて来ている。
あの二人はまだ教室にいる。
あの空気の中、取りに行く勇気は僕にはない。
こんにちは、ボアと申します。
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