3話 「そりゃウゼェわ」
その時間から何かが変わった。
皆何も言わないけど、私が困っている時にはさり気なく助けてくれる。
私が通れる様に道を作ってくれる。
前は私がいくら退いてって言ってもチラ見するだけで無視して絶対に退いてくれなかったのに。
エレベーターのボタンを押してくれる。
ドアを開けてくれる。
高い所にある靴を取ってくれる。
「ありがとう」と言ったら皆一瞬気まずそうな顔をして行ってしまうけど、悪い気はしなかった。
勇気を出して前に仲が良かった友達、亜希ちゃんにラインで聞いてみた。
「久しぶり。皆急に優しくなったよね」
違う。
「突然ごめんね。皆優しくしてくれてありがとう。と思うんだけど、何かあったのかな?今までは何と言うか、私調子に乗って皆に嫌われてたから、また私何かしたのかな?と思ったんだけど、良かったら教えてくれたら直すよ」
電話が来た。
心臓がドキッ!として爆発しそうになった。
「あ、明音ちゃん。久しぶり」
「う、亜希ちゃん。久しぶり」
「・・・・」
沈黙が重い。
息が浅くなる。
「本城君に言われたの」
「このクラス変じゃね?って」
「え?」
「足骨折して車椅子乗ってる早川さんじゃなくて何で何の問題も無い俺の世話焼いてんの皆は」
頬杖ついて教科書を読みながら突然そう言ったそうだ。
「前は皆さ、普通に早川さんと接していたじゃん?」
「クラス全体でイジメとか、異常だよね。中川さん」
私が助けを求めてないなんて嘘を言った子だ。
「田中さんと和田さんは何が面白くて車椅子乗りた〜いなんて笑ってたの?」
「・・・・」
「早川さん何をやったの?」
「ん?」
本城君の軽い微笑みが、少し怖かったそうだ。
「中川さんが言ったの」
「その、明音ちゃんが、ちょっと困った感じになった事」
中川さんは開きなおった様に全部ぶちまけたそうだ。
私が急に学校を休み始めて皆は本当に心配したのに、それが仮病だったと騙された事。
人の話に割り込んでまで喋り続けるのがウザかった事。
しかも自慢ばかりで話を聞かないと怒った事。
何を勘違いしたのか、他人の容姿や行動を指摘してアドバイスしてやったみたいな顔をしていた事。
本城君は、「それは確かにウザいな。関わりたくない気持ちも分かる」と笑ったそうだ。
全身から汗が吹き出してくる。
こんにちは、ボアと申します。
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