【第二十二話】
「しかし、本当にこんな事になるとは思っても見なかったよ。でも学園祭で声をかけなかったらどうなってたんだろうな」
「ふふ」
「なんだよ。その反応」
「だって。気が付かないんだもん。今回の事って早かれ遅かれ私と必ず出会ってたって事でしょ?それに私は最初から、ね?」
「え?声を掛けられるのが分かってたの?」
「そうねぇ。声を掛けられなかったら私の方から声を掛けてたかな」
「マジか」
「マジ」
「なんか騙された気分だな」
「なにも騙してないでしょ」
「そうなんだけども。なんか全て涼子の手のひらで転がされていたと思うとなぁ」
「先が思いやられる?」
「正直な」
「良いじゃない。私の方が年上なんだし」
「それもそうかも知れないな」
それから暫くして、国内では東雲財閥のお家騒動についてがニュースになって僕の父さんが総帥の座についたと知った。そして、どこから嗅ぎつけたのか、僕らの家にもマスコミはやって来たけども、全部近藤さんが処理をしてくれた様で、家の中は静かなものだった。確かにこれは国内にいたら面倒な事になっていたに違いない。
「涼子。この国に国籍を移したら僕達はどうなるんだろうな。国の法律を調べないと」
「それねー。なんか子供を作らなければ問題ないって聞いたのよねー。どうする?」
「どうするもなにも。そんなの答えは決まってるじゃないか」
「そうね。子供が作れないのは残念だけど。でも仮に作ったらまたお家騒動が再発しそうだけどね。もうあっちのことはどうでも良いのだけれどね。世間はそう言ってくれないから」
この国で静かに暮らそう。それが僕達の願いだ。父さんたちも僕達がこちらの国の人間になるのは混乱を避けるのにベストな選択だと言ってくれた。
そして僕達はこの国で永遠の愛を誓い合うのだ。
【あとがき】
まずは長きにわたり、お話にお付き合い頂き有難うございます。
皆さんも学生時代、クラスに一人くらいお金持ちが居たりしませんでしたか?なんか住む世界が違うみたいな。私は一人居ました。大学生になってですけどね。高校まではスイスの学校に通ってトライリンガルで帰国。しかもプライベートジェットで。大学のサークルで北海道やら沖縄に行ったんですけど、そのプライベートジェットを出してもらったりしてプチセレブ体験をさせて貰いました。
でも、今回の話を似たようなお家騒動もあったようで、少々息苦しいなんて吐露していたのをよく覚えてます。
今回のお話は、もちろんプロットを書いてから執筆開始しているのですが、毎度のことで物語の登場人物が自由気ままに跳ね回って書いてる自分が振り回されっぱなしでした。自分自身でそんな事あるんかい!みたいな感情を抱いたり。でも登場人物の属性や性格を設定していたのでなんとか物語を完成させることができました。これをしないとしっちゃかめっちゃかになるんですよね。こんな人ならこんなことを考えるだろう、行動するだろう。そんなことを考えながら書くのは楽しいですよ。
なろうは読み専の人が多いと聞きますが、書いてみると案外書けるものです。私も初回投稿から六年が経過してますけども最初の方の文章を読むと、よくこんなのを公開したな……。と思えるものがあったりもしますが。でも読み返してみると楽しいものです。当時の自分の感情とかを思い出したりして。
とまぁ、あとがきが長くなりましたが、これからも作品を綴っていこうと思いますので、気に入った方がおられましたら、引き続きお付き合いして頂ければ幸いです