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【第十八話】

 翌日、僕は警察からの呼び出しで学校を休んで警察署に向かった。が、途中で近藤さんが乗った車が僕に近寄ってきて声をかけて来た。

「相良様。今警察署に行くと逮捕される恐れがあります」

「え?」

「状況証拠が揃ったと総帥が仰ってるのを聞きましたので間違いないかと。どうされますか?」

「どうするって……。そんなの僕の判断じゃなんとも……」

「良樹!逃げちゃおう!」

 後部座席の窓が下がった先には涼子が乗っていて僕をそんな風に誘ってきた。

「涼子⁉︎でも逃げるってどこに……」

「那須に私の別宅がありますのでそこに」

 そう近藤さんは言って僕に車に乗るように促してきた。逃げるか無実を訴えるのか。僕がまごついていたら涼子が車から降りてきて僕を無理矢理後部座席に押し込んできた。

「わ!っと!分かったから。乗るから」

「ん。よろしい。愛の逃避行の始まりだね。近藤、出して。あと。スマホの電源を切って」

「愛の逃避行って……」

 僕達は東北道を直走って那須に向かう。今年の冬は雪が降るのが早いらしく、目的地に近づくにつれて雪深くなっていった。

「ここです。私は本邸に戻ります。連絡はこの携帯を使ってください」

 そう言って近藤さんは一台のスマホを渡してくれた。そして僕のスマホを回収して行った。

 位置情報か。警察が絡んでるなら位置情報を掴んでてもおかしくない。だから電源を切るように言ったのか。

「良樹、寒いから中に入ろう?」

 そう言って鍵を開けて中に入る。そして涼子はすぐに暖炉に向かって行った。

「なんで?エアコンとかつければいいのに」

「ないわよそんなの。ここ避暑地よ?冬の暖房は灯油か暖炉よ」

「灯油はないの?」

「切らしてるって近藤が言ってた。薪はたくさんあるらしいからこっちで」

 

 僕達は暖炉の前で毛布に二人包まってゆらめく炎を眺めていた。

「ねぇ良樹。このまま私と逃げ続けるってなったらどうする?」

「日本の警察はそんなにアホじゃないと思うけどな」

「アホじゃない警察が今回の濡れ衣事件を解決出来ないと思う?」

「それを言われるとな……。東雲財閥って警察にも影響力があるの?」

「その辺はよく分からないけども、今回の件を鑑みるにあってもおかしくはないかな。用意周到すぎるし。亜美ちゃんのお兄さんが覚醒剤持ってたって話も私が知ってるくらいに警察から情報を東雲家は持ってたくらいだし。それもきっと濡れ衣だと思うけどね」

 そうだ。亜美のお兄さんも今回の件に巻き込まれているのだ。大丈夫なのだろうか。

「しかし、どうやってこの濡れ衣を晴らすんだ?佐伯って刑事が真相を突き止めようとしてくれてるみたいだけど、それを待つしかないのかな」

「それも一つの手かも知れないけど、もう一つくらいは逃げ道が欲しいわね」

「例えば?」

「海外に逃げるとか。近藤に頼めばその位はやってくれるかと思う。でも、日本には戻れなくなりそう。そうなったらそうなったで邪魔者が日本から消えるからお父様は追走してこなくなりそうだし」

「最悪はそれか……。国内に残る方が危険度が高いって感じか。なんか映画の逃亡者みたいだな」

「実際に逃亡者でしょ?でも一番の心配事項は良樹のお父さんなのよね。家を出たとはいえ東雲家の長男なんでしょ?一番厄介人扱いされそうで。大丈夫かな」

 父さんは自信家だ。いつも何か芯を持った動きをしている。今回の件も何か策を持って動いているのだろう。この逃亡についても知っているような気がする。

「ね、良樹。ここには私と良樹しか居ないけど、どうする?」

「なに唐突に」

「うーん。このへっぴり腰野郎め。この前の続き、する?」

「え」

「え、じゃなくて。したくないの?」

 そんなことを言われて黙ってるほど自分は我慢強くない。と言うよりも高校生には刺激的というか。我慢できるはずがない。僕はイタズラそうに見てくる涼子の唇を奪った。

「はむ……」

「はぁ……あ、ん……。良樹……」

 僕達は毛布に包まってお互いの唇をむさぼった。そして僕の右手は涼子の胸に向かう。柔らかい。こんなにも柔らかくて温かいものを触ったことなんてない。それにすごく興奮する。すると涼子は僕の肩に置いていた手を下に下ろして行って敏感な場所に手を移していった。

「う……」

「良樹、こんなになってる」

「そりゃ、こんな事になってたら仕方ないって」

 僕はたまらずに涼子のことを押し倒して顔の両側に手をついた。そしてゆっくりと顔を近づけて再びキスをする。そして右手は上着の裾を捲り上げて涼子の肌に直接触れた。

「ん……ちょっと冷たい。変な感じ」

 しかし、冷えた手は火照る涼子の肌に温められてゆくのが分かる。そして十分に温かくなった手を胸に持っていった。

「はぁ、んんん……」

 下着の上から触っただけなのに涼子の口からは甘い声が漏れた。僕はそれに反応するように右手を動かし始めた。

「良樹……直接触って……」

 僕は無言で下着を上にずり上げて直接それに触れた。それはなんともいえない感触で僕のそれも最高潮に達した。

 

「ねぇ、良樹。私たちって結婚できるのかな」

 二人肌を温め合いながらそんな話をする。

「親戚同士の結婚かぁ。できるのかな」

「出来なくても一緒にいるからいっか」

 僕達の初夜はそんな会話をして夜がふけて行った。

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