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6 最初の出会い

朝の10時 五条さゆりは帰路についていた。 今朝はいつもより早起きをして、いつも以上におめかしをして、私服でも一番いい、値段も高い服を着ている。そしていつもパンツ姿だけど、今日はスカート姿でキメていた。弟にも、「今日はいつもと違うね!」なんて言われたりした。それもほんの2時間前くらいの話だ。


 今日は5年付き合った彼から大事な話があると言われて、ついにプロポーズをされるのか!と思っていた。 いつもの場所で待ち合わせて、すぐ近くの喫茶店に入った。 さゆりも会った瞬間「あれ?」何かいつもと違うというか、違和感のようなものを感じていたが・・・そして、 喫茶店で別れ話を切り出された。

 

 付き合ってほしい! と言ってきたのは彼の方だ。 さゆりの方は断る理由もなかったので、オッケーをして二人は付き合いだした。 彼のことが好きなのか?と聞かれれば、別に好きでもなかったが、付き合うと意外と楽なことも多い。 たまに他の男から交際を申し込まれたり、職場仲間の誘いとかも彼を理由に断ることができた。 親も今のところ結婚の話をしてこなかったので、それも気楽だった。 

そして、大事な話があると呼び出されたとき、とうとう年貢の納め時か~とか思ったりしてたのだが、、 

 まあ、いろんな人の誘いを断っていたが、実は彼のデートの誘いもたまに断ったりしてた。さゆりはインドアで、家で本を読んだりTVを見たりと、ひとりで過ごすのが好きなのだ。彼とのデートもそれほど好きではなかった。それでも結婚して家庭を持とう、と考えていたから、この一人で過ごせる独身期間を大切にしてた。 でもそれが別れる原因だった。 「愛されてない」と彼は言った。


 何だろう、このモヤモヤするようなイライラするような。 ホントなら悲しくて泣いてたりするんだろうが、悲しくはない。 「5年も付き合って、結局好きにはなれなかったか~」 とつぶやく。

 今日は一日、家でゴロゴロしようと決めた。


 ***


 リビングでくつろいでいたいつきは、いきなり入ってきた姉を見てびっくりした。 


「姉ちゃんどうした?」


「うるせ~」

 そう言って、ソファーにうつむけに倒れ込んだ。 

「今日は一歩もここから動かね~」


 樹もしばらくTVの方を見ていたが、意を決したように姉の方に向かい

「そろそろ、部屋の方に行ってくれない?

「なんで?」

「会社の先輩が来るんだよ。」

「お前が部屋に行け!」

 と、にべもなく言い返す。

「だめだよ、イチローさんが録画してるアニメをみせて欲しいってことで来るんだから」

 このリビングのTVじゃなきゃ見れないことを強調した。

 

「私は絶対ここから動かない、そう決めてるの!」

 うつ伏せのまま、顔をクッションにうずめる姉。

 これはダメだな、と樹があきらめたとき玄関の呼び鈴が鳴った。


 樹がイチローをリビングへ招き入れた。 

「ええ~と、ソファーに変な物体がありますけど気にしなくていいですから。 こっちに座ってください」 

 樹が姉の寝そべるソファーの対面にあるソファーにイチローを案内していた。 

「お姉さんですか、お邪魔します」

 イチローがソファーに座る。


 さゆりはイチロ―の方をチラッとみて「ふん!」とまたクッションに顔をうずめる。樹はさゆりの足元に座りレコーダーをリモコンで起動させていた。

「いや~、参ったよ。ウチのレコーダーたまに録画失敗するんだよ」

 イチローが樹に話しかけてた。

 くそ、私がここに居座ってんのに何!普通にくつろいでやがるんだこのおっさんわ! とさゆりはイライラしてた。 が部屋に行く気もさらさらなかった。

 

アニメが再生された。 アニメの内容は、母親が妊娠し新たな家族ができる喜びで皆でほのぼのしてたら、お手伝いさんが私も妊娠しました。 と言って、父親がそれは俺の子だとカミングアウト・・・っていう出だしで、、さゆりも何気に見ていたが、徐々に食い入るように最後まで見てしまってた。 

 

 樹とイチローが、父親が一概に屑ってわけでもないだろ~って話をしている。 さゆりもその話に加わりたかったが、、、さすがに話し出せなかった。


 そのうち二人はTVゲームをやりだした。 さゆりは再びイライラしだす。 アニメ見たんだから帰れよおっさん!


「いや~、久々にゲームするけど、最近のゲームはリアルだね~」

 イチローがのんきに言いながら、持ってきたバックからお菓子をごそっと取り出した。 

「お姉さんもよければどうぞ」とお菓子を勧めた。

 さゆりは何も言わず、菓子の袋をバリっと破き ボリボリと食べだした。 朝から何も食ってなくてお腹が空いていたのだ。 そしてむすっと立ち上がり、台所からジュースとコップ3つ持って帰ってきた。 ジュースをコップに注ぎ、イチローに手渡した。 イチローは「ありがとうございます」とお礼を言う。


 ゲームは、最近流行りのFPSで 1vs1 をしていた。 もちろん樹の圧勝で、イチローは下手すぎた。 さゆりもそのゲームはしている。さすがに樹には勝てないが、イチローが下手すぎて思わず「上から来るから隠れて!」「撃って撃って、あ~~~」とかアドバイスしてた。

  

 何戦かした後「お姉さんもやります?」とイチローが言ってきた。 

「いや~私は。。」と遠慮がちに言ってたら、「協力プレーで、五条を倒しませんか?」と


「私も五条なんだけどw」 「あ、そうでしたw」 と笑いあった。


「でも素敵な提案です、いつも凹されてるからw」 

「よし、今日は二人で凹しましょうww」

 二人で樹の方を見る。 


「いやいや、二人でも僕には勝てんでしょ~」

 樹が自信満々で言った。


 イチロー&さゆり vs 樹 のゲームが始まった。 勝負はすぐに決し、樹の圧勝!

 そんな戦いが何回も繰り返される。 その度にイチローとさゆりは「俺が引き付けてる間に背後から」とか、「今のは私が突っ込みすぎたね」とか、コミュニケーションをとる。


 何戦もやってるうちに気づく、樹に各個撃破されてる。逆に言えば、同時に攻撃されるのを嫌がってるのだ。 二人で同時に攻撃できるシチュエーションを形成出来れば! 樹に聞かれないように、気づけば二人で作戦をこそこそと話し合う。

 

 そして、二人で樹を挟み撃ちできる状態に持ってイケた。 逃げる樹を「逃がすな~、さゆりさん右右」と「オッケーいける」とついに樹から一勝をあげた。

 悔しがる樹、ハイタッチするイチローとさゆり。 すげー楽しい!と思うさゆりであったが、1勝をあげたところでイチローが「じゃあ、そろそろ」と立ち上がろうとした。 時計を見たらもう6時だ。


「あ、よかったら夕食を今から何か作るので、食べてきませんか?」とさゆりがイチローに言った。


「あ~、姉ちゃん、晩御飯は二人で外食するから」 「お邪魔しましたお姉さん」と言って二人が出て行ってしまう。


 なんだ? それなら私も誘ってくれればいいのに? と思ったが、 しばらくして、まあいいか、今日はいい日だったな~と自分用の食事を作りだした。

 

のんびり書いていこうと思います。 感想などよろしくお願いいたします。

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