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5行き詰る

 そうか、この世界で鏡を見てないから気づかなかったけど、顔が変わってるんだ。エミリーみたいな顔をしてるなら、自分の顔を見てみたい。 が、自分の顔を知らなかったってのはマズい気がする。 


「あ~似てるっていえばそうかな~。 心配されついでにチョット相談にのってもらえたらうれしんだけど」

 話題を変えようとした。

 

「え~なに? エミリーの弟であるイチローに言われると断れないな~w」

 

 どうしても聞きたいことがあったのでズバリ聞こう。


「魔法ってどうやるの?」


「ん、魔法か~ 私も火系なら使えるよ」

 アルマはそう言うと、右手の人差し指を立てる。 指先からロウソクに火がともったような炎がふわっと出た。


 「おお~、」 ホントにここは異世界なんだなって実感がわく。「多分俺もできると思うんだけど、どういう風にしたらいいの?」


「え、ホントに? 魔法って使える人少ないんだけどな~」・・・「まあいいわ、イメージが大事よ。 指先から火が出るイメージを強く 指先に込めてみて」

 アルマが俺の前に指を突き出す。 ふわっと再び火が出た。

 

 俺も人差し指を立てて、イメージする。 ローソクの先に火がともるイメージ イメージ イメージ でた! 指先に火がともる。「できた!」とアルマの方を見たら、「すごい~!」とアルマが言った。

  

 もっと、火力は上げられそうだ! とイメージを膨らます。 ロウソクの火が炎となり燃え上がる!! 「熱っつぅぅ!!」  「あ、馬鹿ね~。」とアルマが声を上げた。 俺の指が火傷した。

 アルマが、腰にぶら下げてた水筒のふたを開け、水を俺の指にかけながら「火を大きくしたら,火傷するに決まってるじゃない」と言った。


「え~、火力上げて火傷するなんて この魔法はいったい何に使えるの?」 

 そう言いながら自分の指先を見る。 肌が赤くなりヒリヒリと痛い。完治まで時間がかかりそうだ。


「ファイヤは、火起こし位でしか使えないかな~、ほら手を貸して」

 俺の手を取り、濡れた指を布で拭いてくれた。

 

 俺はアルマにこの世界の魔法について教えてもらった。 結論から言うとこの世界で魔法はあまり使えないものらしい。 例えば、風魔法はエミリーも使えるそうだが、暑い日に風を起こして涼むとか、水魔法もコップ半杯くらいの水を空気から生成できるとかだけで、のどが乾いたら水を生成して飲めるとか・・・まあそういう感じ。

 魔物退治とか対人攻撃は、剣で相手を切るのがメインの戦い方で、他の戦い方だと動物とか魔物を使役する者がたまにいるくらい。魔法しか使えないものは冒険をしない てか、できない。

 

 治癒魔法とかはどうなのだろうか? これも聞いたが、主に治癒魔術師は、俺の世界でいう医者、病院経営みたいな仕事をしてるそうだ。

 治癒魔法で傷は元通り治せるが、痛みはしばらく残るそうで、冒険中にケガして、その場で傷を治しても痛くて動けないから、冒険に治癒魔法師がいてもあまり役に立てないってことらしい。

 火傷した指に治癒魔法をかけてみた。 指から赤みが消え一見治ったように見えたが、指先のヒリヒリは相変わらずだ。 それでも治癒魔法をかけると指自体は治ってるので、痛みは何もしない時と比べたら断然早く引くみたいだが・・・

 治った指を見てアルマが「おお~」と感嘆の声を上げていた。一応、治癒魔法はレアらしい。


 昨日に引き続き再びギルドに行くことになった。 アルマの冒険者パーティーと合流して、俺のことで相談することになった。 何を相談するのかっていうと、俺がアルマやエミリーのパーティーに入れて欲しいと懇願したのだ。 アルマも最初はきっぱり「それは無理!」と拒絶していたが、お願い攻撃を繰り返したおかげで、相談するだけならと折れてくれた。 そもそも【小説家になるための最強アプリ】では、俺はパーティ仲間であるはずだ。 そして、アルマも俺のこと好きな筈だが、全然そんな感じじゃないような・・・。 


***


 冒険者ギルドの建物内は、ギルド以外にも食堂と宿がある。 今日は食堂の方へ行き、そこでエミリーとレナルドを待つ。 待ってる間に食べ物を注文した。よく分からないのでアルマと同じものにしたら、パンとスープが運ばれてきた。 食べてみたけど、パンは味気ないしスープは少し塩辛い。パンをスープにつけたら良い感じか。。。でもおいしくはないかな。

 そんなことを考えながら、パン食ってスープ飲んでパンを流し込むを繰り返していたら、「アルマ~」とエミリーが声を掛けてきた。 そして俺と目が合う。


「なに? イチローその恰好?w」

 エミリーは、少し驚いた顔をしてから... 笑い出した。 


 「ちょっとエミリー失礼よ。」 

 アルマがエミリーに言ってくれた。 そのエミリーの後ろに幼馴染と同じ顔の奴がこっちを見てる。 レナルドなんだろうが何も言ってこない。

 エミリーとレナルドはアルマの横に座る。俺の正面にアルマ、右にレナルド、左にエミリー。アルマがエミリーに俺と草原で出会ったことを話していた。 そして俺にレナルドを紹介してくれた。 


「よろしくイチローです」

 あいさつしたが、レナルドはこっちを見てるだけで特に何も言わなかった。 


「で、テオとは出会えたの?」

 とアルマが聞いた。  


 え?『テオ』だって?  俺を襲い、エミリーを付け狙っていたのが『テオ』だったはず。 何で会おうとしてるのだろう?


「村中を探したけどいなかったわ」

 そうエミリーが言うと、続けてレナルドが、

「もうこの村にはいないのかもな」

「じゃあ、フランクもこの村にいない可能性が高いのかもね」 

 アルマが言ったところで俺が口をはさんだ。 

「テオとフランクって誰です?」

 

「君にはあまり関係ない話だよ」 

レナルドが冷たい目線を向けて言ってきた。 こいつはホントに俺の幼馴染と同じ設定の奴なのだろうか?

 と思ってたら、エミリーがレナルドの言ったことが聞こえてなかったかのような感じに、

「まずフランクってのがクルトっていう大きな町で指名手配されてる悪い奴で三日前くらいにこの村に手配書が回ってきたんだけど、私たちの知り合いのテオがそのフランクらしき人物と一緒にいたって目撃情報があって、 で、今日レナルドとテオを探してたのよ」 

 

 エミリーは悪い奴だと言っていたが、アルマが、『悪いなんてもんじゃない!やばい奴だ!』と教えてくれた。 まあ知ってるけど、また会ったら足が震えるかも。


 そして俺の話になった。冒険者としてやっていきたいので、同じパーティに入れて欲しいとお願いした。 しかしレナルドが

「君さ~、剣とか振ったことある?」

 

「ない・・・」

 

「話にならないな」

 

 きっぱり言われた。 エミリーの方を見たけど「それは、無理よね」と・・・


 完全に行き詰った。 この先どうしていいかさっぱり分からない。

のんびり書いていこうと思います。 感想などよろしくお願いいたします。

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