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1物語の始まりが

 草原に立っていた。

 WindowsXP の壁紙でよく見てた、そんな感じの草原。


 あれ?、俺は自分の部屋でパソコンに向かい小説を書いていたはずだけど・・・

 気が付けば裸足で草原に立っていた。

 あ~、寝てしまったのか~、ってことはこれは夢だな・・・


 んなわけね~、夢と現実の区別くらいつく。


 これは紛れもなく現実だ。

 

 俺の名前は田中一郎。 43歳独身で彼女はいない。しがないおっさんというやつだ。仕事も上手くいってなく、新たな趣味として小説を書くことを始めようとしていた。

 異世界転生の物語を何のアイディアなしで書き始めたのだが、なぜか自分が異世界に転移してしまったみたいだ。


 「マジか・・・」


 そうつぶやき、辺りを見回す。すると誰かがいることに気付いた。

 そ~っと近づいてみると冒険者のような恰好をした女の子が目を瞑って仰向けに寝そべっていた。

 眠っているのかな? さらに近づく。


 茶髪でショートヘア、童顔でスゲ~かわいい!! てか、俺が小説用にイメージしていたヒロインそのものではないか。

 これは・・・え・・ホントに? 少しパニックになっていたら、女の子が指で目をこすりだし、薄目でこっちを見る。

 

 俺に気づくと、目が一気に開いて、


「だだだ・・だれ!?」


 可愛らしい声をあげ、パッと横に置いていた刀を手に取り中腰の臨戦態勢をとってきた。


 俺は思わず、両手をあげ敵意がないことを示す。


 シーパンにシャツ、足は素足、そんな俺をみて女の子は臨戦態勢を解いた。

 が、訝し気な目はそのままで、


「ここで何をしてるの? 名前は?」

 

 と、強い口調できかれた。


「イチロー」 

 

 思わず小さな声で名乗ったが、女の子は何も言わない。 ここで何をしているのか?を答えていないので、その答えを待っているのだろうか?

 だが、それはこっちも知りたい。・・・仕方ない、ここはありきたりだが・・・


「名前はイチロー。名前以外が その~わからなくて・・・どうやら俺・・・記憶喪失みたいな・・・」


 おや?!って感じに女の子の顔が少し緩んだ。


「言葉もわかるし、異人ではないようね」


 そうつぶやき、俺に近づき興味ありげに俺の顔をジロジロとみている。


 ち・近い・俺はドキドキしながら「異人?って」と聞いた。


「たまに出るのよ、言葉の通じない。。。 コミュニケーションが取れなくて、すごく狂暴で。。まああなたは着てる服は変だけど、言葉は通じるから・・・記憶喪失なの?」


「ええ、気づいたらここにいました。 ここはどこですか?」


「ここはアロエ村の北にある草原よ。 こんな日に寝そべるには最高の場所だけど、、あなたは、そんな目的でここにいるわけじゃなさそうだし」

 

「はい、寝そべるには最高な場所だけど、おそらく、そんな目的でここにいるわけではないです」


「チョットw」 

 

 女の子は少し笑う。



 なんでかフレンドリーな感じになった気がする。 しかも笑顔も最高に可愛いい!


「名前を教えてもらってもいいかな?」 


「エミリーよ」 

 

 そう名乗りながら、俺の顔をまじまじと見ていた。

 

「エミリーか~、よろしく・・・俺の顔に何か?」


「ん~、何だろ、親戚とかいるって聞いてないしな~」 

 まるで関係ないことをつぶやいてから


「ねえ、私の顔見てどう思う?」  

  

 ええ!(驚き)、何てこと聞いてくるんだろう。

「ええっと、なんていうか・・・かわいいです。 可愛いお姉さんって感じですかね(汗)」


 エミリーは、ちょっと恥ずかしそうにして。

「かわいいお姉さんってwww そうか~お姉さん いいね!そういうのw あ、そうだ! 記憶喪失なら頭にショック与えるのがいいんじゃない!」


「いやいやいや、頭を殴る気? 勘弁してよ~」


「フフフ、冗談よ。 でもそうね~、、記憶喪失になった人って初めて会うし・・・ 」


「お願いします、こうして出会えたのも何かの縁だと思うので、、助けてください」


 記憶喪失は嘘なのでどうにもならないだろう。でも、この状況を何とかしてほしいのは事実で、ホントに助けて欲しい気持ちで言った。


 「そうね~、お姉さんとしては何とかしてあげないとな~・・・ そうだ、マスターなら、、イチロー、村に冒険者ギルドがあるから、そこでギルドマスターに相談してみたら?」


 「ギルドですか・・・ 分かった、お願いします」


 取りあえずエミリーの提案で村の冒険者ギルドに向かうことになった。

 村はなんていうか、田舎という表現がぴったりで、これはホントにファンタジーの世界なのだろうか?と疑う感じ。 道も土で固められたあぜ道だし。


 道中は、エミリーにアロエ村のことを教えてもらったりして、何だかとても楽しい。


 エミリー自身の話し方も心地いいのだが、俺自身もいつもと違う感じで喋れた。

 いつも女性と話すときは緊張して上手く喋れないのに、ホント不思議だ。 やはり夢なのだろうか?


 20分ほど歩いただろうか、周りの建物が少し立派なものが増えてきた。

 その中に小学校の体育館くらいの大きな建物が見える。

 エミリーがそれを指さし、「あの建物内の一角が冒険者ギルドよ」と言った。


 ギルド内は閑散としていた。数人の中年パーティが談笑していたが、その中の一人の男性がこちらに気づいて声を掛けてくる。

「お、エミリー今日はレナルドたちと一緒じゃないんだな、誰だい彼は?」


「この人はイチロー、北の草原で知り合ったんだ~」


「見たことのない服を着てるけど、どこの人?」と こちらを見る男性。


「わからないの~、そのことでマスターと話がしたいんだけど、、あ、イチローはここで待ってて!」

 そう言い残し、エミリーは奥の部屋に入っていった。


 男性は何も言わず、少しの間こちらを見ていたが、興味をなくしたのかパーティ―仲間との会話を再開した。


 しばらくして、エミリーとガタイのいいおっさんが部屋から出てきた。


「イチロー! この人はギルドマスターのブルーノさん。 きっとあなたの力になってくれるわ」

 

「イチローと言います。よろしくお願いします」

 ブルーノに挨拶をした。


「もう帰らないとイケないから、ブルーノさんあとよろしく。じゃあね~ 」

 エミリーは、手を振りながら帰ってしまった。


 えっ 行ってしまった・・・ さっきまであんなに楽しかったのに、、不安という名の谷底に突き落とされたような気分・・・  


「で、記憶喪失なんだって」

 ギルドマスタ―のブルーノが声を掛けてきた。


「ええ、名前以外は何も思い出せなくて・・・」

 嘘だけどw


「まあ、ここでやれることは、あんたを知ってる人を探すって依頼を張り出すくらいかな。報酬はいくら出せる?当然安い依頼料だと誰も相手にしないことになるからな。」


 報酬? まあ当然か、、でも困ったぞお金なんてない・・・


 俺の表情で、金がないことを察したブルーノは やれやれと言った感じに

「まあ、金は何とか工面するこったな、お前の知り合いが見つかって、そいつが払ってくれる可能性はあるけど、とりあえず幾らかもらわないと、依頼は受け付けないぜ。」 

 そう言い残し、部屋に帰ってしまった。


 この後どうしたらいいのだろうか? ギルド内のベンチに座り頭を抱えていた。

夢であってほしい、そしてもそろそろこの辺で冷めてほしい。

 エミリーは、ブルーノが力になってくれると言っていなくなったが、全然力になってくれてねー、全然力不足だ!


 気が付けば周りに誰もいなくなり、外も暗くなっていた。

なんとなく、もうここは出なくてはいけないだろう。


 立ち上がり、外に出た。

 空には満月が出ていて、割と明るい。

 野宿しかないか、、と寝れそうな場所を探してふらふら歩く。


「おい、お前!」

 背後からだれか声を掛けてくる。


 振り返ると、人相の悪そうなガタイのいい男と、そいつより背が高くて太った男の2人組がいた。


「昼間は、俺のエミリーと仲良く話してたな。」

 ガタイのいい男がしゃべってきた。


 俺の・・・? エミリーがお前の? え~~嘘! 

 多分俺は、驚いた顔をしてたと思う。


「てめーー、なんかムカつくな!!」

 そう言うと同時に殴り掛かってきた。


 え!、 いきなりそんな暴力を奮ってこないだろうという油断があった。思いっきり顔を殴られ態勢を崩す。

 そのあとはもう殴るけるでボコボコにされた。

「今日はな~、エミリーが一人でチャンスだったんだ!この疫病神が~!」


「こんな弱っちいやつがいただけで手を出さね~なんてなw」

 太った男の方がニヤニヤ笑いながらそう言うと、ガタイのいい方が太った方を見て


「うるせ~この野郎!」と怒鳴った。


 太った方はやれやれといった感じで

「まあ、次は俺も行ってやるから もっと強引にいこうぜ!」



 血の気が引くのがわかる、殴られて体のあちこちが痛いからではない。こいつらの言ってることがわかる。

 「おまえら~、エミリーに手を出すと許さんぞ!」



 太った男が俺に近づき、刀を鞘から抜き 上から下に振り下ろした。



 なんだこれ・・・ 血が・・・ 意識が遠のく・・・・・・・

のんびり書いていこうと思います。 感想などよろしくお願いいたします。

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