第5話 交渉、決着!
???
これも貰っとかないと、先々不安だよね。
「待って! 俺の暮らしてた現代と、戦国時代って言葉が違うよね。現代の言葉をうっかり使っちゃって、狂人扱いとかされたくないんだけど。
閻魔大王様が使ってるみたいな、どんな言語にも合わせて自動的に翻訳してくれるような能力とかないの?」
「言語翻訳能力ですか? うーん、たしかに言われてみればもっともかもしれませんね。わかりました! それもつけましょう」
「それからさ、義重さんは、今まで色々と経験してきたわけじゃん。俺も色々と教えてもらったけど、絶対に教わり足りてないと思うんだよね。転生先で上手く立ち回るためにも、義重さんの記憶をコピーしてほしいんだけど」
「これは義重さんの個人の問題もありますから、義重さんが良いと言わ……」
「私はそれで構わんぞ! 私の代わりに生きてくれるのじゃ! そのぐらいなんでもないことだわい!」
「では、義重さんも良いと言うので、認めましょうか」
よし! これで懸案が消えた! それどころか、新たな可能性が生まれたぞ!! もう一踏ん張りだ。
「あと、義重さんが言ってたんだけど、『植物の種や苗を何でも手に入れられる能力』をもらえるって、本当?」
「え? 義重さん! そんな約束したんですか!?」
「おお、したぞ。閻魔大王に取ってみれば、そのぐらいたいしたことではなかろう。何か拙かったか?」
「何もないところから、物を生み出すって相当難易度が高いんですよ! しかも生物を生み出すって大変なんですからね!」
「じゃあ、別の物と置き換えるのはどう? 例えばその辺の雑草と、ほしい植物を交換するとか」
「ああ、それならば何とか」
「ちなみに、交換はできるのは数ベース? 質量ベース?」
「質量ベースでお願いします。スズメノカタビラの種と、ヤシの実とかを交換されたら困りますんで」
「そうすると、分子レベルで足りない物が出てきそうなんだけど……」
「原子レベルでなければ何とかなるようにしましょう」
マジ!? 原理はわかんないけどスゲー!
じゃあ、こういうのもOKかな?
「じゃあ、当時の植物だけじゃなくて、現代の植物とかもいいよね」
「もうここまで来たら、それぐらい認めましょう」
「でもさ、栽培方法が分からないと宝の持ち腐れじゃん。栽培マニュアルってもらえる?」
「そんなオーパーツ。出せるわけがないでしょう!」
「じゃあ自分で調べるから、ネットにアクセスできる機械がほしいな。あ、当然壊れないヤツを」
「ダメダメダメ! もっとオーパーツじゃないですか!」
流石にダメか~。じゃ、伝家の宝刀を抜きますか!w
「あれもダメ。これもダメ。やっぱり義重さんに、もう1回やってもらった方が……」
「ああ! もう!! じゃあこんなのはどうですか? 睡眠中に、1日最大1時間、ここに繋がる時間を与えますから、それを利用して、調べ物ができるというのは? 普通の夢と違って忘れないようにしますから」
お、高次元空間へのアクセス権限がもらえた!
これはちょっと予想以上かもしれない。でも、まだ容赦はしない(笑)
「それなら良いかな。でも、俺、字も絵も下手なんだよね。アウトプットできなかったら困るからさ、素早く、そっくりに絵とか描けるようにしてもらってもいい?
あ、それから、場合によっては実際に動いてみないと説明できないこともあると思うから、見たことをそっくり再現できる能力もほしいんだけど……」
「実際そういう能力をもった方もいますから、それくらいなら……」
「でさ、ちなみになんだけど、余った時間は、ゲームとか、動画見たりとか、他のこと調べたりとかしてもいい?」
「もう! それでいいです!!」
よっしゃぁ! じゃあ最後の仕上げだ。
義重さんが言ってたこの権利は、一応残しておきたいからな!
「あとさ」
「まだあるんですか!?」
「義重さんが、『天寿を全うしたら、生き返れる』って言ってたんだけど……」
「そんなことできるわけが……。
ああ、なるほど。酒井さんは、仮死状態で、ここにいるようですね。
まだ、完全に死んだわけではないので、輪廻の輪のシステムが動き出していません。ですから、元に戻すことができそうですね……。
わかりました! こちらも無理なお願いをしている立場です。任務遂行したら、元の平行世界に魂を戻す予約をかけておきましょう。
ただし、自殺したり、誰かに殺されたり、事故に遭ったりした場合は、本来の予約のタイミングとずれてしまいますから、予約は発動しませんからね。くれぐれも慎重に行動してください」
「わかりました! 閻魔大王様、義重さん。俺、やります!!」
「「おお! やってくれる(ます)か!!」」
「本当は、『でも、やめます!』って言いたいとこですけど、ここまで良くしてもらったら、もう『やる』しか、選択肢はないです。閻魔大王様。俺、生き返れるように頑張ってきます」
「無理をしてはなりませんよ」
「義重さん。義重さんの無念。晴らしてくるからね!」
「迷惑をかける。よろしく頼むぞ!」
「じゃあ行ってきます!
俺、きっと天下統一して、みんなに傅かれながら、畳の上で死ぬようにします! じゃあね~♪」
「「………………………………は!? 誰がそんなことしろと言った~!!!!」」