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第167話 論功行賞の行方

天正10年(1582年)6月27日 近江国 蒲生郡 安土城



 皆さんこんにちは。梅王丸改め 里見上総介信義こと酒井政明です。

 さっきやっと論功行賞が終わったとこだよ。長かったんで、かいつまんで伝えるね。



 俺の次に賞されたのは、明智討伐で活躍した人たち。みんな順当に加増されてたよ。


 まず、俺と一緒に行動して、光秀を討ち、京へも一番乗りを果たした、稲葉良通(一鉄)さんと斎藤利堯さん。それと、野洲川の合戦でも活躍した氏家直昌さんが呼ばれたんだ。全員大幅な加増。石高的に言うと、1人あたり10~15万石を領することになった感じかな? 


 結果的に3人で、美濃の西部から中央部をほぼ3分割したような具合になった。現在の所領と比較すると、少なくとも倍近くには増えてると思う。ちなみに、一緒に行動してた竹中重矩さんなんかも、しっかり1郡を貰ってたんで、小禄でも目端の利く人はきちんと出世できてたよ。



 次に、信長さんの家族を守って、野洲川の合戦にも参加した蒲生賢秀・氏郷(賦秀)親子は近江で加増。多分15万石ぐらいにはなったと思う。氏郷さんは信長さんの娘婿ってアドバンテージもあるけど、間違いなく大きな働きだったから、当然の結果だね。



 そして、俺イチオシの山岡景隆さん。万石に届かないレベルの小名から、一気に甲賀郡の領主に出世した。信包さんの話でもべた褒めだったから、周囲からは感嘆の声が上がってた。


 そこまで認めて貰えるとは思ってなかったんだろうね、本人も感極まって号泣しちゃって、推薦した俺も目頭が熱くなったよ。景隆さんには織田信吉(長丸)君の付家老として伊賀の面倒もみてもらう予定なんで、そっちの方も頑張ってほしいな!



 ちなみに、三法師君が安土城に入ることになったんで、近江以外にも所領がある人たちは、みんな国替えになったよ。言っちゃあなんだけど謀反対策だね。


 そのうち丹羽長秀さんは佐和山領の代わりに丹波の4郡を貰った。若狭と併せて石高で言うと30万石ぐらいにはなると思う。『京都復興の総指揮のため』って理屈は付いてるけど、正直言って、今までが少なすぎたんだよ。



 羽柴秀吉さんは長浜領に代えて、淡路1国を賜り、予定通り四国征伐の副将を務めることになった。あんまり秀吉さんの領地は増やしたくなかったんだけど仕方ないよね。


 ちなみに、淡路は津田信澄さんの領地なんだけど、明智の仲間扱いされて、討伐されることになってる。ただ、どう見ても冤罪なんで、場合によっては船を難破させる(秘密裏に保護)ことも考えてる。



 蜂屋頼隆さんは肥田領に代えて、和泉1国を、和泉のもう半国を支配してた織田信張さんは、河内半国に移り、ともに加増になった。この2人は俺の紀州征伐に与力として参加してくれる手はずになってるよ。




 葬儀の奉行を務めた池田恒興さんは丹波で2郡、堀秀政さんは近江で2郡を貰ってた。2人とも10万石前後の中堅大名になった。


 もともと織田家は、信長さんの方針もあって領地の配分は、ずいぶんとケチくさかったんだよね。でも『本能寺の変』で織田の中核を担ってた奉行衆とかが大量に討死しちゃったんで、生き残った能力のある人は、どんどん加増して、責任のある立場に抜擢してる感じかな。



 北陸の柴田勝家さんは現状維持。ただ、この御時世だ(信長さんが死んだ)し、毛利との和睦も成立しちゃったから『上杉の降伏を受け入れても良い』って御墨付きを貰ってた。硬軟取り混ぜた対応ができるようになるんで、北陸での戦闘終了も近いんじゃないかな?



 そして、忘れちゃいけない徳川家。『織田家が招待してる途中で謀反に巻き込まれて当主が命を落とす』って、織田家にしてみれば大失態を演じちゃったわけだ。しかも、遺臣団が野洲川の合戦(仇討ち)でも大暴れをしてるんで、ちょっとやそっとの褒美(慰謝料)じゃ済むはずがない。


 で、結果として、こうなった。


『信濃1国切り取り次第(小県郡・佐久郡を除く)、条件付きで駿河の駿東郡・富士郡を加増』


 全て達成すると石高的には70万石ぐらいの加増になるんで、面目は施した形だよ。


 ただ、現状では信濃は一揆衆が暴れ回ってて、信長さんが任じた領主が、全て殺されちゃったか追い出されちゃったかって状況だし、駿河はまだ北条領なんで、どっちもこれから攻略しなきゃいけない。


 だけど、他に手を出してくる可能性があるのは上杉ぐらいだし、その上杉は本国に奥州勢が乱入して信濃どころじゃなくなってるんで、周りを気にせず大手を振って攻略できるようになったのは大きいよね。


 まあ、実は既に6月10日には、酒井忠次たち主力メンバーは三河に帰して、ほぼ総力を挙げて信濃攻略に出陣させちゃってるんだけどね。



 え、許可は取ったのかって?


 やだなぁ! 事後承諾にきまってるじゃん(笑)


 ちなみに、葬儀と論功行賞には徳姫さんが息子の竹千代君(信康さんの息子)を連れて参加してるんだ。織田家相手には、どう考えてもこっちの方が通りが良いからね!


 うん、文句を言われそうになったら、徳姫さんを前面に押し出せばみんな黙るんで、と~っても都合が良かったよ(笑)




 さて、残った関東の扱いなんだけど、滝川一益さんに『一任』ってことになった。


 ちなみに、事前の話では、甲斐は武田豊信さんに一円支配を。武蔵は北部10郡、40万石分ぐらいを滝川一益さんに。東部の3郡の太田資正さん、太田康資さん、成田氏長さんあたりは独立させる。伊豆は全てを里見領に。それから、下野しもつけの佐野宗綱さんは里見家の与力に鞍替えさせる。ってことになってたんだけど……。


 後で聞いたら、まだ北条との戦が決着してないから、今回は発表を見送ったんだって。


 ま、いずれにしても、俺たちにとばっちりが来ないことは確実になったから、一安心だよ。



 さぁて、俺にとっては色々と片付けきれてない事案があるけど、1つずつ潰していかなきゃ。まずは一番大きいところからかな? さあ、明日からまた忙しくなるよ!









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こちらは前作です。義重さんの奮闘をご覧になりたい方に↓ ※史実エンドなのでスカッとはしません。
ナンソウサトミハッケンデン
― 新着の感想 ―
[気になる点] 現在(第167話)の日本情勢 九州・東北北部……ノータッチ 四国……信孝さん、羽柴勢攻勢決定 山陽・山陰………和睦中 畿内・東海(駿河除く)・甲斐・北陸(越後除く)・東北南部……一応…
[一言] 直轄地を統治するための人材が大量に死んだから加増という形で出来る人に任せるしかないよね。 上杉は滅ぼした方が得なんだ。東北勢の取り分もあるし、北陸方面軍にいて明智討伐に参加できなかった人たち…
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