婚約を破棄…しません!
気付いたら評価ptが1000pt超えていました!
皆様有り難う御座います!
本来の賑わいとは違うざわめきに包まれる卒業記念パーティの会場。
その中央、皆の視線の先に私はいる。
悪を断罪するために。
「リュシアナ・マスケルフェン公爵令嬢。今、この場をもって貴女との婚約を破棄…」
する!と言い掛けた時、私の時は停まった。
いや。正確に言えば、光が走り抜けるように様々な映像が私の脳内を急速に駆け巡ったのだ。
そして映像が終わった瞬間、私の口は勝手に続く言葉を紡いでいた。
「…しません!」
その場が静寂に包まれたのは言うまでもない。
++++++++++
私の名はミハイル・エル・トリストール。トリストール王国の王太子だ。
文武両道で眉目秀麗。誰からも文句を言わせるこのと無い完璧な人間である。
それだけの努力をしているというと自負している。
そんな私にも一つだけ悩みがあった。
我が婚約者殿の事だ。
彼女の名前はリュシアナ・マスケルフェン。マスケルフェン公爵家の一人娘であり、数いた婚約者候補を(家族が)押し退け私の婚約者となった令嬢。
リュシアナはいつも輝く金の髪を波打たせ、宝石のような蒼の瞳で私を見つめ、まるで天上の調べのごとき声で語りかけてくるのだが、その度に私の心臓は機能不全を起こし、急速に血圧が上昇し、思考が停止する。そして私の固まった思考と表情筋が動き出す時、その口は勝手に、心にも無い言葉を吐き出すのだ。
例えば…そう、先日も彼女とお茶をした時。
『ミハイル様、今日のお茶はマスケルフェン領の早摘みの茶葉なんです。お口に合うといいのですが…』
『ふん。茶などどれも大して変わらないだろう』
『あ…そうですわね。申し訳ありません』
…と、リュシアナに悲しい顔をさせ、更には謝らせてしまった。
違うのだ!あの時は本当はこう言いたかった。
『ああ、とても香りがいいな。流石マスケルフェン領の茶葉だ』
そして微笑みながら茶を飲みたかったのだ!
実際にあのお茶は旨かった。それにも関わらず、彼女相手だとどうしてか思い通りにならない。
一度病ではないかと医者に相談した。城お抱えの高名な医者だ。すると奴は話を聞くや否や呆れた顔をして私を追い出した。
王族に対する扱いではないと腹が立ったが、心の広い私はそれを許すことにした。
次に筆頭魔術師を頼った。呪いを疑ったのだ。長年王家に仕え、研鑽を積んだ彼であったら、何かしら分かるのではないかと期待したのだが、奴はその時の状況を根掘り葉掘り聞くと、ニヤニヤと変な顔をしながら言った。
『ある意味呪いとも言えますな』
『やはり…!それで、その呪いは解けるのか?』
『それは殿下自身で解かなければならないもの。冷静に、この呪いの原因に気付けさえすれば、自ずと解けましょう』
などと曖昧な解答し、もう何も言うことはないとその場を去ってしまった。
以降、どんなに考えても答えが出ず、上手く出来ない自分にイライラしてくる。そしていつしかリュシアナに対して苛立ちを覚えるようになった。分かっている。完全な八つ当たりだ。
そしてギスギスした婚約関係が続いていたある日、転機が訪れた。
それは王立学園の入学式のこと。
生徒会長としての仕事の為廊下を歩いていると、角から誰かが飛び出してきた。
ここは王国中の貴族の子女が通う学園。つまりは廊下を走るものなどいないはず。国を担う王族として一言注意をしようと、ぶつかってきた人物に目を向けると思わず息を飲んだ。
光の反射で金にも見える、柔らかそうなピンクの髪とルビーを嵌め込んだような紅い瞳。まるで小動物のような可憐な少女がそこにいた。
『あ、ごめんなさい!急いでいて…怪我は無いですか?』
呆然と彼女を見詰めていると、小鳥のような声で心配そうに話しかけてきた。
それが、ルーシー・カネルとの出会いだった。
++++++++++
ルーシーは不思議な少女だった。
共にいると心が落ち着き、心のままに言葉を紡げる。リュシアナとは正反対だった。
今まで気を抜くことすら許されない生活を送っていた私にとって、いつしかルーシーと共にいることが増えていくのは自然な事だった。
月に一度のリュシアナとのお茶の席でのこと。
リュシアナはお茶を一口飲むと、神妙に切り出した。
『ミハイル様、近頃一人のご令嬢と仲良くされているようですが、お控えいただけないでしょうか?』
『私が誰といようが構わないだろう』
『わ、わたくしはミハイル様の婚約者です。それに彼女はミハイル様の他にも婚約者のいる殿方とも懇意にしている様子…。そのような方と関わっていれば殿下の評判が』
ガチャンッ!!
思わず力強くカップを置いてしまった。思考が靄がかる。
中身が少し零れたが、それよりも今は、これ以上彼女の言葉を聞いていたくなかった。
『お前とは親が決めた婚約だ。そこに私の意思は存在しない。そしてお前に私の友人関係に口を出す権利はない』
口を慎め。
そう低く言うとリュシアナは肩をビクリと震わせ、俯きながら小さく『申し訳ありません…』と呟いた。
その声に、表情に、心がツキリと痛んだのに気付かない振りをした。
それから数日後、ルーシーが酷く落ち込んでいるところに遭遇した。
教科書が破られて棄てられていたらしい。
犯人に心当たりがないか聞くと、私の顔を見て、言いづらそうに目を逸らした。瞬間、頭の中に一人の姿が横切る。
まさか…と思いつつ、その名前を口にした。
『リュシアナ…か?』
『っ…!』
『そうなんだな?』
『ちがっ、そうじゃなくて、あの、全部私が悪いんです!私がミハイル様たちと仲良くするから…!!』
その言葉で全てを察した。
先日、リュシアナからルーシーと仲良くするなと言われたばかりだ。
私に言って駄目だったからと、ルーシーが自ら離れるよう手を回したのだろう。いや。もしかしたら私が気付かなかっただけで、今までも被害があったのかもしれない。
…本当に?
本当にリュシアナはそんなことをする女性だろうか?
そんな疑問が過るも、ルーシーの涙で霧の彼方へ消え去った。代わりに沸々とリュシアナたちへの怒りが込み上げる。
何もしないで欲しい、自分でなんとかしたいからというルーシーの言葉を尊重し、暫く様子を見ることにした。
ルーシーが階段から落ちたと聞いたのは、それから半年が経った頃だった。
『もう我慢できません、殿下!』
騎士団長の息子が言う。
『ええ。流石に度が過ぎます』
宰相の息子が
『僕も堪忍袋の尾がプッツンきたよ~』
天才魔術師が言う。
そして私も。
『彼女たちは一線を越えてしまった。もう見逃すことは出来ない』
これ以上野放しにすれば、今度こそルーシーの命が危険だ。
私たちは最終手段を取ることにした。
+++++++++
そして時が戻り卒業記念パーティ。
本来ならここで、リュシアナを始めとするルーシーを虐げてきた令嬢たちを断罪するはずだった。
そのために、私たちは証拠を集め、準備をし、今日に臨んだのだ。
しかし、今のはなんだ?
こことは違う風景、人物、機械?、知らないのに知っているそれら。
いや、それよりもだ。今、この場、今までの台詞、そしてこの後の展開全て俺は知っている?
「ミ、ミハイル様?」
袖を引かれてハッとする。
見ると困惑した表情を浮かべるルーシーがいた。
何故だろう?不思議と今まで感じていた庇護欲を感じないのは。
前に向き直ると、こちらを困惑と不安をない交ぜにした表情のリュシアナと目があった。瞬間。
ドクンッ!
「…ッ!!」
急に心臓が激しく動き出す。顔に熱が集まる感覚。
ルーシーと出会ってから久しく感じていなかったものだ。
だが、以前よりも強烈に私の中を駆け巡った。
「ミハイル…様…」
その声で名前を呼ばれるのはとても久し振りに感じる。
そのようなことは無いはずなのに可笑しなものだ。
「あの~、ミハイル様?どうしたんですかぁ?」
そもそもこの状況になった原因はなんだったか?
リュシアナがルーシーを虐げていたことが原因だったはずだ。
情報を整理しようと視界を閉ざす。
一つ深呼吸をしてようやく少し冷静になったところで、ここ暫くの自分の行動や発言に違和感を覚えた。
まず、なぜ私はこの女にここまでしてやっているんだ?普通に考えてもリュシアナの方が全てにおいて優れているではないか?
第一、王太子たる私が一人の令嬢に肩入れなどあってはならない。それも自分の婚約者を差し置いて!
「お~い」
違和感はまだまだある。
リュシアナが私に苦言を呈してくれた時、私はなんと言った?お前に私の友人関係に口を出す権利はない?
いや、権利ならある。将来私の妻となりこの国の王妃となるのだから、行きすぎた行動を咎めることになんの問題があろうか?
その苦言を受け止めこそすれ、口を慎めなどと言えるわけがないのだ。
…むしろリュシアナが怒ってくれたことを嬉しく感じている私がいた。
「もしも~し」
今咎めている内容にしても可笑しい。
確かに、実際に一生徒を階段から突き落としたのであれば咎めてしかるべきだ。
だが、婚約破棄をする程かと言われると実際そうではない。
何故なら、リュシアナが公爵令嬢であり、ルーシーが男爵令嬢であるからだ。
更には身分差が天と地ほど離れており、更には自分の婚約者に近付いている不届きな令嬢に対する行為であるため、やりすぎではあるか情状酌量の余地が認められる。むしろ、咎められるべきは私の方だろう。
「ねえ!」
そして、提示しようとしていた証拠がまた酷い。
どの被害も明確な目撃者がいない。殆どがルーシーの証言だったり、他者の証言にしても『~だった気がする』と曖昧なものばかり。
これで断罪など、出来るわけがない。何故我々はできると思っていたのが甚だ疑問だ。
「ミハイル様ってば!!」
腕を思い切り引かれ、思考が途切れる。
ちらと視線を向けると、ルーシーはやっと気が付いた!と言わんばかりに頬を膨れさせていた。
「もう!ミハイル様ってば何度も呼んでるのに無視するなんて酷い!」
王族に無闇に触れ、腕を引くなど不敬罪という言葉を知らないのだろうか?
まあ、この後次第では不敬罪で済まないかもしれないが。
「いや、少し考え事をしていてな」
「…婚約破棄、しないんですかぁ?」
不安そうに小首を傾げて聞いてくる。
前はこの仕草に心動かされていたが、今ではピクリとも動かない。
よく見れば、その声色や仕草が計算され尽くしたものだと分かったものを。
自分の愚かさにうんざりする。
「その前に確認することができた」
「確認すること?」
一つ指を鳴らせば背後に男が現れる。
全身を黒で統一された服装、隠された素顔。私の影だ。
「殿下のお戻り大変嬉しく思います」
「嫌味は後でいくらでも聞いてやる。お前のことだ。私が正気でなくともやるべき事をこなしていただろう」
「こちらに」
そう言うと影は私に紙束を手渡した。
そこには私の今までの行動や、知りたい情報が書かれていた。
流し見ただけでも頭が痛い…。
「ミハイル様、それなんですかぁ?」
「今に教えてやる」
資料を影に返し、私は正面で心細げに立つリュシアナに目を向けた。
心臓が暴れまわるが、今はそれに振り回されるわけにはいかない。
「リュシアナ」
「…はい、ミハイル様」
数歩彼女へ近付き
「すまなかった!」
頭を下げ許しを請う。
途端、周囲からざわめきが起こった。
「え、あ、ミハイル様、いけません!無闇に頭を下げては!わたくしは大丈夫ですから!」
戸惑い、頭を上げるよう言うリュシアナの声。
戸惑うのも仕方がない。普通なら王族は非を認めてはならない。頭を下げるなどもっての他だからだ。
だが、言葉だけでは全く足りない。
私は更に頭を深くした。
「いや、謝らせてくれ!私は君を沢山傷付けた」
「わ、分かりましたから!せめて頭をお上げください!」
本当に困った様子で言われてしまえばなおるしかない。私はリュシアナを困らせたいわけではないのだ。
顔を上げて改めてリュシアナの顔を見ると、記憶より少しやつれて見える。
それだけ精神的に追い込んでいたのかと思うと、申し訳なさで心が痛い。
本当に謝るだけではまだまだ足りないのだと実感する。
「罵ってくれて構わない。気の済むまで殴ってくれていい」
リュシアナの瞳を見詰めながら言葉を続ける。
きっと君は私に呆れているだろう。もしかしたら嫌いになってしまったかもしれない。だが…。
「だが、もし許されるのなら、私にもう一度チャンスをくれないだろうか?」
「ミハイル様…?」
「君を蔑ろにし、傷付けた私にこんなことを言う資格は無いのかもしれない。君が嫌だと言うなら引き留めることは出来ない。私から父上に伝えよう」
私よりもっと君を幸せにできる男など、きっと沢山いるだろう。君を苦しめた男など、当然相応しくない。
不思議なほどスルスルと自分の想いが言葉に乗る。今まで塞き止めたものが溢れ出したかのように止まらなかった。
今なら私にも分かる。あの、自分で理解できなかった感情の名前は…。
「だが、好きなんだ、リュシアナ。…君を失いたくない」
会場は再びシーンと静まり返る。
衣擦れの音まで聞こえそうだ。
「…はい」
どれ程時間が経ったのだろうか?
一秒かもしれないし、何分も過ぎているのかもしれない。
この時間に耐えられず目を閉じようとしたその時、微かな声が届いた。
パッとその声につられて顔を上げれば、そこには透けるような蒼を潤ませながら頬を染め、まるで蕾が花開いくように顔を綻ばせた君がいた。
「はい、ミハイル様…。わたくしも、貴方をお慕いしております」
空耳か?今リュシアナはなんと言った?
「本当か、リュシアナ?もう、今を逃したら私はお前を離してやれない」
一歩一歩リュシアナへ歩み寄る。それに合わせて彼女も私へと一歩、また一歩と。
そしていつしか手を伸ばせば届く位置にきた。
「わたくしがお側にいたいのです。いつまでも離さないでくださいませ、ミハイル様」
その言葉を聞いた瞬間、私はリュシアナをこの胸に閉じ込めた。
ああ、夢なら醒めないでくれ!!
「なによこれ!!」
甘い空気を引き裂くように、甲高い声が響き渡った。
振り向けば、ルーシーが肩を震わせこちらを睨み付けながら近付いてきた。
「なんで?どうして?ミハイル様、その女を断罪するんでしょ?私が傷つけられたのに、なんで仲直りしてるの?そんなの変でしょ?離れてよ。離れて。離れろ!」
そのままこちらまで来ると、徐に手を振り上げリュシアナの頬へと
パシッ!
「いい加減にしたらどうだ?」
振り下ろされる前にルーシーの手首を掴み、それを阻止する。
「どうして止めるのっ?私はヒロインなのに!なんで私じゃなくて悪役のあんたがミハイル様に守られてるのよ!!」
なんだか様子が可笑しくなってきた。
ヒロイン?悪役?何を言っているのだこいつは。
「ルーシー」
咎めるように名前を呼んでハッと見上げた顔に微笑んでみせれば、期待した瞳を向けてくる。
今のやり取りを見ていて、何を期待しているというのだろうか?
「貴様を王族偽証罪で拘束する」
「…え?」
何を言われたのか分からない顔で、呆然としたままルーシーは警備兵に拘束された。
「詳しくは城で話を聞く。連れていけ」
「嘘だ。私はヒロインなの。この国の王妃になるの。ねえ、助けて!私は間違ってない!助けてよ!!」
兵たちに引き摺られながら、最後の頼みの綱とばかりに宰相子息たちの方に助けを求める。
しかし、彼らは私の影から先程の資料を見せられ愕然としており、ルーシーの視線には気付いていないのだろう。そのまま喚きながら、彼女はパーティ会場から姿を消した。
++++++++++
怒涛の卒業記念パーティから早数ヶ月。
私とリュシアナは城の庭園でお茶をしていた。
「ルーシーさんはどうしているのでしょうか?」
「君を嵌めようとした人間を心配するなんて優しいのだな」
あの後、ルーシーは偽証罪と禁忌魔術使用の容疑で城で取り調べを受けた。
次代を担う国の主要人物が突然、揃って彼女へ惹かれていたこと、そして靄が晴れたかのように一瞬にしてその好意を失ったことで魔術の類いが使われていた可能性が浮上したからだ。
だが、取り調べでもヒロインだとか、ゲームだとか妄言としか思えない言葉を吐き、結局は国で一番厳しいという修道院へと送られた。
「…他人事ではなかったので」
「ん?」
「いえ、なんでもありません」
それにしても、あれから私たちの関係は変わった。
私はリュシアナへ素直な想いを伝えることができるようになったし、リュシアナも私の前で気を張ることがなくなり柔らかい表情をするようになった。
…そういえば、あの時突然頭の中に流れたものは結局なんだったのか?未だ分からないままだ。
ただはっきり言えることは、浮かんだ映像の中のリュシアナと目の前のリュシアナは外見こそ同じだが中身が全くの別人であるということだ。
それはルーシーにも言えて、だからこそ違和感で目を醒ますことができたのかもしれない。
麗らかな日差しの中、私は愛しい人の微笑みを見ながら紅茶を啜った。
ああ、『婚約を破棄する!』と言いきらなくて本当に良かった!
誤字・脱字報告有り難う御座います!
【おまけ】
・ミハイル
無自覚にリュシアナLOVE
そして無自覚にツンツンしていた王太子殿下。
自覚してからはデレデレ時々ツン。
前世の記憶を思い出したのは一瞬で、完全ではない。
思い出さなくて婚約破棄が成立していたら、継承権剥奪されてた。
断罪事変後、罰として数日間の謹慎に加え一ヶ月はリュシアナに会えないくらいの仕事量を与えられた。
両想いになれてから会えなくて枕を濡らす日々を送る。
・リュシアナ
無自覚転生者
前世の記憶はあるけど、ここが乙女ゲームの世界とは知らない。
だから無自覚に原作をクラッシュして幸せになった人。
ルーシーも転生者だったことを知り、少し違えば同じ道を歩んでいたかもしれない…と思っている。
断罪事変後は、ミハイルに会えなくて淋しいが、両想いになれた分、今まで以上に王妃教育を頑張ろうと張り切っている。
・ルーシー
ヒロイン成り代わり転生者
転生特典(ヒロイン補正)を駆使しミハイルルートをメインに攻略しようとするも、悪役令嬢が虐めてこないから虐めを捏造。
だがミハイルへの補正が無くなったことで失敗。
厳しい修道院へ送られるが、いつもブツブツ何かしらを呟いていて、気味悪がられている。
・影
ミハイルとは幼い頃からの付き合い。
子供の頃から影に徹していたので、今更名前を教えるのが恥ずかしくて“影”で通している。
ひょんなことからリュシアナには名前を知られていたりする。
・騎士団長子息
実は次男。
断罪事変後、親により婚約を解消。
婚約者は騎士団長子息が苦手だったので、少しほっとしていたらしい。
卒業後は心身ともに鍛え直してこいと、誰もが逃げ出すと有名な辺境の騎士団へと飛ばされる。
・宰相子息
少しだけルーシーに補正以外の好意を持っていたが故に、断罪事変後、軽度の女性恐怖症になる。
婚約は婚約者の希望で続行。
理由が『ふふ。折角いい弱味を手に入れたのに逃がしませんわよ(はぁと)』なので、尻に敷かれることが確定している。
・天才魔術師
侯爵家の妾の子
婚約者はいない…が、気になる女の子はいた。
断罪事変後に仲直りできたが、その後告白するもフラれる。
天才魔術師と自負していた分、今回の自分の失態を激しく悔い、そしてフラれた悲しみを堪え、二度と同じことがないようにと、自主的に原因の究明と解決策の研究に没頭する。
お読みいただき有り難う御座いました!