4球目
昨日、ニコ生でムカデ人間の同時視聴がやってたので初めて見たら無事悪夢を見ました
書いてて思ったのですが対戦中のサインの出し方、相手打者の思考とかの書き方がよく分からないです
「サイン決めよっか」
何故か京極さんと勝負をすることになった私はベンチの裏で一色さんとサインを決めていた
「球種は何があるの?」
「スライダーとカーブかな〜あとシュートも投げられるよ」
「スライダー、カーブ、シュートと。いっつもどれ主体で投げてるの?」
「いつもはスライダーとカーブかな。シュートは肘の負担が大きいからあんまり投げないし」
「OK、ならそれでいこっか」
サインも完成しみんなが待つグランドに向かう
京極さんはもう右打席に入って待っている
「準備は出来たか?」
「はい」
「コテンパンにしてあげる」
「え!?」
「いい度胸じゃねーか」
大人しそうな一色さんが必要以上に煽る。そしてまんまと煽られる京極さん
「じゃー私が審判してあげるから他の人は軽く守ってあげて」
どうやら球審は照さんらしい
「「「はーい」」」
残りの3人はセカンドに音無さん、ショートに七瀬さん、センターに皇さんが入る
「投球練習は7球くらいあればいいでしょ」
私は言われた通りマウンドから軽く7球投げる
「ルールはどうするの?」
「えーっと」
「1打席あれば十分だ」
「多分1打席だと余裕で抑えられるので3打席で」
自信満々に応える京極さん。それに負けじと自信満々に応える一色さん
「あぁん?」
「なんでそんなに煽るの!?」
人は見かけによらないとはこの事だと実感する
「じゃぁ3打席勝負にしよっか。始めるよー、プレイ!」
照さんの掛け声と共に私はさっきまで感じていた雑念を振り払い打席に入っている京極さんに集中する
初球はインハイのストレートをボールに
「(危なくない?)」
少し躊躇ったが私は頷く
当てないように気をつけて投げる
シュッ
構えられたコースに向かってボールが進んでいく
ズバン
一色さんは結構いい音を鳴らして捕球をし、京極さんはウォッと声を漏らし見送る
「ボール」
狙い通りボールの判定
「まぁまぁの球だな」
京極さんは独り言のように呟いてから構え直す
「いいコースだよ」
そう言いながら返球する一色さん
座るとすぐにサインを出してくれる
2球目は外のカーブをストライクに
私はアウトコース目掛けて思いっきり腕を振る
「うぉら!」
京極さんは体勢を崩されながらも外のカーブを打ち返す
しかし打球はセカンドの真正面
音無さんが難なく捌いてワンアウト
「チッ」
舌打ちをする京極さんを背に私はセカンドを守っていた音無さんからボールを貰う
「ナイスセカンド」
「・・・・・・」
音無さんはペコと頭を少し下げ足元を均した
私は再びキャッチャーの一色さんを見直す。京極さんはもう構え直しており見るからに打ち気満々って感じだ。なのになぜか一色さんはサインを出してくれない
それから10秒くらい経つと一色さんはゆっくりとサインを出す。その間も京極さんのフラストレーションは溜まっているのがよく分かる
サインはアウトコースのストレート
私はサインが出るとゆっくりと大きなフォームで振りかぶってから投げる
シュッ
バシッ
京極さんは振らずに見送る
「ストライーク」
予定通りストライクを取る事が出来た。一色さんは返球すると先程とは違いすぐにサインを出す
2球目はインコースのストライクにスライダー
サインを出すとインコースギリギリに構える。私は頷くとすぐに振りかぶる。クロスファイアからのスライダーの肝は思い切って投げること!
シュッ
私の投げたボールは真ん中気味のコースからインコースを抉るように曲がる
それを読んでいたかのように京極さんは外側にステップする
「どっせい!」
そんな掛け声と共に豪快なスイングと共にボールが消える
「(ボールは!?)」
ガシャン!
すると3塁ベンチの中から大きな音が聞こえる。どうやらインコースのスライダーを思いっきり引っ張ったらしい
それにしても…
「凄いスイングね」
私は冷や汗を拭う。あのスイングだと甘いコースは持っていかれるかも
「落ち着いて大空さん。どれだけいい打球でもファールじゃ意味ないよ」
一色さんは声をかけながらボールをくれる
これでツーストライク
かなり投手有利なカウントで追い込めた
「(1球インコースのストレートをボールに)」
そうサインを出した一色さんは京極さんの体スレスレの頃で構える
「(え!?)」
もし構えたところより少しでも内に投げてしまうと当たるのでは?
そう思った私は1度首を振る
するともう一度サインが出る
「(インコースのボールにストレート)」
またしてもサインは先程と同じコース
どうやら抑える為に必要な事らしい。しかし、いくらアウトを取るにしてもデットボールギリギリに投げるのは気が引けてしまうが、それでも投げないとこの勝負は進まない。そこまで考えてから私は当たらないことを祈りつつ投げる
シュッ
私の投じたボールは一色さんが構えたコースより若干内側、京極さんの体に当たるギリギリの所へ行く
「!!!」
ズバン
京極さんは何とか避ける事に成功する
「チッ」
舌打ちしながら熊をも殺せそうな眼力でこちらを睨みつけてくる
当てそうになって少し焦ったので落ち着くために私は返ってきたボールを見る
判定は勿論ボール
これでカウントは1ボール2ストライク
心も落ち着いてカウントの整理も出来たので改めて一色さんの方を見直す
「(インコース低めにカーブ)」
サインを見た私は少し息を吐いてから大きく振りかぶる
京極さんの膝元に行くようにリリースをする
弧を描くようにボールはゆっくりとミットに向かって曲がっていく
「フン!」
京極さんは少しオープン気味にステップをして思いっきり振り切る
キン!
甲高い音ともに地を這うような打球が三遊間を襲う
「しまった!」
あまりにも打球が強かったため私は思わず声に出てしまう。私は負けを覚悟したがバシッという捕球音が聞こえる。ボールは外野には抜けず、飛び込んだ七瀬さんのグローブに収まっていた
「残念だったね。まこっちゃん」
してやったりと言いたげな表情をする七瀬さん
「てめぇ!邪魔しやがったな!」
京極さんはヒット性の当たりを捕られてしまって怒り心頭らしい
それにしてもさっきの打球普通捕れないよね
「これでツーアウトだよ」
そう言って七瀬さんはボールを返してくれる
「ナイスキャッチだよ七瀬さん!」
私はボールの代わりに賞賛を返す
「さっ、勝利まであと一歩だよ」
いつの間にか一色さんが近づいてきていた
「いやーさっきのは焦ったよ」
私は一応グローブで口を隠しながら話す
「七瀬さんは京極さんの特徴を知ってたみたいだね」
「そっか、2人は一緒にプレーしてたんだっけ」
「そうそう。あとアウト1つなんだけどそろそろシュート使ってもいい?」
「そんな多投しなかったら大丈夫だよ。でも大丈夫?自分で言うのもあれだけど、私のシュートって結構曲がるよ?」
「それは大丈夫。だから思いっきり投げてね」
そう言うと一色さんはホームに戻って行った
えらい自信たっぷりだったけど、私のシュートはあの守でも初見で捕ることが出来なかったのに大丈夫なのかな?
少し不安になりながらも一色さんの言葉を信じることにする
「(アウトコースギリギリにカーブ)」
いつの間にか出ていたサインに頷き1球目を投げる
京極さんはピクリとも動かずに見送る
「ストライーク」
照さんのコールの後直ぐにボールが返ってくる
「(真ん中高めに全力のストレート)」
今までは変化球や間を使って打ち取っていたがここは力勝負らしい
私は頷いてから今日1番の力を入れて投げる
ビュッ
リリース音がバッターにも聞こえそうなくらいスピンをかけて投げる
ストレートとわかるや否や京極さんも今日1番のスイングで応える
ガシャン!
ボールはバックネットに突き刺さりそうな勢いで飛んでいく。完璧にタイミングを合わせられてヒヤッとしたが結果的には追い込むことに成功したので良しとしよう。それにしても京極さんのスイングって男性選手並だよね
3打席勝負では短気な所に目が行きがちだけどあのスイングスピードはとても魅力的だと思う。だからこそ全力を出して抑えたいと心から思える。それが通じたのか一色さんから来たサインはインコースギリギリのシュート
私は最高のボールを投げるためにプレートの1番端に立ち大きく振りかぶる。そしてストレートを投げる時より少しだけ左腕を捻る
ビュン
ストレートとほとんど代わらないスピードのボールが京極さんの体目掛けて進んでいく
「!?」
さっき投げたボールよりさらに内側で避けなければ確実に当たるコースと思った京極さんは両足を同時に引く。しかしボールは京極さんの考えとは逆の方向に曲がり、両足を引いた京極さんはスイングすることすら出来ず見送る
ズバ
少しだけ鈍い捕球音が聞こえる
「ストライーク!バッターアウト!」
照さんは卍ポーズで気合いの入ったコールで応えた
京極さんは一瞬何が起きたのか分からないといった表情をする。その間に守備に着いてくれていた4人がマウンドに集まってくる
「いいボールだったよ」
「最後のボール凄いね~」
「・・・・・・」コクコク
「・・・あの時よりいいボール」
三者三様ならぬ四者四様の反応を示してくれる
「いや~それほどでも」
私が照れていると
「おい!今のボールは何だ!」
我に返った京極さんがヘルメットも外さずにマウンドに駆け寄ってくる
「シュートだよ」
「ただのシュートがあんなに大きくて鋭く曲がるわけねーだろ!」
「確かにツーシームにしては大きく曲がってるもんね」
疑問を持っていたのは京極さんだけじゃなかったみたいで七瀬さんからも疑問の声が聞こえてくる
「シュートって言っても私が使うのはHシュートの中でも変化の大きいカミソリシュートなんだよ」
私はよくされる質問を慣れた口ぶりで応える
「あんなの初見殺しじゃねーか」
京極さんは興奮が収まらないようでテンションが高い
「あんな決め球があるなら最初から投げたら良かったのに」
「そうだせ!あれだけの変化球なら聖宗高校にも通用するじゃねぇか!?」
段々と大きくなる希望に対して私は申し訳なくなってくる
「でも肘にかかる負担が大きくて1試合10球っていう球数制限があるんだよね」
今ではもう少し投げれるかもしれないけどと付け足す
すると京極さんのテンションが少し落ちる
「そらそうか。制限なく投げれるなら最初から使ってるよな」
「そういうこと」
「でもそんな球よく捕れたよな」
私のボールに納得が行くと次はそれを捕球した一色さんに興味が行く
「初めてじゃないから」
「「???」」
一色さんの回答にみんなの頭の上にハテナが浮かぶ
だって私一色さんと組んだのは今日が初めてだし
「2球、2球、3球、6球の計13球」
私は一瞬何を言われたのか分からなかったけど直ぐに思いつく
「中学最後の大会でシュートを投げた球数!」
コクリと頷く
私が最後の大会でシュートを投げたのはピッタリ13球だけど
「最後の大会でライオンズとは逆ブロックだったよね?」
私の所属していたホークスと一色さんが所属していたライオンズは対戦しなかったはず
「私、趣味で捕ってみたい投手の映像を片っ端から集めてイメージトレーニングするの」
初日から一色さんの意外な趣味が暴露される
皇さん以外はみんな何を言ってるの分からないっていう表情になる
「・・・わかる」
「わかっちゃうんだ」
「所でその捕ってみたい投手って大空さん以外に誰かいるの?」
確かにそれは私も気になるな
どんなレベルの投手と比べられてるのか
「えーっと、大空さん以外だと高月さん、久遠さん、涼風さん、蓬莱さんかな」
指を折りながら名前を上げていく一色さん
前者2人は知らないけど後者2人の名前くらいは知ってる
聖宗高校の二枚看板である涼風さんと蓬莱さんだ
そんな人達と同列に扱われて嬉しくないわけが無い
「でも1番受けてみたいのは・・・」
そこまで言うとホームの方で何か考え事をしている照さんをチラっとみる
「あー!」
そこで私は重要なことを思い出す
「いきなり大きな声出してどうした!?」
隣にいた京極さんが驚いたように反応する
「どうしたじゃないよ。結局なんで私と勝負したの?」
この対決の発端となったのは京極さんが原因だし、勝負には勝ったので教えてもらわないと
「あー、その事か。あれはお前がエースに相応しいかどうか確かめるためだ」
そう言うと京極さんは振り返り照さんの方をむく
「俺はこの賭けに乗るぜ!」
「私も~」
京極さんに続き七瀬さんも便乗する。音無さんも一色さんも頷いてるし
「???」
私はなんの話しをしてるのか分からず困惑する
「一体なんの話し?」
「何だ?何も知らないのに打倒聖宗って言ってたのか?」
「うっそれは」
私が打倒聖宗と言ったのは照さんの口封じの為だもん。しかし、素直に言う訳にはいかないので何かいい言い訳がないか考えていると
「勝負も着いたからそろそろ片付けして今日は解散しよっか」
ホームから歩いて来ていた照さんがパンと手を叩いて言う。その言葉に各々反応しながら円陣は解かれる
その後はみんなで談笑をしながらグランド整備をしたりボールの回収を済ませる。片付けが終わると自然と照さんの周りに集まっていた
「ちなみに春休み中のグランドの使用許可は今日だけだから次会うのは入学式だよ。間違って来ないように」
集まったのは良いものの特に言うことがなかったのか最後に照さんはそう言い残し鍵を返しに行ってしまった
最後まで読んでいただきありがとうございます
もしも、続きが気になるようでありましたらアルファポリスというサイトで少しだけ続きがありますので読んでいただけると幸いです