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第八話


 翌日の朝、昨夜の夢のせいか、リリアは熱を出してしまった。


 なかなか熱が下がらず、二日ほどベッドから起きあがれなかったリリアは三日目には何とか部屋を歩けるようになったのだった。


 ふと部屋の窓に目をやると晴れ渡った空が見えそうだったので、何故か見たいと思い、窓辺に歩み寄って、外に目をやるのだった。

 そこにはマイケル、ニール、マリーが楽しそうに庭仕事をしているのだった。


「一人でも仲間がいるってことね」


 三人の楽しそうな姿を見たリリアは寂しそうにつぶやく。そして、自分の思い出した前世と今世を思い返す。


――私は、いつでも一人。

 前世も誰も頼らず、朝から夕方まで仕事して、唯一の楽しみに大好きな『ボクのハートをキミにあげる』をするだけだった。


 今世でもママと過ごしていた時を除いてはずっと一人。踊り子だったママのファンのバインズ男爵が探しだして養子にしてくれるまで、ママが死んでから下働きしていた時も親が居ない事で(さげす)まれながら生きてきたわ。引き取られた男爵家に入ってもすぐに学園に入れられて、ずっと一人。……ライオネル様と一緒にいれると思ってたのに……私は、ずっと一人なのかな?


 一人寂しげに窓の外を眺めるリリア。その瞳から一筋の涙がこぼれ落ちるのだった。


◇◇◇◇


 一週間もするとリリアの体調は戻り、別荘の庭も歩けるようになった。特にすることもなく、庭を散策してみるが小さい庭では時間をつぶすことができない。部屋で本を読もうにも別荘には読む本もあまり無く、貴族令嬢の嗜みの刺繍も得意ではないため、別荘に道具は置かれているものの、一日でやめてしまったのだった。


 手持ち無沙汰なリリア以外の三人は忙しそうに日々を過ごしているようで、元々平民育ちのリリアからしたら羨ましい限りであった。


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